キラービーと|火食い鳥《カセウェアリー》の生け取り
オリビィア師匠がヨシを背負って、先に行ったアリエル師匠を追う。
やはり、ジミーは速いな! アリエル師匠を負けずに追いかけている。
サリーは、アリエル師匠に追い抜かれちゃった。
案内役を追い越して良いのかな? そんな心配は無用だ。
ヨナが蜂の巣を見張っていた。
「これを討伐して、ハチミツを取るのですね!」
ヨシが初めて見る蜂の巣に目を輝かしている。
うん、狩人の村では、そうしていたね。たまにハチミツが分配されると嬉しかったな。
「違うのよ! こんなに多くは飼えないから、半分は討伐するけど、アルカディアで飼うの」
アリエル師匠の言葉に、狩人の村の三人が驚いている。
「サリー! 今回は自分でやってみたら」
サリーは、少し躊躇したけど、頷く。
私たちは、邪魔にならないように木の上から観戦する。
「蜂の巣を取り囲め!」
アリエル師匠は、無詠唱だったけど、サリーは口に出さないと無理みたい。
大きな蜂の巣を、風のボールで包み込む。
「おお、凄い!」
ジミーは魔法を見るのも初めてみたい。ヨシは、驚いて目を見開いている。
ヨナは、逃げる蜂がヨシの方に行かないか警戒している。
空気のボールの中の蜂達が、慌てて巣から外に出る。ブンブンと羽音が煩いぐらいだ。
「半分に分けて、女王蜂がいない方の空気を抜くのよ」
半分に分けるのは、難しそうだった。その上、片っ方だけの空気を抜くだなんて……。
「あっ!」サリーが空気を抜く方に集中したら、片方の風のボールが消えちゃった。
「まだまだね!」サッとアリエル師匠が風のボールで包んだから、怒っている蜂に攻撃されないですんだ。
「皆で、手分けして、こちらのハチミツと蜂を採取しましょう」
片方の空気を抜かれた巣のハチミツをアリエル師匠が出した壺に入れていく。
「凄いわ! この壺はいくらでも入るのね!」
ヨナがびっくりしている。手がベタベタになったけど、それは舐めちゃう。
「甘いね!」
ハチミツは、狩人の村では滅多に口にできないご馳走だ。
ジミーも手を舐めて笑っている。
「蜂は、この袋に入れてね! 火食い鳥の餌になるから」
「えっ、ミク?」
ヨナが驚いた。
「ああ、ミクは火食い鳥を飼っているのさ」
ジミーも火食い鳥を私が飼っているとオリビィア師匠から聞いて、驚く。
「あいつらは鉤爪で攻撃してくるぞ!」
「捕まえた時に鉤爪は切るのよ。それに卵から孵った時も雛のうちに切るわ」
卵も需要が多いのだ。私もいっぱい使うけど、茹でるだけで食べられるからね。
アルカディアでも、料理は肉を焼くだけの森の人が多い。
「狩人達も、ゆで卵を狩りに持っていくと美味しいし、立ったまま食べられるから便利なんだ」
ほほう! とジミーとヨナが感心している。
「そう言えば、ミクは焼き芋を森歩きに持って来ていたわよね」
ジミーも覚えていたのか、ヨナの言葉に頷いている。
「ジミー、火食い鳥を見つけて! 今いる火食い鳥だけでは足りないのよ」
卵を料理にも使うし、集会所でももっと売って欲しいと言われているんだ。
「わかった! でも俺は討伐しかできない」
「それは、オリビィエ師匠に捕獲して貰うわ」
ジミーが森の奥まで探しに行っている間、サリーは女王蜂がいる巣を空気のボールに包んだまま維持している。
私とヨナとヨシで、死んだ蜂をマジックバッグに入れていく。
「サリー、無理だと思ったら、自分で判断して、私と交代するのよ」
アリエル師匠も、なかなか厳しいね。
「このまま移動するのは、無理です」
サリーは、自分の能力を見極めている。凄いな!
「ミク、彼方の奥に火食い鳥の群れがいた」
サリーは移動しながらは、巣の周りを囲む風のボールをキープできないので、アリエル師匠と代わる。
「あそこだよ」
本当にジミーは、魔物や植物を見つけるのが上手い。
「ジミーは良い狩人になるな!」
オリビィエ師匠が褒めると、少しだけ嬉しそうな顔をした。
「ミク、彼方の雌を捕まえてごらん」
ふぅ、私はポシェットから、強いアイビーの種をだして、それで雌の火食い鳥をぐるぐる巻きにする。
「鉤爪を切るんだな!」
オリビィエ師匠と私が捕獲した火食い鳥の鉤爪を、ジミーとヨナも手伝ってくれて切る。
「ぐるぐる巻きのまま、このバッグに入れてくれ!」
二人が驚いている。
「これもマジックバッグなのですか? 生きているままでも入るの?」
ヨナは、怖々と火食い鳥を持ち上げて、オリビィエ師匠のマジックバッグに入れる。
私も最初は驚いたから、わかるよ!
ジミーは、何も言わないで、次々と火食い鳥を入れていく。
相変わらず反応が薄いね。でも、それがジミーらしいかな。
「寄り道をしすぎたわね! ここからはスピードアップするわよ」
アリエル師匠は、蜂の巣の入った風のボールを後ろに浮かべたまま、木から木へと移動する。
「ヨシ、背負うよ!」
オリビィエ師匠は、ヨシを背負ったままなのに、凄いスピードで移動している。
ヨナは、前々から移動は早かった。私とサリーは、ついて行くのに必死だよ!




