107話 受験生だという自覚を持ちましょう
全然ネタが思いつかない……。
しばらくは迷走しながら書いていきます……、、
進級して早々、3年生になったんだな、と自覚せざるを得ない行事が行われた。
4月某日。
朝のホームルームで先生が言った。
「今日の午前中は、進路別ガイダンスがある。行きたい大学や、気になっている大学、専門学校など、将来に関わることだ。ちゃんと考えろよ。以上」
簡単にそれだけ言うと、先生は教室から出て行った。
「進路だってよ。俺どうしようかなぁ。なあ!佐藤はどこ行くんだ?」
後ろの席に座る宝来が身を乗り出し、僕の肩を叩いた。そんな宝来を冷めた目で見返し、こう答える。
「お前の頭では到底入れない大学に行く予定だ」
それに宝来は、むっと唇を尖らせ、不機嫌そうに
「またそんなこと言って、お前だってそんなに頭よくないはずだろ!」
「彼方知らないの?佐藤君、2年生で成績すごく上がったんだよ」
「えっ⁈」
宝来の後ろにいる水城が、軽く目を見開きそういうと、水城の隣の金見が追い打ちをかけるかのように続ける。
「そうそう。期末とか上位50位に入ってたよ。まあ彼方は、赤点祭りで気にする余裕もなかったみたいだね」
「うぐっ」
嫌な笑みを浮かべる金見に、返す言葉もなく顔を歪ませる宝来。そして視線をズラし、ターゲットを隣に座る岬と新井山に変え、
「夏野と晴汰は決まってないよな⁈俺だけ決まってないなんてこと、ないよな‼︎」
必死の形相でそう叫んだ。そんな宝来の様子に苦笑しつつ、岬は首を横に振る。
「いや、俺は大体決めてある」
「俺も」
二人の否定の言葉に、宝来は頭を抱え、机に突っ伏した。
「う、嘘だ‼︎俺だけ、決まってないなんてっ‼︎」
「先週大学の一覧資料もらっただろ。何も考えてないお前が悪い。現実を見ろ。ギャーギャーと喚くな。静かにしてくれ」
後ろからすすり泣く声が聞こえた。
そして、希望別に各教室に分かれての講義が始まった。
のだが、
「…………」
「楽しみだな!」
僕の隣の席に宝来が座っていた。
「なんで、お前がここにいる?」
「えっ?俺、決まってないから佐藤と同じとこにしようかと思って」
「……さっき僕が言った言葉を忘れたのか?」
「小学校から一緒だから、大学も同じだと俺は嬉しい‼︎」
「僕は全然嬉しくない」
「照れんなって‼︎」
僕の言葉を聞く気がない馬鹿に、これ以上言うことはない。
「まあまあ、二人とも落ち着いて」
「なんでお前もいる……?」
「僕もこの大学気になってて」
反対隣に座っていいる水城が、にこやかに僕の問いに答える。
「まぁ、この大学でも、お前の頭なら楽勝か」
「学科は違うだろうけど、同じ大学が希望なら、僕と一緒に受験勉強でもする?対策は練れると思うよ」
僕の言葉を否定しないのは気になるが、それは僕にとっては嬉しい提案だ。
「いいのか?僕と勉強したところで、お前に得はないと思うが」
「そんなことないよ。得意科目も違うし、教える事で復習もできる。彼方とかなら絶対誘わないけど、佐藤君なら僕にも損はないよ」
まぁ本人がそう言うならこちらに断る理由はない。僕が返答しようとした時、話を聞いていたのか、宝来が笑顔で割って入ってきた。
「俺も仲間に入れろよ!俺も一緒に勉強するぞ‼︎」
「…………」
さっきの言葉を聞いていなかったのだろうか?さっきから、こいつの耳は都合のいい事しか聞き取れないのだろうか?
「ふふっ。彼方は足手まといでしかないからダメ。赤点回避は付き合うけど、受験勉強までは付き合えない。僕達の目指す大学はそこまでレベルの低いところじゃないんだ。ごめんね」
さらりと酷い事を笑顔で言う水城。そういうところ、嫌いじゃないぞ。
優しく言ってはいるが、言葉には毒しかない。僕には微笑みも嘲笑ととれる。
現に、宝来は言われた言葉が頭に入ってないのか、ポカンと口を開け、アホヅラをさらしている。
「先生も言ってたけど、進路はちゃんと決めた方がいいよ。いつまでも佐藤君と一緒に、なんてありえないんだから」
水城の正論に宝来は俯いた。
そうこうしてるうちに、ガイダンスが始まった。馬鹿は放っておいて、真面目に聞かないとな。
他に3校くらいの講義を聞き、昼休みに入った。
こんな日でも僕に昼休みはない。
「遅いですよ先輩‼︎見事に遅刻です‼︎」
"遅い"と言ったうえに、"遅刻"と同じ意味の言葉を重ねるバカな後輩の進路も心配になってくる。こいつは宝来以上に考えていないだろうからな…。
「2年もガイダンスがあったはずだが、なんでお前は、放送室に早く来れてるんだ?」
「そんな興味がかけらもそそられないもの、いっこうければ十分です!一番短い講義?をうけて、あとはこの隣の教室で先輩が来るのを待っていました!」
こいつはもうダメだ。
お前も来年は受験生だぞ、という忠告はしないでおく。無意味だからな。
先生方、並びにこのバカの友人、来年頑張ってくれ。僕はこいつよりも一年先に生まれた幸運に感謝しながら、先に卒業する。
「さぁ先輩!放送をはじめましょう!昼休みはもうはじまってますよ‼︎」
まぁ、このバカと付き合うのもあと一年。まずは、残りの一年で放送委員をなくすことに、僕は全力を尽くそう。
中身のない話で申し訳ない。
忙しくてなかなかネタが思いつかず、いいのが書けない……、
という言い訳をしておく。
とりあえず、次回もなんか書きます。よろしくお願い致します。