表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルカディアの子ども  作者: 梨香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/20

狩人の村のミク

『転生したら、子どもに厳しい世界でした』の続きです!



挿絵(By みてみん)

 私はミク! 魔の森の狩人の村、バンズ村で生まれたんだ。


 この世界は、子どもに厳しいんだ。赤ちゃんだって、いつまでも甘えていられない。


 実は、私には、前世の記憶がある。これは内緒だよ! 

 前世の私は、心臓に欠陥があって、病弱だった。

 両親の愛で守られて、なんとか十二歳まで生きたけど、限界だったんだよね。


 自分で、ああ無理だと思った時、次に生まれ変わる時は、健康でいっぱい走り回りたい! と願ったんだ。


 病弱なので旅行も行けなかった。健康だったら、あちこち行ってみたいな!


 それと、美味しい物をいっぱい食べたい! とも願った気がする。

 だって、塩分、脂分、全て規制されていたからね。


 だからって、ここは厳しすぎるよ! と赤ちゃんの時はぼやきたくなったね。


 生まれた次の日から「歩かなきゃ、魔物に食べられるわ!」とか「ほら、お粥だよ! いっぱい食べて、大きくなるのよ!」とか、前世の注意深く子育てしてくれた両親が懐かしくなった。


 でも、今度の私は強い。生まれた次の日は、お粥を食べて、歩けたんだ。

 その日のうちに、保育所じゃなくワンダ婆さんの家に預けられた。

 両親は、食べる為に魔物を狩に行ったからね。


 そこで親友になるサリーとジミーに出会った。

 サリーは言葉が上手く喋れる。0歳児とは思えない可愛い幼児。

 ジミーは、私より十日ほど早く生まれた男の子。

 口が重くて、無愛想に見えるけど、意外と優しい。


 冬生まれの私、雪が降っていても平気でワンダ婆さんの家まで走って行く。

 前世の私なら、肺炎になって入院だったよ。


 ここで、若い綺麗なママ、そしてハンサムなパパとずっと暮らすのだと思っていた。


 春になって、バンズ村に神父さんが来て、前の年に生まれた子どもに洗礼をした。

 ほとんどの子どもは、弓矢、斧、槍、剣などの狩人スキルに恵まれた。


 でも、私は、狩人の村で生まれたけど、狩人スキルに恵まれなかったんだ。

 

 ママは弓矢の名人だし、パパは斧使いの名人。

 狩人の村の名前通り、ここは森の人(エルフ)でも狩人ばかりの村。


 私には、料理、食物育成、そして薬師のスキルが洗礼の時に貰えたんだけど、両親はとても心配そうだったんだよね。


 数ヶ月、早く生まれたサリーも、狩人スキルじゃなかった。

 風の魔法! 私よりは、狩もできそうだけど、狩人スキルとはやはり違うんだよね。


 本人は、狩人の村の質素な暮らしにうんざりだから、人間の町で魔法使いの弟子になると言っていたけど、大丈夫なのかなと私も心配だったし、サリーの両親は反対していた。


 だって、私たちはまだ0歳なんだもの! 人間の六歳ぐらいに見えるんじゃないかな?

 狩人の村では二歳か三歳になったら、親の家を出て、若者小屋で暮らす。

 でも、そこは狩人オンリー! つまり、私やサリーは、そこでは暮らせないんだよね。

 だから、三歳になったら、サリーは人間の町で修業することになるけど、見た目は十歳ぐらい。

 

 私は、神父さんが勧めたもう一方のアルカディアで薬師の修業をすることになりそう。

 アルカディアは、魔の森の奥にある魔法が使える森の人(エルフ)が住む特別な村。


 サリーは、魔法使いばかりのアルカディアでは、下っ端になりそうなので、行きたくないのかも。負けん気が強いからね。


 私は、人間の薬師は、いい加減な人が多いと聞いて、どうせ習うなら立派な師匠が良いと思ったんだ。

 それと、アルカディアなら、一応は同族の森の人(エルフ)なので、三歳児だとわかって接してくれそうだよね?


 春になったので、ヨハン爺さんに森歩きに連れていって貰う。

 ジミーは、冬の終わりから森歩きをしていたんだ。弓スキルだから、身体強化も上手い。


 つまり、風の魔法のスキル持ちのサリーと薬師スキルの私は、狩人の村の落ちこぼれってこと。


「木にも登れないのか!」


 ヨハン爺さんに呆れられたよ。サリーは風を使って、なんとか登れるようになった。


 私も、かなり手こずったけど、なんとかね!


 でも、魔物が村の近くに来た時、私とサリーは木の上で怯えるだけだった。

 ジミーも木の上で、村の大人達が魔物を討伐するのを見ていただけだったけど……どうやって弓で討伐するのかとか考えていたんだよね。


「ここは狩人の村なんだ」


 サリーと私が住む村ではないと実感しちゃった。0歳児に厳しい現実だよ!

 

 もうすぐ一歳になる秋に、私はお姉ちゃんになった。

 弟のバリーと妹のミラ! すっごく可愛い。

 

 でも、ママとパパは心配したんだ。私的には、驚異的なスピードで成長していると思うけど、生まれて二日、歩けなかったからね。


 この冬は、バンズ村も苦しかった。なぜなら、人間の国が戦争をして、魔の森の端のエバー村の森の人(エルフ)が奥の村に避難してきたからだ。


 春になって、戦争は終結したけど、バンズ村から人間の町に出ていった若者が何人も亡くなったんだ。


 神父さんがその悲しい知らせを運んで来たよ。

 ただ、嬉しいこともあったんだ! 私の弟と妹は、斧と弓のスキルに恵まれた。

 パパとママは喜んでいたよ。ちょっと、私はズキッとしたけど、ママが抱きしめてくれたから、痛みも和らいだ。


 双子がどんどん大きくなるので、私も三歳を待たずに修業にでなきゃいけなくなった。寝る場所が無くなったんだ。厳しい!


 サリーも人間の国同士が戦争して、師匠になりそうな魔法使いが亡くなったので、二人でアルカディアに行くことになった。


 それに、神父さんに人間の魔法使いの弟子になったら、戦争に徴兵されると聞いたサリーの両親が猛反対したんだよね。


「一緒の家で修業できるんだ!」


 心強いし、嬉しかったな! ただ、二人で心配もしていたよ。


 アルカディアの森の人(エルフ)は、魔法が使えるし、狩人の村の森の人(エルフ)を下に見ているって聞いていたから。


「下働きって何をするんだろう?」


「多分、家事とかだよね?」


 家事は、ここでもしているけど、偉そうな態度でこき使われたら嫌だな。


 それと、私達の師匠は変人だとの噂もあったんだ。

 それって、なんだか不安だよね!


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ