お買い物
スーパーという場所は知り合いとばったり出会うことがままある。そのくせ人には会わないだろうとテキトウな格好をしていることが多いため、出会ったら気まずいことになったりする。
できれば私服がテキトウであればあるほど知人に見つかりたくないものである。
…まぁ、もう手遅れなんだが。
「アジュって私服こんなんなんだね。おもろ。」
スーパーのドリンクコーナー近く。ただジュースを安く手に入れたかっただけなのだが。俺の目の前には、週1ペースでお会いしている金髪ギャル。我らが家庭科部部長である。名前はまだ知らない。
もはや聞くに聞けないので部長としかお呼びしていない。
というか、俺の私服変ですかね?
純の格好はハートと共に「ILOVE 千葉」と大きく描かれた白Tシャツに黒のパンツ。薄手のグレーのパーカーである。
ちなみに、部長は白の野球帽に同色のファスナーを閉めたパーカー。ジーンズパンツである。なんか普段ほどギャルギャルしてない。今はギャルッ♪くらいである。
ギャルッ♪ってなんだ…。自分で考えといてよくわからんな。まぁ、とりあえず普通にかわいい。
「部長、奇遇ですね。」
「ね〜。休日に会うと思ってなかったわ。あと、なんで千葉なん?ここ神奈川w」
「リスペクトしてる人が千葉愛のつよい人なので。」
「意味わかんないw」
部長もあのラノベを読めば分かりますよ。あれは男子高校生には刺さるんです。おかげでMAXコーヒーとか千葉とか落花生とか、ひねデレた主人公とか大好きになりますよ。個人的に好きなヒロインは先生とサキサキです。
「部長はお買い物ですか?」
「いや~、散歩ついでの部活で作るやつのアイディア探しかな。みんなでお金出すし、できるだけ安くでできるものがいいんだよねぇ。」
「なるほど。」
どんな調理も材料がなければできない。我が家庭科部は部員がちょっとずつ出し合ったり、各家庭から拝借したりとなるべく負担のないようにしている。
もちろん毎週調理はできないので、手芸なんかもやる。髪留めとかすごいちっちゃいぬいぐるみっぽいのとか。
けれど、やっぱり作って食べてワイワイできる調理は部内でも人気だ。やれるだけやりたいのは部内全員共通認識だろう。
「ん?でも、部長。去年と同じようなものを作ればお金も問題ないんじゃないですか?」
「それじゃあ、私達が去年、一昨年と同じものってことじゃん。つまんないよ。」
「それもそうか。」
だいぶ期間が空いてるし、別にいいのではと考えてしまう俺の意見は心の中にとどめておこう。そこまでぶっちゃけて言える勇気はない。まだ、ギャルはちょっとこわい。
「まぁ、あんま思い浮かばないし、ネットでよさそうなの探すよ。今は便利な時代だしね。」
「そうですね。」
よし、これは解散の流れですね!帰ろう。若い女の子が遅くに出歩いてちゃ危ないですしね!(午後3時)
「じゃ〜、部長。さよ「…ねぇ。」…はい?」
「いっこ聞いていい?」
…嫌な予感がするのでダメです。
「…私の名前、わかるよね?」
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!(心の中)
なんて鋭いんだ、このギャル!?まずいマズイ!!
「…も、もちろんですよ。」
「…そう?なんかさっきから部長って呼ぶたびに目が泳いでた気がしてさ。そういえば、今まで部長としか呼ばれてないなってふとおもってさ。」
めっちゃ観察力高いじゃん!探偵なれるぞこのギャル。…ギャルの名探偵か。いいな。ちょっと前の話で出てきて欲しかったよ。部長。
「で?」
「ハハハハ。…ブ、チョウさんですよね!」
「…誰がそんな中国っぽい名前名乗った?」
…やばい。お茶目なジョークとも受け取ってもらえない!目も笑顔も冷た過ぎる!石川先輩よりも圧がある!
「…今、他の女のこと考えてなかった?」
「ひ、ヒィ!!滅相もない!」
なんでわかるの?!超能力使わないで。
「………。」
「………。」
む、無理だ。これ。ヘタに弁解もできん。
「…すみません。」
「はぁ…。ちなみに部の子達は覚えてる?」
「………。」
「これは罰が必要だね。」
「顔は勘弁してください。」
「なんでグーで殴られる気満々なの。」
え?そういうもんじゃないんですか?オカンはグーが飛んでくるか、晩のおかずが家出するかのどっちかですよ。
「…喉乾いたなぁ〜。」
「部長、甘いの好きですよね?マッ缶でいいですか?」
「お菓子食べたいなぁー。」
「ポテチのノリ塩もお付けします。」
「うすしお味がいい。」
「イエス、マム。」
ぐすんっ…。俺のジュース代が…。
ちなみにMAXコーヒーの缶は無く。ペットボトルしか無かった。牛乳のビンと一緒で、缶の方が美味いと思うんだが。
このスーパーの仕入れ担当は分かってないな!!(逆ギレ)
スキー行ってきたけど…ゲレンデマジックどこ?
ブサイクのままなんだが✧◝(⁰▿⁰)◜✧




