公園トラブル
キーン。コーン。カーンコーン。
放課後のチャイム。それは学生には解放の合図と言っていい。なにせ勉強という1日の労働から解き放たれるのだからその嬉しさといったら信号のない横断歩道で車が止まってくれたくらいである。
そんなほのかな1日の喜びを感じれる今日は、純は部活がなく、宗悟と龍二も生徒会の仕事がなかった。そのため3人は一緒に下校していた。降りる駅は違うが使う電車は同じなため、そこまでは一緒に帰れる。
「…やはりどうにかして先輩から逃げる方法はないものか。」
「あきらめろ。そう理不尽な命令は基本ない。」
「あの人が生徒会長になったら収まるだろ。」
「ちなみにお前らって何を握られて言うこと聞いてんの?」
「「絶対言わない。」」
「ホントに何があった…。」
いつものとおりな会話で歩く3人。このまま駅までたどり着けば何事もなく今日も学校生活が終わっただろう。
だが、公園近くを通った時に子どもの騒ぎ声が聞こえた。
「ん?なんだ?」
ただの笑い声などであれば気にもならなかったであろうが、焦ったような声だったので3人共足を止めた。
「…ちょっと見てくか。」
「「おう。」」
宗悟の提案に特に否はなかったため、3人共公園に入る。
そこで目に入ってきたのは、水飲み場から不自然に吹き上がる水と焦る3人の男子小学生たちだった。
小学生達も純達にすぐに気がついた。
おー、これまた派手に壊したなぁ〜。
口には出さなかったが、龍二が口に出したので意味はなかった。
「あちゃ~。壊したか。」
「壊してない!…ぼ、ボールが当たったら壊れたんだ!」
「それは壊したのでは?」
「違う!!」
「分かった分かった。とりあえず落ち着け。こういう時どうすりゃいいんだ?」
「110番?」
「…警察呼ぶほどじゃなくね?消防?」
「消防って何番だ?」
「お前らもちょっと落ち着け。」
なんでお前らもちょっと焦ってんだ。ただ水吹き出してるだけだ。冷静になれ。キッズたちが警察って聞いてビビってるだろうが。
あんまりこういうの得意じゃないんだが、仕方ないか。指示出させてもらおう。
「とりあえず宗悟、市役所に公園管理してる課があるはずだからスマホで電話番号調べて連絡してくれ。龍二、俺と一緒に地面探してくれ。水とめるぞ。公園の中に水の元栓があるはずだ。それ締めんぞ。」
「お、おう。」
「純、元栓ってどんなのだ?」
「地面にプラスチックか金属の四角い蓋があって水栓やら止水管やら書いてあると思う。」
「分かった。キッズ、君らも探すの手伝ってくれ。」
「「「う、うん。」」」
さて、だいたい邪魔にならない隅とかにあったりするんだが…。パッと見ないなぁ。じゃあ、植え込みの中とかかな。
純はそう考え、1人植え込みの中を割って入っていく。
「お、あった。」
ほどなくして公園をぐるっと囲むフェンスと植え込みの間に隠れた止水栓と書かれたプラスチックの蓋を見つけた。
止水栓だったか…。龍二達に嘘言っちゃったぜ…。
まぁ、バれないだろ。
土やらクモの巣やらで汚れたその蓋を開けて見つけたバルブを閉める。
キュッ
「あ!止まったー!」
「「「ほんとだー!」」」
どうやら止まったらしい。龍二の声が混じったキッズ達の声が聞こえた。
あいつ、小学生と一緒だと幼児退行してないか?
いや、別にいいんだけどね。
「おーい。こっちも連絡とれたぞ。すぐ人が来てくれるってさ。」
「ほーい。そっち戻るわー。」
植え込みをまた、かき分けながら返事をする。じゃあ、最後はおせっかいをちょっとかな。
純達がまた集合すると、小学生達は居心地が悪そうにそこにいた。
「さて、君らは…帰っていいぞ。」
「「「え…?」」」
「いや、後は特にすることないし。君ら服濡れてるし。帰って着替えな。風邪引くぞ。」
「で、でも…」
「俺らが…。」
「……。」
「いや、ワザとじゃねーんだろ。逃げ出さなかっただけいいよ。」
「「「…うん。」」」
間があったなぁ〜。わっかりやすぅ〜。
「それとも、嘘ついて罪悪感が強いか?」
「「「…なんで!?」」」
いや、分かるだろ。そんな顔してりゃあ。そもそもボール当たったくらいで壊れるかよ。
え?いや、なんで宗悟や龍二も驚いてんのよ。お前ら疑わないとか、さては良い奴だな。なんか俺がヤな奴みたいでちょっと傷つくんだけど?
「どうせ、蹴ったか。踏み台代わりにしてジャンプ誰が高いかとかやってたんだろ?」
「「「…エスパー?」」」
ナメんな!こちとらお前らより男の子の先輩だぞ!お前らがやらかしてんのは俺も通った道なの!
俺だってやったよ。1人で高くジャンプしてヒーロー着地の練習とか。…あれ膝と拳地面に着くから痛ぇんだよなぁ。公園とかでやると絶対小石が食い込む。
他にも拾った木の枝で人んちの塀にガリガリやながら歩いて跡残して怒られたり!ゴミ箱に捨ててあった蛍光灯遊びで割ってパンッて音出して怒られたり!
……クソガキだったなぁ。やばい、他人とは思えん。
「嘘つくな、とは言わん。けど、嘘ついて苦しくなるのは君らだ。正直に話して怒られるか、嘘ついて苦しむか好きな方を選べ。」
「「「…うん。」」」
「ただ、1個クソガキ先輩からのアドバイスだ。」
「「「?」」」
「…どうせ怒られるんだから嘘つくだけ損だぞ。」
「「「うん。」」」
「よし。じゃー、気をつけて帰れよ。」
「「「…ありがとう!お兄ちゃんたち!」」」
「「「おう。」」」
そうして帰る小学生達を公園から見送った。
「さて、市役所の人が来るまでやることやるか。」
「あるのか?」
「水止めたからな。トイレとかどうなるか…。確かめてダメだったら張り紙とかしとこうぜ。」
「さては純、お前キッズ達にカッコつけただろ。」
「当然。」
男の子はいつでもカッコつけたいものなのだよ。
「とりあえず龍二は特に活躍してないから女子トイレ確かめて来てくれ。」
「断る!そもそも男子トイレ見たら必要ないだろ!!」
チッ、バレたか…。
3人が良い子達なの伝われ✧◝(⁰▿⁰)◜✧




