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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

この道の彼方に

想遥か

作者: cowori
掲載日:2026/10/17

「…長生きなんて、するものじゃ無いな…。」


俺は一人、夕張遺跡の奥にあるオアシスの岩の上に座り、この安らかな景色を眺めていた。

ここは昔と変わらず、静かに時が止まっている。


常國建国から四十年。俺の大切な人達は皆、既にこの世を去っていた。その度に擦り切れて行った俺の心は、風に舞う糸くずの様に定まらず、行く当てもない。


俺は、ふらふらと立ち上がり、オアシスの奥の扉を目指して歩き出す。


「この扉には近付くなよ。」と宮川に言われていたのを思い出す。


「いいか?この先には、お前が失くしてきたものがあるだろう。だが、この扉を潜るという事は、お前がこの現し世を去るという事だ。」


宮川という男は本当に真っ直ぐで、気持ちの良い相棒だった。


「宮川…本当はな?俺は何度もこの扉を潜っていたんだぜ。お前なら多分、分かっていただろうがな…。」


宮川 龍二…俺の相棒に出会ったのは、3回目にこの扉を潜った時であった。

ロシア侵攻から家族や皆を護り切れず、失意のうちにここに辿り着き、この扉を潜った。

そして、俺はその度に女神様に代償を払い、タイムリープを繰り返して来たのだ。


一回目…再び、戦火に友人を失ない、家族を失った。


二回目…石黒が、常國を建国するが、後に中国とロシアの戦争の舞台となり焦土となった。


三回目…俺と宮川、石黒が揃った。しかし、咲夜を見逃したことで、俺の家族が咲夜に殺された。


四回目…やっと…やっと、ここまで来れたんだ。


俺は扉の前まで辿り着くと、そっと表面の埃を払ってみる。


「女神様…俺はちゃんと役目を果たせましたか?」


俺はそのまま扉に寄り掛かり、静かに目を閉じる。


皆、最後は笑って去って行った。俺は皆を看取れた事を誇りに思う。


柔らかな初夏の風が頬を撫で、森の香りを運んでいた。

穏やかな光に、抱擁されているかの様な安らぎを感じる。



閉じた瞼に、皆の笑顔が浮かんでくる。


大切な人達と共に過ごした、幸せに満ちたあの日々が…。




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