食料調達
「食料というのは生きる上でとっても大切である」
うちの中学の家庭科の先生の名言だ。しかし今、現在進行形で食糧不足なのである!
「狩るって言ったど、そんな動物がたくさんいるところなんてあるのか?」
「ありますよ。ほらすぐそこの山。あそこめっちゃ獣います」
ウィンディは当たり前のように言う。
「獣!?獣ってどんな味するんだろう」
「海はなんでそんなウキウキなんだ」
「なんでだろう。でもうちに秘めた謎の好奇心が、私を駆り立てるんだ」
何言ってんだか。
「とりあえず行きましょう!」
「おー!」
ウキウキなのは海とウィンディだけだった。
獣はデカくて強い、らしい。僕は海に比べりゃかなり弱っちぃから、遭遇したらワンパンされるんだろうな。怖いな。なるべく会いたくないな。
「獣ってどんなやつ?」
「この山にはいろんな事情があって、レベルが低めの獣しかいないっす。だからそんな怯えなくてもいいですよ」
「僕でも倒せそう?」
「大丈夫です!」
なら大丈夫。
〜かなり歩いて〜
ウィンディが突然しゃがんで、木陰に身を隠した。
「あそこですあそこ!あいつはウナススっていうやつで、超絶普通の肉の味がします。ほんとに普通の味です」
ウナススという獣は、ただの猪のようなフォルム。唯一違うのは、普通の猪より強そうなのだ。
「とりあえず僕があいつ狩るんで、僕を見て狩りの仕方を覚えてください」
そう言ってウィンディは背中に背負っていた弓と矢をとって、弓に矢を番えた。
しかし獣のウナススも、黙ってはいない。猪に似ているので、攻撃パターンも猪と一緒だ。ウナススはウィンディにめがけて一直線に突っ込んでくる。
「ウィンディ!危ない!」
と言おうとしたのも束の間、突っ込んでくるウナススの頭に矢が突き刺さった。
「これが狩りっす!」
そうやって笑顔でこっちを見るウィンディに、我々はスタンディングオベーション。
「あとはこいつを解体して、肉焼けば完成っす」
ウナススの解体するウィンディ。彼の慣れた手つきに、海は目を輝かせた。
「じゃあ、もっと獣を狩りましょう!」
「おー!」
〜ちょっとして〜
たくさんウナススを狩った結果、山の奥の方まで来てしまった。
「ウィンディ、ここどこ?」
海は不安そうだ。そんな不安そうな海を見て、ウィンディは申し訳なさそうに言った。
「僕もわかんないっす。今迷子っす」
なんと地元民のウィンディが、山に迷ってしまったのである。足跡とかもないので、人が全く来ないところに来てしまったのだろう。
「この辺りに来てから、傷がついた木が多くない?」
海は周りの木を見渡して言った。確かに海の言う通りだ。爪痕というかツノで引っ掻いだ傷というか、そういう引っ掻き傷が気の至る所についているのだ。それに気がついた瞬間、ウィンディが青ざめた。
「2人とも、これやばいっす。このままだと死ぬかもしれないです」
「えっ!なんで?」
ウィンディによる突然の発言に、2人は驚いた。
「僕のおばあちゃんが言ってた話なんですが、この山は弱いウナススがたくさんいる山なんです。しかしこの山は広いので、前人未到の地もあるみたいです。そこにウナススの主が住んでいるという噂があるんです」
ウナススの主...。
「しかもウナススの主はとにかく強いらしいです」
とにかく会いたくない。
「どうしよう...」
ウィンディと僕はとてつもない絶望感に襲われた。
すると海は僕らの肩を叩く。
「私ここまでの歩いてきたところの近くの木に、目印として気に傷をつけたんだけど、それ辿っていけば戻れると思うよ」
その時、僕の目には海が神様にしか見えなかった。
「じゃあそれを辿ろう!」
と意気込んだ。
〜少し歩いて〜
「結構奥まで来てますね。数をたどってるけど全然開けた場所に出ない」
かなりだいぶ奥まで来ていたようだ。
「少し歌いません?」
「歌?」
ウィンディの謎の提案に、戸惑った僕たちだが、山の中は暗くて怖いので、提案に乗ることにした。
「ら〜ら〜♩」
ほぼウィンディのソロパートである。
歌い始めて少したったくらいに、とてつもなく大きな足音が聞こえてきた。しかもこちらに向かってくる。
「木の後ろに隠れて!」
ウィンディは僕らに指示をした。
足音はどんどんこちらに近づいてくる。
「ウナススの主だ」
あれがウナススの主...。
大きさは学校の校舎ほどで猪に似ているが、なぜか二足歩行だ。
「歌声でばれたんじゃない?」
と、海。
「そうかもしれない」
と、ウィンディ。
2人ともパニックだ。
「オイ、ウタウニンゲン、オマエラ、オレノ、コブン、コロシタ、オレ、オマエラ、コロス」
喋った!?しかもめっちゃ殺気立ってるし!こりゃまずいぞ。どうにかせねば。




