ドラゴンの肉
次の日、またドラゴンの解体だ。昨日は一頭だけだったからね。
「肉は、マジックボックスに入れておこう!」
ある程度は売るけど、一気に四頭分のドラゴンの肉は消費できない。
「マジックバッグに入れておけば良いのでは?」
解体はいつでも良いんじゃないかな? と質問する。
「そろそろ商隊が来る頃だから、皮は売ってしまいたいのさ」
「それは、そうですね。あっ、ドラゴンの皮でマジックバッグって作れないのですか?」
オリビィエ師匠は、考えた事がなかったと驚いた。
「確かに魔法と相性は良さそうだ。今度、試してみよう」
その日は、私のマジックバッグの掃除をしたよ。泥がついていたからね!
それと、サリーは汚い物は入れていなかったけど、前よりは上手く魔法陣が描けるようになったので、ついでに掃除して、少しだけ容量も大きくしておいた。
「ドラゴンの肉、ステーキでも美味しいけど、固い脛肉とかはシチューにしておきたいな。それと、挽肉にしても、使い道が多いんだよね」
師匠達は、今日もドラゴンの解体! 商隊が来る前に、皮を乾かしておきたいみたい。
肝は、水で血抜きをした後、薄くスライスしてザルに並べて陰干ししている。
洗濯物とかは、風の魔法で時短で乾かすけど、オリビィエ師匠は自然乾燥だ。
私達は、午前中は学舎。そして、昼からは各自、家事や修業!
ジミーは、ドラゴンの解体に興味があるけど、子どもは触らせて貰えない。貴重な皮を傷つけたらいけないからだ。
「いつかは、ドラゴンを討伐したい!」と目を輝かしているけど、代わって欲しいよ。
オリビィエ師匠の薬師としての卒業試験は、ドラゴン討伐なんだもの!
その頃には、学舎の仲間が、卒業試験をクリアしているから、私の手伝いをしてくれると約束している。
でも、ドラゴンだよ? 無理じゃない?
一生、木の家で師匠達に食事を作っているかも?
でも、元気な身体に転生したのだ! 前世では、旅行なんて大病院に行くだけだった。
それは、旅行じゃないよね! それに、魔の森じゃない人間の町へ行ってみたいんだよ。
それは、サリーも同意見! 人間には悪い人もいるのも聞いているし、戦争とか嫌だけど、卒業できたら行ってみたい。
私は、薬師! サリーは治療師として、二人で町で診療所を開くつもり。
学舎から帰ったら、アリエル師匠がソファーに寝転んでいた。
「ドラゴンの解体は終わったのですか?」
アリエル師匠の弟子のサリーが尋ねる。
「ええ、皆に協力して貰って終わったわ。オリビィエは、皮の乾燥や、肉の分配や買い取りに応じているわ」
アリエル師匠は、面倒な後始末をオリビィエ師匠に押し付けて、木の家に戻って、いつものぐうたら生活だ。
でも、今は狩り命のジミーがいる。
「狩りに行きたい!」
それに、ヨナも狩りが好きだ。狩人の村の森の人は、狩りがほぼ全員好きなのだ。
「仕方ないわね。サリーもついて来なさい!」
サリーは、風の魔法の修業はしたいと思っているけど、狩りはイマイチ好きじゃない。
でも、師匠が行くなら、ついて行く!
ドラゴンの肉があるから、狩りは必要ないんじゃないかな? なんて、私とヨシは肩を竦める。
「ヨシ、ドラゴンの肝をひっくり返すのを手伝って!」
薄く切って、ザルに並べているけど、やはり下になっているのは乾燥が遅い。
時々、ひっくり返さないといけないのだ。
ただ、普段は一頭分だから、こんなに重なったりしないんだけどね。
「これは、万能薬になるのよ。でも、高価だし、水薬だから日持ちもしないの」
ヨシは、教会の子になると聞いていたけど、今は薬師の修業中。つまり、私の弟弟子なんだ。
裏庭に植えている下級薬草を採るのも手伝って貰ったけど、そろそろお昼寝をさせなきゃ。
お昼寝、だって零歳なんだから当たり前だよね。ただ、普通の森の人は、しない。
ヨシは、少しだけ光の魔法の習得に難儀している。
でも、人間だったら、ハイハイしている時期だと思うから、やはり光の魔法を使って成長しているんだよ。
私は、珍しく一人っきりで木の家でお留守番だ。
当分は、アルカディアの各家にドラゴンの肉があるから、ピザ屋も肉まん屋もしない。
でも、色々と料理の下準備をしておくと、やる時に便利なんだよね。
固い脛肉を煮こむ間に、狩りで疲れて帰ってくるメンバーの為にスイーツも焼いておく。
それとストーブオーブンを作ってくれたルシウス師匠にもね!
だって、ちょっとクズ肉をミンチにしたんだけど、大変だったんだ。ミンサーを作って欲しいんだもの。




