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第10話 「居室」
「早かったね~w(笑)」
「後で別の検査があるかもしれないわよ」
「えぇ~~~(泣)」
検査が終り通路を歩く二人、誘導していた兵士が居室の前で止まった。
「二名に当てられた居室だ。今後必要な情報は我々から提供する」
そう告げると、兵士は歩き去っていく。
二人は居室の扉を開けた。どうやら相部屋のようで、他に二名の女性が簡易ベッドの上
に座っている。
二人は軽い挨拶をすると、反対側の簡易ベッドを下ろしてそこに座った。
「いつまでここに居るのかなー?」
「落ち着いたら教えてくれるわよ。きっと」
「んん~……潜水艦のご飯って美味しいのかな? お風呂も……コンセントってあった
っけ? 使っちゃっていいのかな?」
ここでも、ミサの気の緩んだような明るい調子は、夏輝や、他二名の様子とは対照的だ。
緊張が解けたことによるものか、もしくは敢えてそう、明るく振る舞っているのか。
親友である夏輝には容易に察せられた。それが後者であると。
柚子木 ミサという人間は、このような状況に置かれた時、明るく振る舞うことで本心
を隠す。夏輝はずっとその傍らで、ミサがつく嘘も、また。