英雄
にしてもこいつどうしよう...。今の僕じゃ勝てないのはわかる。今の僕たちはなんのスキルも持ってない。素手でこの四天王やらに勝てるわけがない。
「おい海、ここは逃げるぞ。」
「いや戦うね。なんか右手が疼く。」
「そんなこと言ってる場合じゃねぇよ。僕たちなんかあいつからしたら塵以下だわ!」僕は海の右腕を掴んで逃げようとした。でもその時〝何かの力”を感じた。
「海まさかお前本当に...疼いてるのか」
「ああ。疼いてるよ。...これは撃てる...何かが右手から繰り出される...!」
ここで四天王をやれるかもしれない。こんなビッグチャンスはない。突破口を切り開いたのかもしれない。
「ちょっと待て〜!」
ローズの声と同時に黒い影が茂みから顔を出したもしかしてあれが本物!?
「もしかしてローズってあなた?」
「そうよ、私が正真正銘のローズよ」
「チッ本物登場かよ。めんどくせぇな。とりあえずあたし逃げるわ」
まずい、ローズにかまってられない。四天王逃げられる。
「おい待てってもういない!」どんだけ逃げるスピード速ぇんだよあいつ。
「てかなぜ今本物のローズさんが?」
「私あなたたちの担当だもの。そりゃ見つけなきゃ神様に怒られるじゃない。なりすましてたやつについていかれちゃ困るのよ。」初見であの偽ローズを身破れるやついんのか?まあいいか。
「僕たちを導いてくださいローズさん。魔王を倒しに行かなきゃならないんです。」
「言われなくても導くわよ。じゃあついてきなさい。私の本拠地へ案内してあげる。」
〜少し歩いて〜
「そういえば海、あの力どこで手に入れたの?」
「俺もよく分からん。毎日右手疼いてたから多分それ。」
「なるほど分からん」
「ねぇ」
「どうしたんですかローズさん」
「海ちゃんはもう右手が疼くの?」
「はい。疼くんですけどそれがどうしたんですか?」
「もしかしたらあなたは伝説になるかもしれないわ。この段階で右手が疼き始めたなら、もっと強くなれるわ。」
「俺が強くなれる...そしたらもっとすごいのが撃てるってこと?」
「その通り。あなたは一度この世界を救った英雄と同じかもしれないわね。」
「英雄?」海と僕は顔を見合わせた。