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平凡少年佐藤君の人生傍観的記録  作者: 御神
一章 高校一年、一学期
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1話 佐藤君とクラスメイト

とあるクラスメイトの話だ。

某ファンタジー映画のナニーポッターだかの金髪オールバックのように、手下を従えて、権力を振りかざし(金持ち)威張って、俺は偉いんだ、強いんだ、僕に従え、といった風情の、とにかく主張の激しい奴がいる。そいつが、クラスメイトの一人、いつも暗くて大体一人でいる、所謂いじめられっ子のことを、テンプレのように、いじめていた。いじめっ子の彼にとっては”誰かをいじめる”というのは、何の変哲もない日常なのだろう。まぁ、だからいじめっ子なんて呼ばれるのだが。

それを見ていた女子の一人が、「ちょっとやめなさいよ!」と全くもって面白みのない、ありきたりなセリフで止めに入った。彼女は所謂委員長という奴だ。こういう時に止めに入るのは、大体が委員長という立場の人間であろう。

もしくは、「いじめ よくない かっこ悪い」などという、某アニメのキャラの様に場を掻き回すのが好きな物好きくらいか。おっと話を戻すが、

いじめの原因は知らないが、とにかくクラスの風紀を乱されるのが嫌だというのが”委員長”などという、限りなく面倒な役職につこうとか思う人間の考えなのだろうと、僕はそう思う。本音を言うと結局は内申なのだろうが、これは僕の胸の内に留めておこう。

まぁとりあえず、正義の味方よろしく、いじめを止めに入った委員長と、いじめっ子共に、ただ自分の席に座っていた暗いいじめられっ子。委員長といじめっ子がにらみ合うというお決まりな展開が、僕のクラスで起こっている訳だが……


「もう直ぐ昼休み終わるぞー」


ひょっこりと教室の扉から現れた教師によって睨み合いが終わるという、これまたお決まりな展開でこの話は終わる。

が、次の日に再度同じ状況を目にする。馬鹿ないじめっ子クラスメイトの○フォイ基、黒田君くろだがまた、手下の2人(はら村田むらた)を連れ、陰気なクラスメイトの日裏ひうら君をいじめ始めたのだ。懲りない奴め。そして、委員長の白井しろいさんもまた止めに入った。よくやるなぁ。


「白井邪魔すんなよ。俺たちは日裏に用があるんだ」


「いつもただ悪口言って虐めてるだけじゃない」


嫌味な笑いの黒田君と、正義感の塊、委員長白井の睨み合いが続く。高校生にもなって何を、と思わないでもないが、僕は傍観者であって当事者ではないので良しとする。


「俺たちは、日裏くんと仲良くなりたいだけなんだ。邪魔しないでくれないかなぁ…?」


ゲラゲラと汚い笑いが聞こえてきそうな顔で笑っている黒田+2人。


「そんな嘘、信じる訳ないじゃない!私は委員長として、風紀を乱す人を見過ごす訳にはいかないの!」


キッと、ノンフレーム眼鏡の奥から強く睨む白井さん。

ここで疑問が一つ、”風紀を乱す人を見過ごせない”だけで、”日裏君を助けたい”訳じゃあないんだなぁと、頬杖をつきながら単純に思った。つまりは、”委員長としての責任感”でいじめを止めようという事らしい。


「俺は唯、クラスメイトに用事があるだけだ。女のくせにあんまりでしゃばって来ないでくれるかな」


「そうだぞ白井。委員長だからって偉そうに!」


「そーだそーだ」


おっ、はじめて金魚のフンが喋っているのを見たぞ。だがいかんせん、見た目は立派だが頭は小学生で止まっているようだ。賑やかしにしかなっていない。


「女だとかは関係ないわ!いじめを見過ごすのは委員長として、恥ずべきことだわ!」


…そうか。いいか白井、そもそも委員長なんてものは、先生から面倒事を押し付けられる役職の事で、風紀を守るのは風紀委員の仕事だと僕は思うぞ。現に、もう1人のクラス委員はこの教室にいないじゃないか。


「弱い者いじめは良くないと思うわ!佐藤君もそう思うわよね‼︎」


何故か巻き込まれた。傍観者から、当事者に早変わりだ。突然話を振るのはやめてもらいたいものだ。まぁ話を振られたからには返してやろうと、僕は口を開いた。


「別に、僕はいじめられてる訳じゃないし、いじめたい訳でもない。それに白井さんみたいに止めに入りたい訳でもないから、同意はできないかな。僕はただ君達が揉めているのを見ていただけに過ぎないし、関わりたいと思わないからね。それに、なんの関係もない人間を巻き込んで、同意を求めるのもどうかとは思うけど、あえて答えるのであれば”どうでもいい”かなぁ。いじめている方が悪いけど、言い返さない方も悪いかなぁ。まぁ人数でいうなら、黒田君は日裏君より有利に立っている訳だから、同等ではない訳で、つまりは同じ条件でないだけ、黒田君が悪いとも言える。だけど、毎日懲りもせずいじめる方も、突っかかってくるのが分かっていて、黙って席に座っている方も悪いんじゃないかな。まぁだからといって、どちらか一方に味方する訳じゃないけどねぇ。中立な立場っていうのも何か違うかなぁ。簡単に言えば、僕には関わりが無い筈のこの揉め事に関して僕はどちらにも加担できないっていうのが、僕の意見な訳だけど、」



「オイ白井!なんでこいつに振ったんだよ!こいつ、話し始めたら面倒クセェの分かってんだろ!」



「しっ仕方ないじゃない!佐藤君しか居なかったんだから!私だって、他に人がいたら、佐藤君に話しを振ったりしないわよ!」


つらつらと答えていると、目の前でヒソヒソと違う事で言い合いを始めた白井さんと黒田君。残念なことに席が近い。聞こえているぞ。

なんだか、ものすごく失礼な事を言われている。まぁどうでもいいが。確かに周りを見てみると、教室内にクラスメイトは1人も残っていなかった。白井さんが僕に同意を求めてきた辺りで、椅子が床を擦る音が控えめに、しかし素早く、多数聞こえてきたのは気づいてはいたが、全員退場していたのには気がつかなかった。それまでは僕しかいなかった訳ではないのだが、僕に話を振ったのは白井さんだ。多分興奮していて、パッと目に入ったのが僕だったのだろう。僕の話を聞きたくないのはよく分かる。僕だって、伊達に9年学校生活をしている訳ではない。今年で10年目だ。今の所人生の大半を学校で過ごしている訳で、周りが僕の事をどう思っているか等、高校生にもなれば大体分かる。自分の性格もある程度理解している。別に今更腹も立たない。まぁこの中であえて言うなら、ずっと黙りを決め込んでいる日裏君が一番腹は立つかな。少しは自分の意見を言えないものか、とそろそろ呆れてくる。

そんな日裏君と違い、自分の意見は残さず余さず全て言うタイプの僕は学年内で注意すべき人物に認定されているらしい。

”話すと面倒くさい””理屈っぽくてウザい” 等といった意見が主だ。まぁ多分一番は、口で勝てない、というのが皆が話したがらない原因であろうが。殴り合いでなら惨敗だろうが、口論でなら負ける気はしない。だから、僕に話しかけてくる物好きはそうそういない。間違った事を言っているつもりはないが、まぁ正しくもないのだろう。人それぞれ考えがある。そんな僕と話しをしたいという奴は少なくとも、今のクラスメイトの中にはいない。楽でいいがな。

そんな思考にふけっている間に言い合いは終わったらしい。


「もういいわ。揶揄う気も失せたわ」


「最初っからやらなきゃいいでしょ!」


ポケットに手を突っ込んで、手下2人を連れて教室から去っていく黒田君。それに、睨みながら怒鳴りつける白井さん。ホッと息をつく日裏君。そして、話を振られ、意見を言ってあげたにも関わらず、最後には無視されている僕。まぁこんな僕の扱いもいつもの事だ。

そんな事を思っていると、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。今出て行ったばかりの黒田君も戻ってきた。バツが悪そうにそそくさと席に着いた。

まぁ出て行ってすぐ戻って来るのは恥ずかしいだろう。あんな捨て台詞まで吐いて行ったのだがら。ぞろぞろと他のクラスメイト達が戻って来る。皆僕と目を合わせる事はない。僕がそちらを向けば、バッ!と凄い勢いで目を逸らす。隠す気なしだ。ガン無視だ。ある意味これはいじめなのではないかと、僕は思った。

白井さん僕、いじめられてますよ〜。風紀乱れてるんじゃないですか〜?

白井さんの方を向けば、彼女も僕とは目を合わせる事はなかった。

委員長白井にとって正義感とは、弱い人間に対して発動されるものらしい。僕は弱くないんだなぁと、喜ぶべきなのだろうか?又は、僕はこのクラスの人間と認められていないのであろう、と自己完結する事にした。



更新速度は期待しないで下さい。…できる限り頑張ります

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