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正義の条件  作者: ありと@
第2章『白い薔薇の少女』
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6.五十嵐光のしがらみと誤算

遂に、ブクマしてくれた方が……!!

ふおおおお:;(∩´﹏`∩);:ありがたや



「公園で昼から堂々と暴れるなんて、知能は人間以下のようだな。」



 大和町東区――商業に特化し、他のブロックと比べて圧倒的な賑やかさを見せるそこには、しばしば憩の場所が求められることがある。最も、リゾートを目的にしたいなら西区駅前の温泉か、南区の先の大型浮き島テーマパークに行けばいい話なので、ここに求められるのは、デパートの屋上のような、買いものの合間に一息ついてゆっくりできる場所でる。


 ここ、駅前公園はその需要にこたえることのできる貴重な空間であった。





 つい先ほどまでは。




 現在公園は軽いパニック状態であった。



 突如おこった爆発、中年サラリーマンの格好をした男がいきなり範囲攻撃を行う。その姿は、公園で和んでいた一般人は不審者が暴走したようにしか見えなかった。

 平時、人間形態をとることのできるクラスの怪人は滅多に現れないため、その存在を知らない者も多い。そして人型のまま暴れられても、それが狂った人間なのか、人間形態の怪人なのかは一目では分からない。

 変身する怪人が危険視される理由の一つである。


 とにかく、突如起きた爆発で冷静さを失った人々は悲鳴をあげながら逃げていくしかないのだ。



「まさかこんなところで"太陽"と対面することになるとはなァ」



 中年サラリーマン改め謎の怪人は、怪人界隈でも名の通っている五十嵐を前に汗を流す。しかし、その表情は絶望に満ちたものではなく、挑戦的で下品な笑みであった。




 五十嵐に守られた形となる瀬雅と魅甘は逃げ惑う人の中でただ立ち尽くしていた。大和町の全人間の中で3本の指に入る絶対強者である五十嵐が来てくれたからには、公園の安全は守られたも同然。


 しかし、瀬雅はこの惨状を招いたのは自分だと考えると尻尾を巻いて逃げることは憚られた。魅甘は無言だが、瀬雅に従うようである。



「どうした、スーツなんて戦いにくいだろう。本来の姿を見せてみろ。」「力が制御される人間形態で俺と戦えると思っているのか?」





 五十嵐がらしくない挑発を続けている。怪人はそれを聞いてこめかみの血管を太く浮かべひくつかせるが、蛇に睨まれた蛙状態なのか動かない。





 そう、瀬雅がその場を離れないのにはもう1つ訳があった。それは大和町の規則に由来する問題だ。




 現在の大和町は”戦争時や緊急事態以外で戦争に参加したヒーローが怪人と戦闘することは許されていない。”



 治安維持の観点からみると致命的すぎるこの規則だが、それには訳がある。


 世界に突如謎のエネルギー”魔力”が満ちた約100年前、そのエネルギーを自在に操る生命体である怪人が出現し、人間と衝突することになった時、怪人は動物というよりは人間に近いかそれ以上の思考能力を持っていたので、和平交渉も行われたりしたのだが、いざ戦いになると、従来の魔力を介さない兵器では怪人にほとんどダメージを与えられないことが判明したのだ。



 そんな中、怪人と同様に体内に満ちる魔力を駆使して怪人と戦う手法が編み出された。怪人に対する最も有効な対抗策を持ち、平和を守るもの達。その姿は人々には、おとぎ話に出てくる強大な敵に立ち向かう英雄のように映ったという。


 そして彼らがヒーローと呼ばれてから数十年、現在から10年前に大和町を舞台とした怪人と人間の大規模な戦争が勃発した。



 その際にも活躍したのは、魔力を用いて怪人を打倒するヒーロー達であった。そして、怪人を退けて平和が訪れたとき、国が最も恐れたのは"ヒーローによる革命"であった。圧倒的な力を持つヒーロー達、旧兵器では歯が立たない彼らと衝突したら人類全体が疲弊してしまう。



 怪人対人間の戦争が起こったからには、人間同士の争いをしていて怪人が漁夫の利を得るなんてことは絶対に避けねばいけないのだ。



 そこで国は戦争で活躍したヒーロー達を徹底的に祭り上げ、厚遇した。その代わり、彼らがその力を無闇につかわない制約を設けたのである。



 争いが拡大しないことを望んでいたのはヒーロー達も同じだったのでその条件を呑み、戦争は収束した。



 そして戦争で活躍したヒーロー達は創立された天野学園の教師となり子どもたちを養成しているわけだ。

いや、むしろ戦争で活躍したヒーロー達が戦闘を禁じられると聞いて「非戦争時に緊急事態が発生して初動が遅れたらどうなるんだ」と危惧した学園長が天野学園を創立したとも言える。



 天野学園がまだ若い学生をヒーロー候補生として実戦に送り込むのはこうした理由により自由に戦えないヒーローに代わって平和を維持するための"ルールの抜け穴"なのである。



「五十嵐先生、やっぱり俺たちが!」


「大丈夫だ、任せろ。」



 五十嵐光は戦争で活躍したヒーローの中でも特に重い制約がかかっている。個人として強力すぎる能力を持つ彼は緊急避難と正当防衛以外の手段での魔力行使と戦闘行為を大幅に制限されているのだ。



「どうした?もしかして、変身後の姿が醜すぎて晒せないのか。」




 したがって五十嵐が今怪人と戦うには、"街中で変身した危険度の高い怪人が五十嵐自身に襲い掛かってきたので正当防衛をした"という状況をつくらなくてはいけない。


 すっかり人が減ってしまった公園内で、五十嵐が繰り返し怪人を挑発しているのは、誰の目から見ても正当防衛が成立するように相手の変身を誘っているのからなのだ。








「ふ…………ははははっっは!!!いいぜぇそこまで言うなら見せてやる!変身(パーフェクション)!!!!!!!」








 五十嵐の目論見を知る由もない怪人はついにその言葉を唱える。


 変身(パーフェクション)――平時人間形態でいる怪人のみが用いる肉体変化。怪人形態になった怪人はその能力を数十倍に膨れ上がらせる。




 中年の男の体がメキメキと軋み、膨らんでいく。無数の蔦が皮膚を突き破りうねるように天に伸びていく。そして巨大になった男だったものを包み込むと、それが絡み合い巨大な茎となっていく。


 全長にして8mほどにまで伸びた太い茎からは禍々しい葉が幾重にも伸び広がり、茎の先端には牙の生えた紅く毒々しい大花が咲いた。食虫植物だ。


 そして花弁に浮かびあがる金色の神々しい花模様をした紋章――それはつまり目の前の怪人が、危険視されている変身する怪人であり、更に強力な怪人である上位種(ゼラ)だということだ。





『植物族上位種(ゼラ)、プラッディがてめぇらを養分にしてやるぅ、、、!』





 花というよりもはや巨木というべき太い茎を揺らし、怪人――プラッディは告げる。


 対して五十嵐は、これで心置きなく戦えると構えをとる。




 しかしこの時



 五十嵐光にとって2つの想定外の事態が起こった。



食人結界(カーニバースワールド)





 自分が怪人と戦う策を練っていたように、上位種プラッディも策を練っていたということ。プラッディの言葉と共に周囲に赤褐色の魔力が立ち込め、空間が歪んでいく。







 もう一つは




「し ょ く ぶ つ 族……ぅ うぁああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」




「麦町!?」








 変身したプラッディの姿を見た途端、今まで聞いたことのないような叫び声をあげながらプラッディに向かって飛び出す麦町魅甘の姿であった。




「待て!っちィッ!!!!!」




 既に何かの能力を発動させているプラッディ。五十嵐は慌てて魔力で攻撃しようと試みるが、射線上に魅甘と、それを追いかける瀬雅が入ったせいで一瞬ためらってしまった。





『ははははははははははははは!!!!!!!!招待しよう!!!死の結界へ!!!!!』





 プラッディのまわりの空間が一際大きく揺らぎ、やがてその姿は魔力にからめ捕られるように包まれて消えていった。

 接近した魅甘と瀬雅と共に(・・・・・・・・)







「くっそ!!米村!!!麦町!!!!!!!!」







 ついに誰もいなくなった公園に五十嵐の叫びが木霊した。





ご意見ご感想お待ちしております(^^♪


次話投稿も明日15時です!

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