表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/66

St.ベイべー9


銀髪クンが出て行く背中を恋人のようにじっと見つめてしまった……オェッ。


しかし、どこでどうなって「結婚式」ってなったんだろう?


ぐるぐる考えていても仕方ないので昨日の晩のことを思い出してみないと。


昨晩…お風呂に入ってから部屋で宿題をしているとユリウスが入ってきた。最近は人間界で夕食を食べてお風呂に入ってから魔界の部屋で勉強したりして寝ているんだけど、お仕事があるユリウスは寝るだけって感じで大抵は私が眠った後にベットに入ってくる。「大事な話がある。」と言っていたのでそのために早く来てたんだよね…。


「来月に誕生日がくるな。」


うん。私とユリウス…悠里クンは同じ日に産まれたからね。そうじゃなかったらここにこうしていなかったかも。ここまでは問題ないよねぇ。


「誕生日にお前をくれるか?」


そう、言われた。確かに。人間界常識じゃあ、まあ、そういうことなんだと思ったけど、魔界常識じゃあ「プロポーズ」的なことだったのかな!?私は…断る理由もないし「いいよ。」って答えた…。

これ以上引き伸ばしたって駆け引きできるような恋のテクニシャンな訳じゃないし…。不安だったけど、ユリウスが望むならいいって思ったんだけど。


その後は…名前を呼べって言われて「ユリウス」って言ったらキスされて…苦しくてやっと息吸ったと思ったらまたキスされて…放してくれなくって…「舌出して」って言われてまたキスが…。


…。


…。


わ~~~っ!!!何やってんだ!!私!!恥ずかしすぎる!!だって、あんなのズルイんだもん!なんかもう心地良すぎて!


ああ、あああ。


ただでさえ口数少ない上にいつもキスでナシクズシに…。


うう。


でも、あれがくるともう体がぐにゃぐにゃになって頭が役にたたないんだモン…。


はああ。


歴代の魔王のお后さまで人間だった人は魔界に来てから一度も人間界に帰った人はいない。私は異例なんだってサモンさんも言ってた。そもそも人間界に帰りたいなんて思わないらしい。魔王の魔力=魅力で強力らしく中毒になるらしい。そういう風には私には効かないみたい。呼び寄せの石のせいもあるのかなぁ。初めて魔界に来たときは帰ろうとしてリラさんがビックリしたっけ。


結婚かぁ。やっぱり子作りする行為をするならした方が良いよね。魔界って一夫多妻?重婚OK?…魔王ってなんでもありな感じだし…


あれ?ちょっと待て。もしかして私が知らないだけでユリウスって実は嫁がたくさん居てウハウハなんじゃあ…


ひ、ひどい…。


「サ、サモンさん!魔界ってパートナーって複数いたりするんですか!?魔王さまってハーレムもってるの?」


ブーっとお茶を噴いたサモンさんが恨めしげに私をみる。…ごめんなさい。熱かったんですね…。


「陛下にはユキ様だけです…このサモンが保障しますから安心してくださいませ。」


そういうとサモンさんはピンクの小さな包み紙に入ったものを渡してくれた。


「一粒で半日は持ちます。お試しになってください。イチゴミルク?とやらの味には似せましたが…。」


「わ、ありがとうございます!サモンさん!」


イチゴミルク大好きです!


サモンさんはそそくさと物を渡すとトイレに入って出てこなくなった。いよいよ私の質問攻めに耐えかねた時にサモンさんが使ういつもの手…うう。痔になったら悪いから帰りますよ…くすん。


色々ユリウスに聞いてみなきゃいけないな。この時間だと執務室かな?最近はユリウスって名前を出しても傍に行きたいって念じてないと行けない。いろいろ魔界生活がランクアップしてきたなぁ。シミジミ。



~~~~~




歩いて行った方が早かったので意気込んでバーンと執務室空けて、銀髪クンの頭を扉のカドで打ちのめしてしまった。アリャリャ。


「結婚式ってナンですか?」


はあはあと握りこぶしを突き出しながら言う私の剣幕に少したじろぎながらユリウスが書類から目を上げた。


「……ああ、シュウから聞いたのか?ユキが外に出る機会が増えたので正式に披露しておこうかと言っていたんだが。嫌ならしなくても良い。」


「式はしなくってもいいです。でも、誓いはしてもらいますよ!」


「誓い?」


「浮気は駄目です。ハーレムでウハウハなんてもってのほかです。私が死ぬまでは許しません。それから…」


言い募ろうとした私の唇にユリウスの長い指が乗った。


「それはお前をもらう日にしよう。それまでにまとめておいたらいい。…ウハウハはユキとしたいがな。」


にやりと笑うユリウス。うーん。自分で言っといてなんだけどウハウハなユリウスって想像できん…。


「……。」


「まだ、何か言いたいことがあるのか?」


「その、良子ちゃんだけにでもホントの事話してさよならさせてくれないかな…。」


「…ユキがそうしたいならそうすれば良い。」


けっこう決意して言ったのですが、意外…普通にユリウスに返されてしまった。しかも、話はそれだけ?って感じですが。魔族の秘密を!みたいな事はないんだ。


…失敗したら記憶消すから良いってこと?それなら下で伸びてる銀髪クンの記憶も消してくれないかな。エヘッ。




「ユキ…。今のままの生活をさせてやることはできん。また私に反発する輩も出てくるだろう。人間界の家族が知れると必ずそれを利用する。魔界ここなら守ってやれるものも人間界では私の力も及ばないこともあるだろう。それにサモンが見張っているとしても人間界への道をいつまでもつなげる事は危険だ。以前ふさぎ忘れた通路から人間を連れ去ってきて売り買いするようなことも起きている。魔界と人間界は魔王の花嫁の儀式以外はつなげてはならん。」


「…うん。わかってる。でも、誕生日までは人間界に居させてくれる?」


「約束しよう。」


「…ユリウス。」


いつもは名を呼べって言われてからいうユリウスの名を呼ぶ。


もちろん、キスをねだって。


ユリウスはちょっとうれしそうに笑うと


優しいキスを落としてくれた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ