温泉と駆け引き
カポーン...
ふう...
ああ気持ちいい!久しぶりに入る温泉は最高やな。修行中、湯船浸かれなかったから感動してる。僕たちのいた世界の時は、温泉なんて小学3年生くらいに海と行ったくらいかな。前は親と行ったけど、今は2人で来たから成長した感があってなんかエモい。知らんけど。
「でなんでフリージアさんもいるんですか?」
「俺が奢るんだから当たり前だろ?」
奢ってくれるんだ。
「ていうか蓮て海のこと好きなん?」
「ブフォォォ」
「きたな!」
「おい」
思わず吹き出してしまった。ここは好きバレしないように平常心を保たなければ。
「まあ、あの、ね、ほら、そのぉ、なんと言うか。」
これはザ・平常心と思えるような発言!これは好きバレしないだろう。
「やっぱりそうやと思ったんよね。」
もしかして好きバレした?
「なんで僕が海のこと好きだと思ったんですか?」
「ん〜なんでやろうなぁ、これも霊感かもしれんし、あと蓮めっちゃわかりやすいでかな?完全に動揺してたから、完全にそうだと思ったわ。」
まさかこの僕がわかりやすいとは。あまり動揺を出さないようにしていたんだが。(出てた)
「で、海のどこが好きなん?」
「なんで言わなきゃいけないんですか!」
「なんでってそら気になるやん。」
「えぇ...」
今日初めましての成人男性に言いたくないな。
めっちゃこっち見つめてくる。フリージアがすごい見つめてくる。上目遣いで見つめてくる。うう...。
ええい!もう言ってしまえ!ヤケクソや!
「やっぱり無難に顔がタイプ。」
「突然喋ったかと思ったら、面食いやないか」
「面食いなんて失礼な。そこだけじゃないですよ。とにかくかっこいいんですよ。」
「for example ?」
突然の英語に腹が立ったが、まあここは無視としよう。
「まず容姿がなんかかっこいい。ボブよりも少し短めの髪型。二重の大きな目。引き締まった体。どこを見てもかっこいい。あと内面もかっこいい。敵に遭遇した時もローズとの修行の時も、相手が格上だったとしても、引くことなく立ち向かっていって、そして何かを成し遂げる。意気地なしの僕には持ってない物を海は持っているのがすごく羨ましい。でもそこがたまらなくかっこいい。そんなとこに惚れたのかもしれないですね。」
「なるほど...めちゃくちゃ語ったね。でも俺も姉さん見てると、かっこいいなって思うところたくさんあったからな。強かったし。それはすごくわかるわ。」
「ですよね!」
初めましての成人男性と初めて分かり合えたため、このトークは長く続いた。
〜10分後〜
「ちょっと2人とも長すぎる!相当待ったんだからね。」
海は少し怒り気味であり呆れていた。
「ごめんごめん。ちょっと盛り上がっちゃって。」
「ちょっと俺コーヒ牛乳買ってくるわ。ここで待っとって。」
「ありがとうございます。」
フリージアさん優しい。
「久々の温泉気持ち良かったね。ここの温泉効能すごいらしいから、もうすでに効果出た感じするわ。」
海は久しぶりの温泉にご満悦のようだ。
「確かにそうね。なんか痛みとか消えたかも。」
「そういえばフリージアさんとなんの話して盛り上がったの」
まずい聞かれてしまった。まだこんな物語の最初の方で好きバレしたくない。(メタ発言)この質問どう答えるべきか。僕の心の中の恋愛シュミレーションゲームを起動させた。
1.君のことだよ。
2.ちょっと言えないな。
3.ひ・み・つ♡
4.恋バナしてた。
よし4択に絞ったぞ。まず1はキザすぎるので却下。2はさらに深掘りされそうで却下。3はシンプルにキモいので却下。じゃあ消去法で4しかないのか。他の選択肢が思い浮かばない。誰になんと言われようと俺は4を選ぶぞ。
「恋バナしてた。」
「いいね。こう言う時の定番って感じだね。」
「そうだね。やっぱこういうとこ来たら、話したくなっちゃうんだよね。」
「蓮は誰が好きなの?」
うぉっと。これはどうするべきか。今ここで海と答えてがっつりひかれたらもう冒険に出れなくなってしまう。精神的に辛くて。やっぱり幼馴染と言う間柄、このまま恋仲へと発展するには、かなり大変かと。
「言えないね。海が言ってくれるんだったら、僕も言うよ。」
とりあえず海の好きな人が気になるので駆け引きに出た。
「蓮のケチ。普通に教えてくれればいいのに。」
「ケチじゃないよ。これでイーブンだろ。」
「そんなことないし、じゃあ私も言わない。」
「海だってケチじゃん。」
「そんなことないもん。」
こりゃ完全に拗ねちまったな。
次回、関係を紡ぐコーヒー牛乳。




