第1話 「花粉症は突然に」
今年もやってきた。この季節が――
「くしゅんっ!」
ピンク色の髪をした美少女がくしゃみをした。鼻水が垂れている。
「うへ~」
その隣に座っていた青色の髪をした美少女が、眉間にしわを寄せてカバンの中をごそごそ。
「も~汚い。ほら、ティッシュ」
そう言って青色の髪をした美少女はピンク色の髪をした美少女にポケットティッシュを渡した。
「ありがと~」
その時だ。ピンク色の髪をした美少女がティッシュで鼻水を拭った瞬間。
「へっくち」
青色の髪をした美少女がくしゃみをした。
「なっちもじゃ~んw(笑)」
「んんっ! もうっ」
青色の髪をした美少女もたまらずティッシュで鼻水を拭う。
「ふっふっふぅ……ん…くしゅんっ!」
ピンク色の髪をした美少女がまたくしゃみをした。
「ほら、これ持っときなさ…へっくち」
ポケットティッシュをピンク色の髪をした美少女に青色の髪をした美少女が渡そうとした瞬間、
青色の髪をした美少女もまたくしゃみをした。
「もうっ! なんなのよ!」
青色の髪をした美少女は声を荒げた。
「あぁ~花粉症だね。マスクしておくんだったよぉ~…くしゅんっ!」
ピンク色の髪をした美少女が花粉症について言及したその瞬間、またくしゃみをした。
青色の髪をした美少女が片手でポケットティッシュをピンク色の髪をした美少女の方に差し出して、ピンク色の髪をした美少女はティッシュを取り鼻水を拭う。その間にも青色の髪をした美少女はまたくしゃみをし、またまたピンク色の髪をした美少女もくしゃみをした。
コンビニエンスストアのベンチの所、美少女達の前方には駐車場が、さらにその先は道路になっており、歩行者が歩行している。
都市部だけあって、歩行量は多い。そして、その歩行者の中からも……
「へっくしょんばっきゃろーぃっ!!!」
「あっくすんっ!」
「ぶらっくしょんさんせいっ!!!」
っと、立て続けにくしゃみの、どなり声にも似た音が伝わってきた。
美少女等はそれを見て、「今年もひどくなりそうだね~」と呟いた。
「あぁっ、もうティッシュ無くなっちゃった。買ってくるね」
青色の髪をした美少女はそう言い、コンビニエンスストアでティッシュを補充しようとベンチを立ちあがった。
「うちも~」
ピンク色の髪をした美少女も一緒にベンチを立ち、青色の髪をした美少女の後に続いた。