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平凡少年佐藤君の人生傍観的記録  作者: 御神
六章 高校二年、三学期
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97話 修学旅行に行こう そのに

えーと、、今回は観光案内みたいになりました(すみません)


次話の自由行動編をお楽しみにしてください。


二泊三日の修学旅行。

僕達は、京都の地へと足を踏み入れた。


しかし、しおりを見ても思ったが、この修学旅行はどこかおかしい。

一日目は23組ある班を三つに分け、集団で観光する。それはいい。修学旅行とは本来、遊ぶのではなく、学ぶ為のものだからだ。

そして、それぞれ分けられた組に同伴する先生がルートを決めるのだ。つまりは、先生の行きたいところに行かされる、ということ。

何を言いたいかわかるか?

僕達に振り当てられた先生は、英語担当の四十万先生と、社会科系担当の分藤先生。この二人が最悪だったのだ。





「それじゃあ、バスに乗り込んで下さい。私達の班の最初の行き先は、壬生寺です」


そう言うと、四十万先生は生徒達をバスに乗るように促す。何故か急ぎ気味で…。


「ほら早く乗れ!時間は有限!今日中に全部回るぞ!」


分藤先生までもが急かしてくる。

そして、乗り込んだバスの中で始まった、先生方の熱のこもった演説。


「それではこれから、新撰組ゆかりの地巡りの旅に行きたいと思います!」


「みんなにも、新撰組がいかに素晴らしいかを勉強してもらえたら嬉しい!」


そんなテンションの高い教師二人の"新撰組"トークを聞かされながら、僕達は壬生寺へと到着した。

そこでも"同伴"のはずの先生二人は止まらなかった。


「見てみろ!ここで隊士達が躍動し、時代が動いた。とても素晴らしいところだとは思わないか‼︎」


「境内見ましょう!あと御朱印‼︎これ重要‼︎」


高そうなカメラ片手に、高校生の僕等よりはしゃいで写真を撮りまくる二人。僕達は、もちろん冷めている。

二人は僕等生徒を置き去りに、ガンガン奥へと進んで行く。


「……行くか」


誰かが言ったその一言で、僕達も後を追った。もはやどちらが同伴者かがわからない状態である。明日の自由行動の時にやってくれ、と思った奴は多いだろう。


寺を一周し、言っていた通り、皆記念に御朱印をもらった。こんなにいてすみません、と言いたくなった。約40人分…。寺を周り終わったが、先生方の姿はなかった。


「これ!これ素敵じゃありません⁈」


「いいですね!私も買います‼︎」


少し探すと、"壬生塚"という看板が立っているところの先から、聞き覚えのある声が、してきた…。

重たい足を動かし、門をくぐると、グッズ販売をしているところにその姿があった。


「いやん。これ可愛い!マスキングテープですって!可愛すぎて使えない!」


「このトートバックもはずせませんな!これは普段使いにもピッタリだ‼︎」


「…………」


皆が一斉にため息を吐いた。

僕達はその二人から視線を外し、壬生塚にある、近藤勇の胸像を拝み、芹沢鴨らのお墓に手を合わせ、ゆっくりとあの二人の元へと戻った。


「買いましたね!」


「ああ、いい買い物でした‼︎」


袋を手にした教師二人は、満足気な表情で立っていた。そして、僕達に気づいたかと思うと、


「遅いぞお前ら‼︎」


「ほらさっさと次に行きますよ」


二人の言葉に、何人かが怒り、何人かが呆れ、しかし誰も何も言わなかった。


次に向かったのは、壬生寺から徒歩1分くらいの距離にある八木邸。"誠"と書かれたた旗と新撰組カラーの幕に迎えられ、門をくぐる。

現在は和菓子屋"京都鶴屋 鶴寿庵"となっているが、新撰組 壬生屯所旧跡として有名である。

そうこれは先生による先生の為の新撰組ツアー。

見学料、解説、和菓子、お抹茶付きで千円。20分程解説を聞き、先生方の本命であろう、芹沢鴨暗殺の部屋や梁にできた刀傷を見せてもらった。言うまでもなく、二人のテンションは下がる気配が見えない。

先生方、後ろをついてくる生徒方の顔をご覧なさい。冷めてるでしょ?呆れてるでしょ?頼むから気づいてくれ。

新撰組ツアーが嫌なわけではない。先生方のテンションや、熱の入りようを見るのが嫌なのだ。この二人がきちんと先生としての役割を果たしていたのなら、僕達も楽しめただろうに…。

屯所餅とお抹茶は美味かった。


さらに八木邸から徒歩1分程度の場所に、旧前川邸があり、もちろんそこもツアーに含まれている。こちらも新撰組の屯所として有名だ。しかし、ここは個人の住居となっている為、公開はしていない。土日であれば、玄関で前川邸オリジナルグッズや新撰組グッズなどを販売しているが、"先生方にとっては"残念なことに、本日は平日。外観だけを撮って終わった。

さらに歩き、光緑寺に着く。ここには新撰組のお墓がある。拝観はできないが、百円で墓参りなら可能である。


「さぁ行きましょう!」


「お墓参りだ。皆、失礼のないように」


「いや、僕はいいです。外で待ってますから、行きたい人だけ行ってきてください」


思わず僕はそう言っていた。それに四十万先生が眉をつりあげ、なにかを言おうとしてきたが、


「あ、じゃあ俺も」


「俺もいいです」


「私も」


と、皆が僕の援護射撃をしたことにより、口を閉じた。不機嫌そうな顔はどうにもならなかったが…。

そして、先生方二人だけが中に入り、生徒が待つという、修学旅行にあるまじきことがおこった。


先生方が出てくる少し前、近くに見覚えのあるようなバスが止まった。前の方を見ると、【逢真高校一同 3班】と書かれており、僕達の乗っていたバスだとわかった。先生方は戻って来ないが、僕達は無言でバスに乗り込んだ。

二人も戻って来て、バスは次の目的地の"二条城"へと向かう。



その後も色々あったが、

二条城(大政奉還の舞台)、京都御苑(蛤御門、猿ヶ辻)、円山公園(坂本龍馬、中岡慎太郎の像)京都霊山護国神社(坂本龍馬、木戸孝允のお墓)、霊山歴史館(幕末維新ミュージアム)、木屋町界わい(池田屋跡、近江屋跡)など、先生方の行きたかったところには全て連れて行かれた。


しかし、そんな弾丸ツアーを強行したわけだが、もちろんこれは修学旅行。

旅館に集まる時間に遅れ、二人は他の先生方に怒られていた。当然だな。





こんな感じで僕達の京都修学旅行一日目は幕を閉じた。

四十万、分藤先生二人のおかげで(所為で)、今日一日だけで新撰組に詳しくなってしまった…。

新撰組関連の観光なら任せろ状態である。



他の2組の観光内容を聞いてみると、1組はベタに奈良の大仏や寺巡りに、茶道体験、くみひもストラップ制作体験。

もう1組は、坐禅や写経を体験し、そのあとは、五井先生によるグルメツアーだったらしい。

2組共、僕達の班とは違い修学旅行らしい内容である。


何故、そっちに五井先生が行った…。

その五井先生を含めた四人の先生に正座させられ、怒られている二人を遠目に見ていたが、宝来がそちらを指差し、


「俺も五井先生のグルメツアーがよかった‼︎こっちなんて先生達が楽しんでただけじゃん‼︎」


ついに吠えた。皆の総意である。よく言った。今までよく静かにしてたな、と思ったが、理由を聞いて納得した。


四十万先生が苦手(怖い)からだそうだ。

…ああお前、一度こってり絞られたもんな(補習)。

というか、四十万先生、漢字嫌いなんじゃなかったのか…?

新撰組は別枠とかそういうものか…?

よく分からん。


そして、怒られる先生方を放って、僕達は解散。夕飯までは自由時間となった。

四十万、分藤先生による新撰組ツアー、いかがでしたでしょうか。

京都巡りの際は是非ご活用下さい 笑


というわけで、今回はこんな話になってしまいましたが、次回は自由行動編!

佐藤君や彼方君達がメインのお話しですので、お楽しみに。


それでは、次回もどうぞよろしくお願い致します。


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