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あーし、初の魔法を使う

翠はレイブンに言われるがまま、皇帝陛下に挨拶をしに行った。翠は皇宮の庭に落ちてきたらしく、新しい魔物かと思われ襲撃されかけたそうだ。今この帝国はレイブンの弟、つまり第二皇子の結界により魔物が入ってこれないらしい。

(まぁその結界を破ってきたと思ったら警戒するよね。)

そんなこんなで気が付くととても大きな扉の前に着いた。扉の前に着くとレイブンが横にいる衛兵に声をかけると扉が開いた。

(こうしてみると、マジで皇子様なんだなぁ)

扉の先に行くと真っ赤なシワ一つないカーペットを歩きその先の王座に座っている人に目を向けようとしたところ先ほど頭を押さえつけてきた兵士に頭を再び押さえつけられた。突然の事に腹が立ちながらも横にいたレイブンも頭を下げていて素直に頭を下げた。

「顔をあげよ。ほぉ…そなたが白き竜の加護を受ける聖女か。名は何という。」

「如月 翠といいます…この子はユキです…」

一応相手はこの国のトップなので翠は何となく敬語を使ってみたが堅っ苦しい日本語は苦手だ。皇帝陛下は少しお年を召しており、立派な髭を携えていた。髪や顔つきはレイブンに似ておりハンサムな面影、レイブンと同じ金色の髪。

(さすが皇帝陛下だよね…威圧感やば…あんなに怖かったら誰も話しかけれんて。)

「ふむ。キサラギ・スイ。覚えておこう。スイ家…そんな家門はあったか?」

「あーえーっと…あーし、じゃなかった。あたしはこの世界とは別の世界から呼ばれてきたんで、家門とかよくわかんないけど、ないんだよね。名前が翠。苗字が如月ね…っす。」

「なるほど…異世界人とな。これは興味深い。ミョウジとやらが家門名というわけか。ではスイ。君の力を見せてもらおう。」

(え…力って言ったてあーし、まだ使ったことないんだけど…まぁなんとかなるっしょ!)

皇帝陛下が手を挙げて合図をしたところ執事らしき人が大型犬のような生物を抱えて連れてきた。

「この子は皇妃が大事にしている子でな。魔物の侵入を一度許してしまい、その時に魔物の毒に当てられてしまい、解毒方法も未だ見つからず延命治療を続けていたのだ。治せるか?」

「んーやってみ…ます。」

レイブンも興味があるのかこちらを覗き込んでいた。

(苦しそうだし、助けてあげたいよね。えーっと…)

「ユキ…手伝ってくれる?」

「もちろんさ。翠。」

本当に竜が喋ったことに驚きながらも治すことに集中を向けた。

「まず自身の魔力の流れと、この子の魔力の流れを感じて。」

(魔力の流れを感じる…うーん…あ、これか。なんか流れてる気がする。)

「掴めたようだね。さすがだね。そしてその中にある異物がわかる?」

(異物…確かに液体の中になんか固形物ある感じがする。)

「その異物を自分の魔力で包み込むんだ。そして体の外に出す。」

「…できた!」

翠がそう叫ぶと翠の手のひらには禍々しい気を放つ、塊があった。

「見事だ…皇宮医師の全員ができなかったことを簡単に…実力は確かのようだな。執事よ。この毒をダリアンの元へ。何か実験の材料になるだろう。」

皇帝陛下がそういうと執事はどこからか瓶を取り出し、毒の塊を瓶の中へ入れた。

(瓶溶けないんだ…)

(あれは溶解性のある毒じゃないからね。)

ユキが自分の思考回路に入ってきて驚いたがまぁ異世界なら何でもありか。と割り切った。

「翠。まだこの子の傷口塞いでないよ。」

「あ、そっか。」

「傷口は簡単だよ。縫い合わせるようにすればできるよ。」

「なるほど?」

(傷口を魔力を細く糸のようにして…縫っていく)

「よし…できたぁ…」

「お疲れ様。スイ。」

レイブンがよくやったと頭を撫でてくれた。翠はサンキュ!と軽く返事をしたがレイブンは少し不思議そうだった。そんな会話をしていると横たわっていた子は立ち上がり翠の頬をペロとなめて感謝を伝えてくれた。翠はそれが嬉しくその子をもふもふとかわいがっているとユキが嫉妬したのか翠にすりよってきた。

「ユキもありがとうね!」

そういうとユキは嬉しそうに翠の来ていたパーカーのフードに潜り込んでいった。

「よく皇妃を守ってくれた。ガロウよ。」

ガロウと呼ばれたその子は皇帝に対して頭を下げた。

「スイ殿もよくやってくれた。ありがとう。」

「力になれてよかったっす!」

そう答えると皇帝はニコッと微笑み翠に部屋を与えてくれた。この世界で身寄りのない翠を客人としてもてなしてくれるそうだ。部屋に着くととても豪華な部屋で、部屋中のいたるところが輝いていた。部屋の輝きに圧倒されていると、一人のメイドが部屋に入ってきた。

「本日からスイ様のお世話をさせていただく、ベルと申します。」

「あーし、別にお世話してもらうことないよ。」

そういうとベルは少し困ったが、ニコッと笑いなんでもいいのでお申し付けください。といった。

「あ、ならさ皇宮を案内してくれない?」

そう頼むとベルはニコッと微笑みご案内します。と嬉しそうに皇宮内を案内してくれた。

皇宮はとても広く、歩くだけで汗をかきそうだった。皇宮内にはたくさんの部屋、宮殿が連なっている。

「そういえば、あーし皇后サマに会ってないわ。挨拶したときもいなかったし。」

「皇后さまは、お体の調子が悪くお休みになっております。ですが、皇帝陛下のお許しが出次第お会いできると思いますよ。」

「ふーん…あーしがその時はぱぱっと治してやんよ!」

「えぇ、スイ様ならきっと治せますよ。」

翠はふふんと嬉しそうにスキップをしながら皇宮内を散歩しその日はそのまま部屋で眠りについた。


次の日コンコンとベルが部屋の戸を叩き、翠を起こした。

「おはよーベル。早いねぇ…」

「皇帝陛下がお呼びです。」

「陛下が?オッケー着替えていくわぁ…」

寝ぼけ眼で翠は皇帝陛下に会いに行った。

「朝早くに呼び出してすまなかった。いち早く対応してほしくてな。本当は昨日やってほしかったんだが、レイブンに休ませろと言われてな…」

「なるほど?んで、やってほしいことって?」

朝だからか頭が回っていなく、思い切り皇帝陛下にため口を使ってしまった翠は焦ってしまい恐る恐る顔を見上げたが、陛下はにっこり笑っていた。

「そうか!スイ殿はやはりそういうタイプか!我と同じだな!がっはは!」

翠は驚いたが許されたことが嬉しく同じく笑った。

「それでな、スイ殿にやってほしいことはな皇后を治してくれ。」

「まあそうだよね。おっけーお任せあれー♪」

そういい陛下と翠は皇后のいる部屋へと向かった。

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