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St.ベイべー16

AM8:00


ホテルに到着


早速メイクと髪のセットを開始。

結婚式ってこんな感じなのかな。ドキドキしてきました。



AM9:10


ドレスも着て準備OKです。


ドレスは…モチロン!ユリウスが選んでくれたものです。あのユリウス自らですよ!

うれしすぎます!宝物間違いなし。汚さないように気をつけないと。えへへ。


さて、トイレに行っておこうかな。


と、ドアを開けると…。


「おめでとう!ゆきちゃん!……わぁ!!!!!!めっちゃカワイイ!!なんか、花嫁さんみたい!写真撮っていい?」


クラスメート大集合です。び、ビックリした。あ、気を使ってかホテルのスタッフの人たちが頭を下げて退出…アリガトゥ!


「なんか知らない人もいっぱい来てるから先にプレゼント渡しとこうって話になったんだ!」


緑のリボンに包まれたプレゼント。


「あ、開けていい?」


「「「「「「「「「もちろん!!」」」」」」」」」」」


大合唱に押されて包みを開けると、


ん?


こ、これは…


ジャ、ジャ~ン!カッパの衣装だ!


「これって学校に寄贈するんじゃなかったの?」


「こっそり持ってきました!」


敬礼しながら未来ちゃん、それ、犯罪です。


でも。うれしい!!!


「ありがとう!」


「写真撮ろうよ!」


恵ちゃんの掛け声で撮影大会に。記念にお願いします!


「カッパちゃんでもいっとく?」


え、と。まだ10:00までには40分ほどあるから…。ちょっとだけ。

ちょっと、待ってください。白いドレス汚したら大変なので着替えてきますね!


着替えてきてカッパ姿でみんなと記念撮影。ユリウスの好みで髪は垂らしたままなのでちゃんと皿も乗せれますよ!


「そろそろ会場の方にいくね」


「じゃ、私も着替えるよ。あとで!」


皆と別れてドアを閉めると…。





「あれ、美咲ちゃん…。」



びくりとした美咲ちゃんが私を見る。


「なんでここに?」


「わ、わたし。ゆきちゃんに謝ろうと思って…。」


「ええ?」


「今までいっぱい意地悪してごめんなさい。」


「う、うん。」


わざわざ謝りに来てくれたんですか?大嫌いだった私の誕生会に来て?

ちょっと感動です。


「じゃ、それだけだから。」


「え、と。楽しんで帰ってね?」


「……もちろん。」


美咲ちゃんの後姿を見てちょっと興奮気味の私が着替えようと落ち着いた頃

「もちろん」と笑った美咲ちゃんの意図を知ることとなる。



~~~~~



ない。


ない。


ない。


ここに置いておいた筈のユリウスにプレゼントしてもらったドレス…。



まさか。


まさかなんだよね…。


ここに来てこんなことするの美咲ちゃんしかいない。そういや大きなバッグ持ってました。


私ってバカ?


ああ、思いっきり落ち込んじゃう…。


どうしよう。


クワタンは例のもの取りに行ってるし、イモムー一人じゃ外に出せないし(虫でも人間型でも…)、私はカッパ姿だし。あと10分で10:00だし。


ウロウロ部屋の中で回ってみても仕方ないので意を決してソロリと外に出る。

なんとか助けを呼ばないと。確か、良子ちゃんが2つ向こうの部屋に…。



「オェ!」


後ろからすごい力でお腹あたりを抱きつかれています!

思わず変な声あげちゃったよ!って…



「テオくん!?」


「~~~~~~!!!」


超興奮したテオくんが放してくれません。いや、だから、ちょっと落ち着こうよ!



「……ユキ。」


その時、頭上からユリウスの声が…。て、天の助け!


「ユリウス!あのね!」


…と、その時。「お前はあの島を壊滅させる気か?」銀髪クンの言葉が甦る。これってユリウスに言っちゃって良い事なの?大事なドレス失くしちゃったって?


……。


躊躇しているとなにやらテオくんの家族が大集合。

私の姿を見て大喝采だった。


ユリウスはクレーメンスの面々と何か会話するとテオくんを私から引っぺがして腰を抱く。そのまま会場直通のエレベーターへ…


って、ちょっと、私、カッパのまんまなんですけど!?


ばっちりドコゾのスーツでキメたユリウスを見上げると冷えた瞳とぶち当たる。


え、なんで?


もしかして怒ってる?


エレベーターのドアが閉まると同時に壁に押し付けられる。


え、んんっ!


久しぶりの濃厚なキスに慣らされた私がユリウスの舌先を追ってしまう。


痛ッ!


え?


……。


思いがけず唇を噛まれた私の口の中に鉄の味が広がった。

そんな私にユリウスが


「そんなにクレーメンスのご機嫌取りがしたいのか?お前がどういうつもりでも私はお前を手放すつもりは毛頭ないからな…。」


と目から飛び出した殺人ビームで焼きながら言ったときエレベーターが開いて会場に到着した。

他の人には判らない冷笑を湛えたままのユリウスが私の腰を抱きながら私の体を前に押し出す。


ち、ちがうよ!


なんか、勘違いしてません?


会場の熱気が私を包んで…


誤解したままユリウスは私をエスコートする。


も~ゆきちゃんはぁ~ と私の姿を肯定する声。


だから、


違うんだよ~!!


ユリウス!!!



…私の心の叫びはユリウスには届かなかった。



チ~ン



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