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正義の条件  作者: ありと@
第2章『白い薔薇の少女』
33/85

閑話 遠き日②

10万字突破!そして毎日更新1か月!

次の目標はユニーク合計1000ですかね。

今後ともよろしくお願いします(#^.^#)



 小学生程の少女が歩いていた。ところどころ破けてしまった白いワンピースに傷だらけの素足。どう考えてもお散歩などではない。




 彼女は戦争の混乱の中で家族に引き離されてしまったのだ。この地区で主だって暴れていた怪人のおぞましさ、憎さは覚えている。



 そして、その残酷さも。





 少女の体は無意識のうちにその記憶から目を背けさせた。少女は今、自分が何をしたかを思い出すことができず、瓦礫だらけの大和町を回っているのだ。





 少女は恵まれた家庭に育ったと思う。決して裕福な暮らしではなかったが、両親と姉に大切にされてきた。少女は年齢にしては他人の感情の機微に敏く、自分に注がれる愛情がかけがえのないものであることを自覚していた。




 それも今は失われてしまった。いや、壊してしまったのだ。





 ここは怪人の能力の範囲の外らしい。しかしまたいつその時が訪れるかは分からないのだ。



「あ……ダメ……」



 ふいに少女が蹲る。

 少しでもそのことに意識を向けるだけで、思い出したくないことが頭一杯に流れ込んできて、震えが止まらなくなる。

 戦争とトラウマは非常に近い距離にあるが、彼女のトラウマもまた壮絶なものであった。




 だから考えないことにした、次に思い出すその時まで。

 その時がまたすぐ訪れることになると分かってはいる。しかしそうしないと壊れてしまうのだ。






 ヒーローと怪人による戦争の中、確かに紛れて進行している陰謀があった。

 そして不運なことにそれに巻き込まれてしまった。

 そのおぞましい記憶を少女は封印した。そうすると、まだ幼い彼女はどうしても家族に会いたくなるのだ。怖い夢を見たとき、幼子が親に縋り付くことなど当たり前のことなのだから。



 その思いが少女に再び瓦礫の中を進ませるのだ。実際、外周を回っていても一周してもとの場所に戻るだけなのだが。




 家族はどこだろうか、また団欒できるだろうか。




 絶望の中だというのに暖かい家族に囲まれる日常を想うと自然、顔に笑みが浮かぶ。よく無表情だといわれるが、別に感情がないわけではないのだ。嬉しければ笑うし悲しければ泣く。





 ああ、会いたい。家族の無事な姿を早く見たい。そうすれば嫌なこともきっと忘れて、平和な日常に戻れる。







「帰らなきゃ……」





  少女は呟く。空は暗く、辺りを見回しても無事な建物なんてないのではないかというくらい滅茶苦茶だった。



 そして少女の体もまた、無事とは言い難かった。




 少女は歩き出す。




 自ら手にかけた(・・・・・・・)家族を探しに。


ご意見ご感想お待ちしております!

次話投稿は明日17時。是非よろしくお願いいたします(^^♪

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