あーし、異世界にいてマジウケる
ある日ギャルとして青春を謳歌していたあーし。如月 翠、18歳。自由気ままに生きてきたあーしに悲劇が起こった。居眠り運転していた車から男の子を庇ったっけ死んじゃった。そして、目が覚めたら金色のドラゴンが目の前にいた。
「神様って…ドラゴンなの?」
「君のいた世界の神とは別の神だからね。死んだ君をこっちの世界に呼ばせてもらったよ。私は竜神、アウロディウス。君に頼みたいことがあるんだ。」
「あーしに頼み事?」
「私の作った世界の均衡が崩れてしまってね。その均衡を直してほしいんだ。」
「均衡…よくわかんないけどオッケー!あーしにお任せあれー♪」
「君には私の加護を与えるよ。この白いドラゴンを通じて私と会話がいつでもできるからね。」
そういうと竜神は手から小さな白い竜を作り出した。白い竜は私の方にちょこんと乗り甘えるようにすりすりしてくる。
「きゃわわ…!」
竜神はニコニコしながら今から行く世界について説明してくれた。
竜神が作り出した世界。その世界の中心にあるアルディス帝国。この帝国には3人の竜神の加護を受けた者がいる。加護を受けた者の傍には竜が付く。竜にはそれぞれ色があり、赤は怪力、青は魔力、白は聖力の加護を与える。竜は他人にも見えるが、声が聞こえるのは加護を受けている者のみ。そしてこの帝国ではあることが起きていた。帝国の同等の力を持つ国が一つあり、魔物の国、ノクタリスク。その国を統べる黒い竜、ヴァルグレイ・ノクタル。ある日から突然魔物たちが帝国を襲うようになり戦争へと発展した。帝国は加護を得た皇子二人を筆頭に応戦し、戦力は同等。今は冷戦状態を維持しているそう。だが、いつまた戦いが激しくなるかわからない。その戦いの原因を探り、戦争を終わらせてほしい。それがアウロディウスの願いだそうだ。
「んーとりま、戦争を終わらせればいいのね。オッケー!任せてちょー」
「お願いします。」
そう言うと翠の足元に穴が開き落ちていった。
「うわあああ!!!」
静かな皇宮の庭に翠は落下し、気が付くと兵士に囲まれ剣を向けられていた。
「え、ちょ…初手ピンチ過ぎない!?アウロディウスー!!」
そう叫ぶと兵士は神の名を気安く呼ぶとは!と息を荒げより剣先を近づけてきた。だが、横に現れた白い竜を見て、ぴたりと動きが止まった。
「この子は我、竜神アウロディウスの子だ。この子への冒涜は許さぬぞ。」
小さな竜は小さく呻くと兵士が全員頭を下げた。
「あれ?声が私以外に聞こえないんじゃないの?」
「私は神だからね。私は例外さ。この竜を通しているだけだから、竜自体の声は聞こえないよ。」
アウロディウスと別に白い竜とも話ができるようだ。
「なら、白い竜にも後で名前つけないとね!」
そういうとアウロディウスはニコッと微笑み頼むね。そう言い残し白い竜に戻った。
そんな会話を終えると金髪のガタイのいいイケメンが現れた。そのイケメンの横には赤い竜がいた。
「あ!君が加護を受けてるやつねー?」
そう問いかけると兵士は慌てて翠の頭を抑えた。
「馬鹿者!死にたいのか!このお方は帝国の第一皇子。レイブン・アルディス様だぞ!」
「いや、あーし皇子とか知らんし。アウロディウスに世界救ってくれーって頼まれただけで皇子様に頭下げろなんて頼まれてないしー同じ人間だし?」
兵士はわなわなと怒りに震えていたが、皇子が気にするな。下がれと命じ、兵士は何かあってはと狼狽えたが皇子の俺が負けるとでも?の一言でおとなしく下がっていった。
「これでゆっくり話ができるな。白き竜の加護を受ける聖女よ。俺はこの国の…」
「さっきのやつが全部言ってたからわかるよ。レイブン・アルディスね。赤い竜の加護を受けてるってことは怪力なのか。ほんとしょっぱな剣向けられて萎えるんですけど。ねぇユキ?お!しっくりきた今日から君の名前ユキね!」
ユキと名付けられた白い竜は喜び翠の周りを飛び回っている。
「こんな扱いをされたのは初めてだ。君の名は?」
「ん?あーしの名前?あーしはね如月 翠。スイって気軽に呼んでチョー」
「スイか。いい名だ。先ほど俺の赤き竜、ベルセルドを通じて声は聞こえた。竜神アウロディウスの子だと。聞きたいことは山ほどあるが、まずは俺の父。皇帝陛下に謁見に行こう。」
「んーなんかよくわかんないけど…オッケー!レッツゴー!」
レイブンはスイの言った言葉が一部理解できなかったが、まあ楽しそうだからいいか。とスルーした。