魔王様とゲーム1
今回は説明っぽいです。
プチ不運という体質は…
家事全般と水と油の関係…
何が言いたいかと言うと目の前にいる侍女長のコルネさんの顔を見れば分かる。
彼女は蒼白な顔をして私のかざす布キレとなったそれをボーゼンと見ていた。
「陛下のご衣裳が…」
ことごとく侍女仕事を失敗する私に侍女長が頼んだのは「洗濯」。
しかも、ただの洗濯ではない。「干すだけ」という代物。
私もさすがにそれくらいは、と張り切って仕事にかかったのだが…
甘かった。
壁の出っ張りにシャツ(ぶらうす?)が引っかかって、ちょ~っとひっぱったら…
ビリビリと…
まあ!根性のないシャツだこと!!!
「まったく、あなたと言う人は…!何をやらしても…。」
怒りの黒雲を背負いながらコルネさんが目頭に涙を溜ている…
ひぃいい。
ご、ごめんなさい!!
この壁が、この出っ張りが、ですね!!!
そう、これが悪いんです!!
今、私はしゃべることができないので(口が聞けない設定にしてあるし。)必死で指差していいわけします!!させてください!!
すると、コルネさんの動きが止まった…。
私の心の声が届いたか??
「これは!? あなた、これを知って????」
なぜかそれ以上怒られない私を他所に周りが騒がしくなった。
「コヤマが見つけました。」
騒ぎを聞きつけて飛んできたのか銀髪クンがユリウスのシャツを台無しにしたそれを見て目をまるくしていた。
なんだ?
あの赤く尖った石がどうかしたのかな…?
「なるほど、こんな所に隠してあったのか…。見つからないはずだ…。」
ブツブツ言っている銀髪クンに説明を求めるようにジイッと見つめてみるも、あからさまに嫌~な感じで無視された。
いいじゃん。なんか、私、お手柄っぽいし。無視するなんて陰険な。
ナメクジおとこ…
ナメクジおとこ…
呪いの言葉を私が心の中で唱えていると…
ギロッ
睨まれてしまった…。
クワバラ、クワバラ…。
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「結界石が見つかったそうだな。シュウ。」
「はい、持ち出したかのように見せかけて場内に隠していたようです。探しても見つからないはずです。結界石が目的ではなく、城内への侵入をたやすくするためだったのでしょう!…小賢しいまねを…。」
「ユキが見つけたと聞いたが?」
「あ、はい…。」
「あれは私に力だけでなく幸運も運んで来るのだな。」
「 … 。」
目を細めてそう言うユリウス陛下を苦々しい想いで見てしまう。
他人に(物すらにも)執着を見せたことの無い陛下が最近ユキというガキンチョをどうも気に入っているようだ。
16年前、陛下の腹違いの兄であるジリル殿下が「かえらずの石」を使って陛下を人間界に飛ばしてしまった。魔界では絶大なる力を持つ陛下でも人間界ではただの人。魔界に帰ることすら出来なくなる。
しかし、不穏な動きを感じ取っておられた陛下は「呼び寄せの石」を常備していた。おそらく陛下が人間界に転生される時に「呼び寄せの石」は形を変え、その時同じにして産まれた「湖山ゆき」に入ったのだと推測される。この「呼び寄せの石」は人間界で魔力を発揮することができるというものだ。ただ、使えるといっても魔界に居る時の半分以下も魔力は戻らないというし、その効果は試されたことが無かったので確たるものではなかった。それでも陛下が戻ってくるのを確信していた私やクレオを含めた重臣たちはジリル殿下に屈せずこの城を守ってきた。結果、思っていたより早く陛下はお帰りになった。さすが陛下。
…「湖山ゆき」は以前以上に陛下に力を与え、しかし、その力は「ゆき」が傍に居ないと持続性がない。ジリル殿下の思惑とは裏腹に出来た副産物は陛下にとって諸刃の剣なのだ。
陛下ご自身の魔力が戻るのにはあと100年はかかるだろう。魔界ではたいしたことの無い時間だが時期が悪い…。「ゆき」と交じると早くなるのだが…。
あれは珍獣だ。
おもしろ生物であって女ではない。
陛下のペットが欲しかった訳ではないのだ。
…
あれでは…
性欲もわかん…
「絶対、后には認めん!!!!」
…シュウは空に向かってうなった。