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4.進化の兆しと次なる脅威

スライムたちの訓練を続ける中で、俺はある違和感を覚えた。


(なんか、こいつら……成長が早くないか?)


 訓練開始からしばらくして、スライムたちは明らかに動きが良くなり、それぞれの特徴をさらに伸ばしていた。俊敏なスライムは流れるような回避を見せ、遠距離型のスライムは毒粘液を飛ばす精度が上がり、力自慢のスライムはぶつかるだけで岩を砕くようになっている。


(これはもしや……進化の前兆か?)


 俺がそう考えていると、ダンジョンの入口に新たな反応を感じた。


(……誰か来た?)


 ダンジョンの監視機能を使い、入口付近を確認する。


「ここが最近噂のダンジョンか……」


 現れたのは二人組の冒険者だった。片方は短剣を携えた軽装の男、もう片方は木の杖を持った魔法使い風の女性。


(やべえ、二人組か……こいつらはさっきのFランクの冒険者より強いかもしれねぇ)


 これまでの俺のスライムは、単独の侵入者相手なら対応できた。しかし、二人がかりで来られると話は変わる。スライムたちを戦わせるにしても、連携が取れるかどうかは未知数だった。


「魔物の気配が薄いな……気をつけろよ」


 男の冒険者が警戒を強める。俺は心の中でツッコミを入れた。


(悪かったな、魔物が少なくて!)


 そんな俺の心境をよそに、冒険者たちは慎重にダンジョンを進んでくる。


 そして——。


「お、スライム発見!」


 男の冒険者が先制攻撃を仕掛ける。短剣を逆手に持ち、素早く距離を詰めてきた。


(くそっ、来るぞ! スライム、お前の実力を見せてやれ!)


 俺の意識を受け取ったのか、スライムが素早く動き、攻撃を回避する。俊敏なスライムが前に出て、男の攻撃を紙一重でかわす。


「なっ!? こいつ、ただのスライムじゃねぇ!」


 驚愕する男。だが、こちらの反撃はこれからだ。


 遠距離型のスライムが毒粘液を飛ばし、男の腕に命中。


「ぐっ!? ……毒か!」


 男の動きが鈍る。痺れが回り始めているのが見て取れた。


「まずい、回復を——」


 魔法使いの女が呪文を唱えようとした瞬間、力自慢のスライムが地面を跳ね、女の杖を弾き飛ばした。


「きゃっ!?」


 スライムたちの連携が成功した。このまま一気に仕留める!


 男が痺れている間に、スライムが体を広げて彼を覆い尽くす。


「お、おい……待っ……!」


 男の叫びが徐々に弱まる。そして、静寂が訪れた。


(……やったか?)


 男が完全に沈黙し、動かなくなる。ダンジョンに、また新たな死体が転がった。


 残るは魔法使いの女。だが、彼女は戦意を喪失し、逃げ出した。


「ひ、ひぃっ……!」


(逃がすか!?)


 俺はスライムたちに追撃を指示しようとした。だが——。


「やめて! お願いだから……!」


 震えながら涙を流す彼女を見て、俺はふと考えた。


(……殺すか? それとも、何か利用できるか?)


 彼女の魔法の知識を手に入れることができれば、ダンジョンの発展に役立つかもしれない。だが、下手に逃がせば、ダンジョンの情報が外に漏れる。


 俺は悩んだ末、決断を下した——。

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