13.激突、Dランク冒険者! 迫りくる力
ダンジョンマスタールームから、アースはスライムたちを通してDランク冒険者の侵攻を監視していた。エミリーはアースの隣で、不安そうに状況を見守っている。
「Dランク冒険者って、やっぱり強いのかな……? スライムたち、大丈夫かな……?」
「油断はできない。Dランク冒険者は、Eランクとは比較にならないほどの実力を持っている。だが、スライムたちも、ただの魔物ではない。スライムクイーンを筆頭に、スライムナイトやスライムアサシンもいる。きっと、良い戦いを見せてくれるはずだ」
ダンジョン内では、スライムたちとDランク冒険者との激しい戦いが繰り広げられていた。
Dランク冒険者は、屈強な体躯を持つ、筋骨隆々の男だった。男は、全身に鋼鉄の鎧を身につけ、巨大な戦斧を携えている。その顔には、幾多の戦いを乗り越えてきたことを物語る、深い傷跡が刻まれていた。
「ふん、スライムか。こんな雑魚魔物、一掃してくれるわ!」
Dランク冒険者は、戦斧を振りかぶり、スライムたちに突進していった。
最初にDランク冒険者の前に立ちはだかったのは、スライムナイトだった。スライムナイトは、その巨体に似合わぬ俊敏な動きで、Dランク冒険者の攻撃をかわし、巨大な剣を振り下ろした。
「遅い!」
Dランク冒険者は、スライムナイトの攻撃を、戦斧で受け止めた。金属がぶつかり合う、激しい音がダンジョン内に響き渡る。
「なっ……!? このスライム、力が強い……!」
Dランク冒険者は、スライムナイトの圧倒的な力に、驚愕した。しかし、Dランク冒険者も、ただ者ではない。長年の経験から培われた、高度な戦闘技術を駆使し、スライムナイトの攻撃を、巧みにかわしていく。
スライムナイトとDランク冒険者との戦いは、互角に進んでいた。しかし、スライムナイトは、あくまでも護衛。スライムクイーンを守ることが、最優先任務だった。
スライムクイーンは、後方からスライムたちを指揮し、Dランク冒険者を包囲しようとしていた。しかし、Dランク冒険者は、スライムクイーンの動きを、しっかりと把握していた。
「甘いな! 貴様らの狙いは、お見通しだ!」
Dランク冒険者は、戦斧を地面に叩きつけ、周囲に衝撃波を発生させた。衝撃波は、スライムたちを吹き飛ばし、Dランク冒険者の周囲に、空間を作り出した。
「スライムアサシン、頼む!」
スライムクイーンは、スライムアサシンに指示を出した。スライムアサシンは、Dランク冒険者の背後に回り込み、短剣を突き立てようとした。
しかし、Dランク冒険者は、背後からの攻撃にも、対応した。Dランク冒険者は、背中に装備していた盾を外し、スライムアサシンの短剣を受け止めた。
「貴様のような小賢しいスライムは、まとめて叩き潰してくれる!」
Dランク冒険者は、盾でスライムアサシンを弾き飛ばし、戦斧を振りかぶった。スライムアサシンは、咄嗟に身をかわし、Dランク冒険者の攻撃を回避した。
「くっ……! さすがはDランク冒険者、手強い……!」
スライムアサシンは、Dランク冒険者の実力に、舌を巻いた。
スライムナイト、スライムクイーン、スライムアサシン。3体の特殊個体が束になっても、Dランク冒険者を倒すことはできないのか……!?
アースは、焦燥感を募らせていた。
「……このままでは、まずいかもしれない。何か、打開策を考えなければ……!」
その時、アースは、あることに気が付いた。
「そうだ……! マペットたちに、Dランク冒険者の情報を集めさせていたはずだ!」
アースは、マペットたちに、Dランク冒険者の弱点や、得意な戦法などの情報を、緊急で送らせることにした。
マペットからの情報が届くまで、あとどれくらいの時間がかかるのだろうか……?
戦いは、膠着状態に陥っていた。Dランク冒険者は、疲労の色を見せ始めていたが、スライムたちもまた、満身創痍だった。
勝負の行方は、まだ分からない。しかし、確実に言えることは、この戦いが、アースとエミリー、そしてスライムたちの運命を大きく左右するであろう、ということだった。