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平凡少年佐藤君の人生傍観的記録  作者: 御神
八章 高校三年、二学期
155/178

番外編 文化祭、ウラバナシ

グダグダ短編。

文化祭の裏話(?)になります。

その1

幡木掬のデモンストレーション




「それではこれより、ペイントバトルについて説明します」


青い空の下、学校のプールサイドに白い雨具や白いパーカーを着た人達が集まっていた。25メートルプールを横に使うのか、両サイドに各12人ずつが並んでいる。

そして、水の張っていないプールの中央に一人、仁王立ちしている白いうさ耳フードパーカーを着た小さい影。客はそれを気にしつつも、説明に耳を傾ける。


「まず、寒色と暖色で組み分けをします。私の立っている位置にあるラインが中心です。

ルールですが、

一つ、相手チームの陣地に入ってはいけません。

二つ、必ずこちらで貸し出したパーカーか雨具を着て下さい。

三つ、必ずこちらで貸し出したゴーグルをかけて下さい。ペイントが目に入ったら危ないです。

四つ、使用できるのは、選択した武器のみです。武器は二つまで選択できます。しかし、ペイントの追加はできません。中身がなくなったら終了です。

制限時間は5分。勝利条件は、自分のチームより相手チームにペイントをつけること。各チーム12人の服や体、顔に付いた面積をこちらで判断し、勝敗を決めます。1チーム、パーカー10人、雨具2人です。雨具はパーカーよりもペイントが付きにくい為、盾として使うのも作戦の一つです。作戦会議の時間はありませんので、その場のノリだけで楽しんで下さい。

勝ったチームには、この文化祭で使用できる100円割引券2枚をプレゼント。負けたチームには参加賞として駄菓子を進呈。

みんなで真冬の水遊びを楽しみましょう!」


因みにこのペイントバトルだが、11月という涼しい時期なのにも関わらず、寒さへの配慮は一切ない。

2-Cの教室で配られている参加用紙にも、最後の一文に『防寒対策は各自自分で行なって下さい。タオルの準備はございますが、後々風邪をひいたとしても自己責任でお願い致します』と、ある。


「それではこれから、デモンストレーションを行いますので、プール中央をご覧下さい」


「待ちくたびれましたよ‼︎」


プールの中央で一人、待たされていた幡木が笑顔で腰のホルスター(水鉄砲用のスポンジタイプのもの)から、二丁の水鉄砲を取り出し構える。


「さあ、楽しい戦を始めまし ブッ」


「このように、はしゃぎ過ぎると顔面にペイントが直撃し危険ですので」


「目がぁぁぁぁ‼︎」


「ゴーグルは絶対に着用し、口はできる限り閉じてお遊び下さい」


水鉄砲を構え、格好つけたが、デモンストレーションの為にプールに降りたクラスメイトの一人が放った水が顔面に直撃。ゴーグルをかけていなかった幡木は、ペイントが目に入ったのか、水鉄砲を取り落とし、目を押さえて蹲る。


※共同制作絵の具という、水で落ちやすく子供にも安全な絵の具を水で薄めて使用しております。が、故意に人に向けてはいけません。


「デモンストレーションですが、あのチビ1人対5人の変則で行います。多対一の時の立ち回りをお見せします」


お客を左右に見て、真ん中にある線を挟んで睨み合う幡木とそのクラスメイト5人。


「武器は、複数タイプの水鉄砲と水風船ですが、今回は普通の水鉄砲だけでやります」


武器は4種類

通常の拳銃タイプの水鉄砲(百均)

筒状の水鉄砲(百均)

ペットボトルにストローをさした物(手作り)

水風船

鉄砲は2つまで。水風船は1チーム24コである。


「それでは、デモンストレーション、始め‼︎」


ピッ、という笛の音を合図に幡木は動く。

腰のホルスターから2丁の鉄砲を勢いよく取り、相手のいる方向へと向けると、引き金を片手3回ずつ引く。


「私は2丁拳銃のガンマン‼︎この私の早撃ちに勝てると思わないことでッ、」


一瞬の静寂。


「目がぁぁぁぁ‼︎」


「バカか」


「バカだ」


「口にも入ってきたぁぁぁ‼︎」


「アホだ」


「アホでしょ」


相手チームのみならず、見ていた客(小学生含む)も同じ事を思ったらしい。

何を思ったのか幡木は、目を瞑って6発分のペイントを放った。しかしそれは、相手に1ミリも当たることなく、プールの底を青と緑で色付けただけであった。

格好つけて、クルクルと手で回しながらホルスターに水鉄砲をしまい、ドヤ顔をしていた幡木には、相手チーム5人からの集中放火を浴びた。

頭、顔、胴体、手足など、全身に疎らに付いた赤と橙色のペイント。そして先程と同様に目に入ったらしいペイントに、これまた先程と同様に目を押さえ叫ぶが、口を開いた瞬間、運悪く顔からペイントが滴り、口の中に入ったらしい。


「マズイ!ぺっぺっ、何ですかこれ⁈目の前が真っ赤で何も見えないっ‼︎」


「うるさい」


ギャーギャー騒ぐ幡木に、相手チームの一人が、幡木にホースを向け水をかぶせた。


「冷たいっ‼︎何するんですか‼︎寒いじゃないですか‼︎」


騒がしいのは変わらなかった。

髪や肌に付いたペイントはその水で落ちたが、今度は11月の屋外で水を被った幡木は、今度はその寒さに文句を口にする。


「うるせぇ」


「早くプールから出るぞ」


そんな幡木の腕を取る、相手チームにいたクラスメイトの二人。


「何するんですか⁈いじめですか⁈さっきから私にばかり!」


進行の妨げになる為、騒ぐ幡木の言葉を聞く者は最早いない。

…こう言うと普段は聞いている、という風にも取れるが、1年で学んだ同級生達は、幡木の言葉には耳を傾けない。

馬耳東風。幡木の言葉は右から左へと流れていく。



「このように多対一の場合は、狙い撃ちにされますので、お気をつけ下さい」


騒ぐ幡木を3人で引きずりながら、プールサイドに上げるのを冷めた目で見ながら進行するクラスメイト。


「デモンストレーションはこれにて終了です。5分後にゲームスタートとなりますので、武器にペイントが入っているか確認の上、プールへと降りて下さい」


一つ言っておこう。

進行するクラスメイト…彼女の言動から、お分かりかとは思うが、


彼女は幡木掬が大嫌いである。





プールに設置されているシャワーで暖を取った幡木は語った。


「筆を使えないのが残念でなりません!あれなら一人でも負ける気がしませんねっ!」


武器の候補に大きな筆(パフォーマンス筆)やモップなどがあったが、人だけでなく回りの物への被害も大きかった為、除外された。

それと、長物な為単純に危なかった。

馬鹿に使わせられなかった、というのも勿論ある。





2回目のデモンストレーションが終了し、シャワールームに入った瞬間、幡木はパッと顔を明るくした。


「きたっ‼︎」


満面の笑みで、慌てた様子でポケットからスマホを取り出した幡木は、サッとその画面を見ると、頭に乗せていたタオルを振り落としながら、駆け出した。


「すみませんっ!大事な用事ができたので、ちょっと教室まで行ってきます‼︎」


言うだけ言って、誰からの返事も待たずに、幡木は足跡をつけながら校舎へと走り去った。


この数分後、幡木は佐藤、宝来、金見、新井山との追いかけっこをする事になる。

その2は時間がある時にこの下に追加します。


書きたいのは、

*王子、グリシーヌのお忍びデート中のスクリーン先の様子。

*女装撮影会裏話

*幡木の所為とはいえ、ドレスを汚してしまった佐藤君の後日談。


主にこの三つです。

追加したら、活動報告、ツイッターにてご報告します。


それでは次回もどうぞよろしくお願い致します。

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