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平凡少年佐藤君の人生傍観的記録  作者: 御神
五章 高校二年、二学期
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91話 修学旅行会議

今回は修学旅行についての話を書きました。


短いです…。

「さて諸君‼︎」


テスト明けのおかしなテンションの宝来が、椅子を後ろに倒しながら立ち上がった。


「…………………」


ああ、補修明け、と言い直しておこうか。今回も宝来は、当然の如く赤点を出した。教科は英語と数学の二つ。これだけは中々点数が伸びない。前に宝来が言っていた通り、バスケ部の先輩方にはこってりと絞られたそうだ。

まぁ、その話は置いておいて、今回、宝来のテンションが高いのには、一つのイベントが関わっている。


「来たる二月‼︎ついに修学旅行がある‼︎」


「全然来てないよ」


「まだ二ヶ月も先だね」


「その前にウィンターカップだな」


「今はバスケの方が重要だ…」


「ノッてこいよ‼︎」


水城、金見、岬、新井山と、机を囲っている全員に否定され、涙目で机を叩く宝来。

そして、お前は違うよな、というような目で僕の方を見る宝来。


「………興味ないな」


「誰でもいいからノッてこいよぉ〜…」


ガクリと膝をつき、机に顔を埋めた宝来を皆が呆れ顔で見る。


「わかったわかった。俺達が悪かったから、話し合いでもなんでも始めようか」


「それじゃあ、行きたいところとかあったら言ってね」


「俊…!橙里……!」


パッと顔を上げ、目を輝かせ二人を見た宝来は、立ち上がり椅子に座ろうとした。


「うえっ⁈」


「「「「「………………」」」」」


しかしそこに椅子はなかった。

なぜなら、宝来がさっき自分で倒したからだ。

僕達は床に尻を強打した宝来に、呆れた視線を向け、深くため息を吐いた。



それで、修学旅行の話し合いとやらはいつ始まるんだ…?







「さて、気を取り直して話し合いを始めます」


椅子に座りなおした宝来を見てから、水城は口を開いた。


「場所は定番中の定番、京都です」


「わーい」


棒読みでパチパチとやる気のない拍手をする金見。僕達は配られた資料に目を落とす。


「自由時間は一日。さて、僕が調べた結果、コースがおおまかに二つに絞れました。

一つは、伏見稲荷大社に行くコース

もう一つは、金閣寺に行くコースです」


「俺さ!しみずでらに行きたい‼︎」


「………清水寺きよみずでら、な」


宝来の馬鹿発言に金見が額を押さえながら訂正する。


「清水寺か、なら伏見稲荷大社に行くコースだね。他の皆はそれでいい?」


「いいよ。金閣寺は中学の時見たし」


「別に、どこでも」


岬と新井山がそう答えると、水城は僕の方を見て、問いかけてくる。


「佐藤君は?他に希望とかある?」


「…ないな。清水寺には大いに賛成だ。音羽の滝で学問の御利益でももらってくれば、こいつの頭も少しはマシになるんじゃないか?」


僕の言葉に、水城と金見は真剣な表情で頷く。


「ああ、それはいいね」


「近所の神社の神様には見放されてるからな…」


そしてまた宝来は、馬鹿な発言をする。


「なんだ、寺なのに滝があるのか?」


「……寺に滝があるのはそんなに珍しくないと思うんだが」


「お参りよりもお祓いしてもらった方がいい気がする」


岬と新井山がボソッと呟くが、本人には聞こえなかったようだ。呆れを通り越し、天を仰ぐ水城と金見の様子を不思議そうに見ている。

若干疲れた表情で、水城は続ける。


「……じゃあ、コースは伏見稲荷大社のコースで細かいところは後で詰めていこうか。一応行けるところは、

・伏見稲荷大社

・清水寺

・八坂の塔

・二年坂

・三年坂

・高台寺

・霊山観音

・金剛寺

・安井金毘羅宮

・八坂神社

とかがあるから、行きたいところとか纏めておいて」


配られた資料の中から、水城があげた観光スポットに丸をつけ、これで一回目の話し合いは終わりだ。


「あれ?さっき佐藤が言った滝が入ってないぞ?」


「…………はぁ…」


「……お前…」


「……彼方、」


「………すでに手遅れ、か…」


「……じゃあ、また次の話し合いのときまでによろしくね」


皆の反応に目をパチパチと瞬かせ首を傾げる宝来を他所に、僕達は席から立ちあがる。


「なあ、おいって。…なんで無視すんだよ‼︎」


状況が理解できずに騒ぐ宝来を置いて、僕達は解散した。




こうして第一回目の修学旅行会議は、滞りなく終わった。





おまけ


数日後、二回目の会議が開催された。



「さて、行きたいところは決まった?」


水城の言葉に真っ先に手を挙げたのは、やはり宝来だった。


「せっかく伏見稲荷行くんだったら、それにあやかって、きつねが食べたい‼︎」


その発言に目を見開く金見。


「あやかるって意味、知ってたんだ…」


その言葉には激しく同意する。


「…どこに行っても狐の肉を扱ってるところはないと思うけど」


「そんなことはわかってるよ‼︎失礼な奴らだなぁ‼︎」


拗ねてそっぽを向き腕を組む宝来に、水城は笑顔で資料を取り出す。


「まぁ冗談はさて置き、きつねってことは、きつねうどんとかいなり寿司とかかな」


「そうそれ‼︎どっかにないかな?」


「伏見稲荷大社の近くならおすすめが数店舗あるから、行った時に入れるお店にでも入ろうか。どこも美味しいから」


「食えるならなんでもいいぞ!」


こうして食事についても簡単に決まった。


というかこれ、宝来の希望を聞いて水城が纏めて、その纏めた資料を僕等に配れば早く終わるんじゃないか…?


まぁそうは思っても、これも授業の一環なので、どうしようもないのだかな…。


行きたいところ、というよりかは、やりたい事を言っていく宝来の声を聞きながら、僕はただ資料を眺めた。

修学旅行の本編はまだ先ですが、2月になったら書くので、お楽しみに…。

面白く書けるよう頑張ります!



次回は、クリスマスも近いので、そこら辺の話を書きます。暇があれば(多分ない)テストの話も書けたらな、と思います。

それでは次回もどうぞよろしくお願い致します。

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