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平凡少年佐藤君の人生傍観的記録  作者: 御神
七章 高校三年、一学期
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105話 新学期が始まったわけですが…。

新学期です。佐藤君達も3年生、掬ちゃんは2年生になりました!


掬ちゃんが先輩……、笑うしかないですねっ‼︎


さてさて、新学期になりました。

僕達も早くも高校3年生。受験生と相成りました。

無事に進級できた宝来。何故か赤点はなく、授業態度のみに問題があるが、こちらも進級できた幡木。幡木も早くも"先輩"になりました。


そして、新学期が始まり、早一週間。

僕は納得と共に安堵した。




「なぜですか⁈」


「……当然の結果じゃないか?」


放送委員に後輩は一人も入っていなかった。



後輩に先輩面したい幡木はそれはそれは怒った。何故か僕に……。


「先輩が悪いんですよ‼︎委員長のくせに仕事しないんですから‼︎」


「…いいか幡木。まず、あれは僕にとって必要なものじゃないんだ。よって放送委員長の仕事には含まれない」


「だから代わりに私がやってあげたじゃないですか‼︎なのになんで来ないんですか⁈」


「……あれで来る方がおかしい」







5日前。


その日は昼休み後に体育館で、部活、委員会紹介があった。それには勿論放送委員会も含まれているわけなのだが、


「僕はわざわざこんなものには参加しないぞ」


「なんでですか⁈せっかく後輩を放送委員に引きずりこむチャンスをムダにする気ですか⁈」


「……"引きずり込む"気なら参加する必要はないな」


幡木の反論を僕はバッサリと切り捨てる。【引き入れる】なら分かるが、【引きずり込む】とは、無理矢理委員会に入れる気満々ではないか。まぁ、意味がわかっているかどうかは微妙なところだが…。

体育館の放送室で進行をやる準備をしていた僕は、騒ぐ幡木に目を向けることもなく、マイクテストや音響の確認をしながら適当に返事をする。


「私は私ちょくぞくの後輩がほしいんです‼︎」


「好んでお前の後輩になる奴はどこにもいないな。諦めろ」


「諦めたら試合終了ですよ‼︎」


「始まってすらいないから、終わるもなにもない」


そんな無駄な言い合いをしている内に、部活紹介が始まる時間になった。体育館にはもう生徒が揃っている。


「これより新一年生のために部活動、委員会の紹介を始めます。今週は仮入部期間になります。気になった部や委員会には積極的に見学に行くとい「私の後輩になりたい子は是非放送委員へ‼︎」


シーンと、体育館が静まった。


「……誰でもいいので、この馬鹿を引き取って下さい。進行できないので」


幡木の担任の先生になってしまった体育教師が、慌てて幡木を引き取って(引きずって)行ってくれた。その間も静まり返った体育館に響く幡木の声。


『なにするんですか⁈セクハラですか‼︎私に手をだそうだなんて、教師失格ですよ‼︎』

『はいはい。わかったわかった。大人しくこの部屋でてこうな』

『子供扱いしないでください‼︎私だってもう2年生です!先輩になったんですよ‼︎』

『先輩になったんなら先輩らしくしろ‼︎』


声が大きいせいで放送室の中から漏れたその声は、2、3年生を呆れさせ、1年生達を呆気にとらせた。


「……大変失礼しました。改めまして、部活動、委員会の紹介を始めます。まずは…」


煩いのがいなくなった為、僕は進行を再開した。若干動揺している新1年生達をよそに、慣れた2、3年は淡々と準備し始めた。その様子を放送室の小窓から見ながら、僕はため息を吐いた。





「紹介はこれで以上になります。新入生の皆様は、部活、委員会選びにくれぐれも失敗しないよう心掛けて下さい。紹介にはございませんが、帰宅部、というものも選択の一つにありますので、気になった部等がなかったらそちらへどうぞ。先輩後輩もなく、教師や監督やらが介入しない素晴らしい部活動です。一つ、先に説明します。これは"正式な部活動"として、今年からできた部活動です。この部活動を作ったのは、前年度の生徒会長です。最後にとんでもない問題を置いて卒業していった迷惑極まりない会長でしたが、帰宅部を作るなら僕が入学する前にしてほしかったと、文句の一つでも言ってやりたいところですね。ああ、無駄話が過ぎました。これにて、部活動、委員会の紹介を終わります。新入生から順に退場して下さ「そうはいきませんよ‼︎まだ放送委員の紹介をしていません‼︎」


背後の扉が勢いよく開いたかと思うと、幡木は走って僕に近づいて来た。そして、幡木は僕からマイクを奪い取ると、退場し始めている1年生に向けて叫んだ。


「放送委員を見学に来た子達はもれなく放送委員になります‼︎他の部活や委員会になんか行かせません‼︎私の後輩になりたい子はじゃんじゃん来て下さい‼︎」


そんな言い方をしたら誰も来ない、と誰もが思った。


「いっっ!」


「……退場して下さい」


幡木の頭に拳を落とし、目の前にいる幡木と、幡木の声に驚き足を止めた新入生達に向けて、僕は一言そう言った。




そして、5日経った今、


「なんで誰もこないんですか⁈」


当然、新入生は誰一人として来なかった。


というわけで、3年目に突入して一回目は、放送委員の話でした。

とりあえず、新キャラはまだ考えてないので、思いついたら出したいな、と軽く考えております。

次は彼方くん達のターン(になるはず…)


次回もどうぞよろしくお願いします。


PS.

2周年記念小話(会話文のみ)らしきものは、死ぬほど短いのでツイッターの方でアップ予定です。

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