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平凡少年佐藤君の人生傍観的記録  作者: 御神
六章 高校二年、三学期
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96話 修学旅行へ行こう そのいち

修学旅行編に入りました!

今回のは、序盤も序盤ですが……。


書きたいことはそれなりにあるのですが、書ききれるか心配です…。

とりあえず頑張ります!

楽しいはずの二泊三日の修学旅行。

その真っ只中、京都の市中で、僕達はため息を吐かずにはいられなかった。


「……なんで、こうなるんだ」


ポツリと呟いた僕の言葉に、皆はもう一度ため息を吐いた。










修学旅行当日。

朝の6時に東京駅に集合だ。

今回は新幹線を利用し行くわけだが…。


「なんで今回はバスじゃないんだ?」


「時間がかかるからだ」


「俺、バスの方がよかったな。みんなでわいわいしながらの方が楽しいじゃん」


「……」


それは新幹線じゃできないのか?と言おうとしたが、やめた。

もし、新幹線=騒いではいけない、という認識があるのであれば、その考えは間違っていない。というより、騒がないでいてくれるのなら、その方が助かる。


「それで、僕等は何分前集合なんだ…?」


現在、僕と宝来は、集合場所である東京駅にいる。

時刻は、5時。集合時刻まではあと一時間もある。


「え?だって、遅れたら大変だろ」


3時頃に叩き起こされ、始発の電車に揺られて約20分。僕の予定では家を出る時間に、すでに集合場所に着いているという、想定外の事態。なのに、諸悪の根源である幼馴染の馬鹿は悪びれもせずに、そう一言で済ませた。殴らず、ため息一つですませてやった僕を、誰か褒めてくれ。





集合15分前にもなると、段々と集まってくる同級生達。


「二人とも早いね」


「どうせ彼方のせいだろ」


その中には、金見と岬がいた。僕は岬の隣を見て、思わず聞いた。


「珍しいな。新井山は一緒じゃないのか?」


それに岬は、眉を寄せ、なんとも微妙な顔をしたかと思ったら、言いづらそうに口を開いた。


「あー、、なんか三日間も会えないから、ちょっとお別れしてくるって……」


「彼女か⁈」


宝来が興奮したように岬に詰め寄る。岬は視線を彷徨わせ、口を開いたり閉じたりと、言葉を探しているようだ。


「晴汰のやつ、いつの間に彼女なんてできたんだよ!」


「いや、あのー、、彼女とかじゃ…、」


もごもごと、尻すぼみになっていく岬の言葉は、宝来には届かない。岬は、一人でわぁわぁと盛り上がっている宝来からサッと目を逸らした。


「…………」


知らずとも詮索しない金見はニコニコと様子を伺っており、事情を知っている僕は、二人の様子にため息を吐いた。


「…どうしたの?」


そんな微妙な空気の中、水城は困惑した顔で到着した。





集合時間ギリギリに来た新井山は、走ってきたのか、息を切らし、しかし満足そうな表情で、僕達のもとへとやってきた。


「間に合った…」


「彼女との別れはすんだのかっ!」


着いて早々、宝来に絡まれる新井山。新井山の肩に腕を回し、ニヤニヤしながら返答を待つ宝来。


「彼女…?」


宝来の言葉に首を傾げる新井山は、岬に目を向けるが、岬は顔の前で両手を合わせ、申し訳なさそうな表情だ。それに新井山は、何故か肩を落とし俯いた。そして、どこか諦めたかのように、新井山は口を開いた。


「…抱いていたら、中々離してくれなくてな。可愛く鳴くものだから、ついつい時間を忘れてしまった」


宝来は顔を真っ赤にし、素早く新井山から離れた。金見や水城も目を見開き、ポカンと口を開いている。


「お、お前っ、こんなところで、な、なに言って…」


宝来は動揺している。その様子に首を傾げた新井山は、


「なにをそんなに驚いているんだ?」


と、不思議そうにしていた。

その間、岬は顔をおさえ、「違うんだ晴汰…」と呟いていた。


「ねぇねぇ佐藤君。晴汰、本当に彼女とかいるのかな?」


「佐藤君は知ってる?」


そろりと近づいて来た金見と水城は、真剣な表情で、僕にそう聞いてきた。

お前らが誤解しているのは知っているが、僕に聞かないで本人に聞け。






誤解が解けないまま、時間がやってきて、先生に促され新幹線に乗り込んだ。

本当ならばクラスごとに分かれるはずだが、余計な気を回した先生方のせいで、班ごとに座席に着くことになった。いやこの場合は、宝来の厄介払いとも言えるか…。しかも、あてがわれた席はボックスシート仕様であった。やめてくれ…。しかし、幸運なことに、片面2席の4人ひと組仕様。もちろん僕は通路を挟んで、宝来とは別れさせてもらった。そして、僕と同じで人数からあぶれ、僕の正面に座ったのは、予想外にも新井山であった。


「……夏野以外からの好奇の目と、夏野の申し訳なさそうな顔の、意味が、わからない…」


そういい窓の外に視線を外した。


「………」


もう言えよ、と思ったのは僕だけではないはずだ。岬、お前も別に気をつかってやる必要はないんだぞ。というか、親友なら、あらぬ誤解を生んでいるこの状況をなんとかしてやれ。

岬は宝来が勘違いしたことを謝っていたが、新井山は秘密がバレたと思っている。

誤解が誤解を生んでいるわけだが、まぁ僕はそれに首を突っ込む気はさらさらない。


答えは単純明解。

ただただ、新井山は無類の猫好きだというだけのことなんだがな…。



そして、色々な意味で騒ぐ宝来やら、なにやら探るような視線を新井山へと向ける金見、水城やら、終始気まずそうな岬、居心地が悪そうな新井山等と共に、新幹線に揺られること、約二時間。

新幹線でも結局騒ぐんじゃないか、と宝来へ心の中でツッコミを入れながら、僕等は修学旅行の地、京都へと着いた。




未だに新井山の誤解は解けていない。

はい、というわけで、まだ京都に入りません‼︎ごめんなさい!

次回から、きちんと京都編なので、お楽しみに。

なにかがおこる(かもしれない)修学旅行編開始です!


それでは次回もどうぞよろしくお願い致します。


PS.ツイッター始めました。

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