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平凡少年佐藤君の人生傍観的記録  作者: 御神
八章 高校三年、二学期
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141話 宝来彼方の野望

すみません…。

お待たせしたくせに短い……。



宝来の衝撃的なカミングアウトに、思わず固まった僕達、というか僕だけか……。


「……大学に行かないって、どういう事だ?説明しろ」


無意識に睨みつけながら、宝来に強めの口調で問う。

……幡木に会長、頼むからワクワクした顔で僕達の様子を見るのをやめてくれないか。それと、とりあえず餅食うのをやめて下さい。


「俺さ!小さい頃からの夢があるんだ!」


「プロバスケ選手とかか?お前の取り柄なんて、バスケくらいのもんだもんな」


そんなの想定外の答えでもない。

しかし、宝来は分かってないな、と言いたげな腹の立つ表情で首を横に振り、立ち上がり、人差し指を天に掲げながら叫んだ。


「アメリカン・ドリームだよ‼︎」


「…………は?」


全く意味がわからなかった。


「だから、夢だよ!アメリカといえば?はい佐藤くん‼︎」


マイクを持っているつもりか拳を口元に持ってこられ、回答を迫られる。

僕はパッと思いついた、宝来でも可能性のあるであろうものを口にする。


「……NBAとかか?」


「んんんおしいっ‼︎」


拳を自分の口元に持っていき、至極楽しそうに不正解を告げる宝来。

一つ言っておくが、お前にギャンブルは無理だからな?

ラスベガスで夢を掴む、なんて夢物語でもありえない事を考えているのなら、今すぐやめろよ。

お前に一発逆転一攫千金、なんて天地がひっくり返ってもありえないからな?

ディーラー側にカモられて終わりだ。

馬鹿が思いつくアメリカン・ドリームなんてそんなものだろう?


「はいはいはいはい‼︎私わかりました!」


「後輩君が答えると言うのならば、先輩として私も答えねばならんな‼︎」


今まで静かに見ていたはずの宇宙人二人が、勢いよく手を挙げた。

一人は騒がしく、一人は挙げてない方の手で顔を覆いながら、中二病感満載なフリと共に。

……挙手すらも普通にできないのか、こいつらは。


「はいどうぞ!」


先に宝来が拳という名のマイクを向けたのは、幡木だった。


「ヒッチハイクの旅なんてどうでしょう‼︎」


なに提案してんだお前。

それがお前の思う、アメリカン・ドリームか?

お前、正確に意味を理解できているか?


馬鹿でもわかるように一言で説明すると、「成功の概念」だ。

与えられた機会チャンスを努力等によって勝ち取ることが可能な物、だ。


「おおっ!それもいいなぁ‼︎でも違いまーす」


馬鹿が馬鹿の提案に乗っかるな。

目的のないヒッチハイクの旅で、お前は何を得ようというんだ?

人との出会いか?

そんな事やるなら日本でやってろ。


「それじゃあ、次どうぞ!」


マイクが向けられた会長は、フフフ、と不気味に微笑うと、


「アメリカといえば自由‼︎自由といえばフリー‼︎フリーときたら、フリーターだ‼︎‼︎」


それじゃあただの無職だろ。

アメリカにまで行って何してんだ。


「ブッブッー!違いまーす‼︎」


当たり前だ。

そこで正解!、とか言いやがったらブン殴って外に放り出してやったところだぞ。


「ええー、もったいぶらず教えて下さいよ‼︎気になるじゃないですか‼︎」


「そうだぞ宝来後輩君!」


テーブルに手をつき、宝来に答えを迫る二人。それに対し、まあ待て、とでも言いたげに右手を前に出し二人を制止する宝来。

その得意げな顔腹立つからやめろ。


「さっさと言え。杵で頭ぶっ叩くぞ」


「……佐藤君。それで叩いたら頭割れるから。流血騒ぎだけはやめようね」


餅つきで使った杵を宝来の鼻先に突きつけながらそう言うと、今まで黙って見ているだけだった榊原さんが頭をおさえながら僕を窘めた。

……馬鹿共の相手はこんなに疲れるんですよ。ご理解頂けましたか?

ツッコミどころ満載でしょう?

知ってますか?こいつら素で、本気で、冗談でも何でもなく、ガチで言ってるんですよ。


「わかった!言うから!だからそれ置いて!」


慌てた様子でズザッと後ろに下がり、杵を手放せと指図してくる宝来。

ため息と共に、仕方なく杵を床に置く。そして無言を持って続きを促す。


「おっほん。では発表します!」


態とらしい咳払いをし、だが未だに結論を言わない宝来。

しかし、


「ドゥルルルルルルルルル」


「ジャンッ‼︎」


バカでノリだけはいい幡木と会長は、下手くそなドラムの音を口で発しながら、その楽器を持っているかのような仕草で場を盛り上げる。(実際に盛り上がっているのは三人だけだ)

僕の心は最早氷点下を超えている。


そして、宝来はその二人のドラムロールを嬉しそうに満面の笑みで聞いていた宝来は、立ち上がり、人差し指を天高く突き上げると、高らかに叫んだ。


「俺、メジャーに挑戦する!」


…………なんて?

ここで切りたい!と思ったのにそこまで持っていくのが大変だった。(文字数的に)

申し訳ないですが、次の話に続きます……。

次は文字数もう少し頑張ります…。


それでは次回もどうぞよろしくお願いします。

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