ゲーム開始前夜
ルールはいたって簡単。
明日の朝から3日間、私のことを知っているユリウスを含む4人以外の人と一言でも口を聞けばアウト。そういう術を私にかけるのだそうだ。ユリウスつきの侍女コヤマとして下働きすることになる。
勝って帰るぞ~~~!!!!
さて、お腹が空いては戦は出来ぬと思いたった時にリラさんが夕食の準備が出来たと呼びに来てくれた。
ひろ~~いテーブルには先程の3人の顔ぶれ。
出来れば一人で食べたいのですがね…。
意外に人間食…。
いや、普通に創作フランス料理風。オサレ…(オシャレ)。こっち(魔界)の食事情は同じなのかな?
「陛下、これは?」
銀髪クンが不思議そうにポタージュもどきを覗き込む。
「人間食だ」
…違うらしい。
後でリラさんに聞いたところユリウスが持って帰った料理本を真似て料理長が頑張ったとか。
ユリウスはナンデか人間界に転生して16年間育ったそうな。魔王様だからか豪華そうなおうちに産まれてそうですね。
隣に座った銀髪クンは正面のユリウスと私が話す度にあからさまに嫌~な顔をして「これだからガキは…」とか「ちんちくりんのくせに…」とか私にしか聞こえないように言ってくる。
ねちねちした性格なんですね?お顔は良いのに勿体無い。
途中、エビ(?)っぽいのが出てきて殻を手で剥く趣向らしくフィンガーボールがでてきた。それとなく人間食作法を習得しようとチラ見している銀髪クンの視線に気付いていた私はフィンガーボールを持ち上げて飲む振りをした。
…隣ですまし顔で飲んでいますよ…。
「陛下、これは?」
クレオさんは素直にユリウスに聞いている。
「こうやって手を洗うものだ。」
ブーッ
あれあれ、銀髪クン、吹いちゃったよ。お向かいのクレオさんがちょっと気の毒。
ギロッ
…今、ものすごい顔で睨まれました…
壁の方向いて知らん顔しました…。イジワル言うからですよ!
はあ、別の戦いも勃発しそうです。
何とかその後、食事会を終え、バラの花が浮いた豪華なお風呂をいただき…
天蓋付きベットでお姫様気分で就寝しました…
疲れた…
…
…
ン…
頭がゴワゴワします…
ふかふかの枕が変身したのでしょうか。
頭をずらしてっと…
あれ?
引き寄せられて…
引き寄せられる??????
「まだ早いもう少し寝ろ。」
聞き覚えのあるセクシーボイスが耳元に…
固まる首を無理矢理回せば、そこには超美形…
…
…
睫毛、長いんですね…。
じゃ、なくて!!!!!!!!
「な、な、なんでここにいるんですか!!!!」
「…寒いからだ」
私をひと睨みしたユリウスはそう言うと、もう一度私を抱え込んで寝てしまった。
私の服に乱れは無く…
黙殺…
…
きっと魔界はスキンシップ過剰大国なのだ…
考えるのも面倒になってきた…
もう知らん…
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。




