表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/66

St.ベイべー8

ぼちぼち本題へ…

「ですから、そのようなお話は…。」


「でも、でも!サモンさんしか相談できないんです!」


…白い清潔な壁になにか薬品の匂いが染み付いている部屋。ここは魔界での私の癒しの場所になりつつあるサモンさんの研究室。生物に興味がある私はサモンさんの弟子になることにしたのだ。モチロン一方的ですが。


「その、どうなんですか?経験豊富な男の人って…と、いうかユリウスはやっぱり、その…がっがりしたりしたら愛想つかしちゃうもんなんですかね?]


「陛下がユキ様に愛想尽かすなんてございませんよ。大丈夫ですから。安心なさいませ。」


サモンさんがいかにももうこの話はしてくれるなという態度になってきているけど、私も必死なのです。やっぱり「経験豊富」は否定してくれないのですね!こないだアルダママが「ユリウスはなかなか上手いらしいから任せておけば良い」って。それって転生前魔界にいた時のユリウスの床事情を知ってる人が複数居るってことですよね!!むむぅ。


「来月は私とユリウスの誕生日なんです!ユリウスがお前をくれって…それってそういうことなんですよね?」


「へ、陛下が…そんなことを…。」


驚いて下を向くサモンさんの顔がユデダコです。ぶっちゃけてる私もですけど!


魔界ここでは「結婚」は「契約」という意識が強い。本来そういうことなんだろうけど、「愛し合って」そばに居る人が通常で「結婚」する人は家の為にとか無理矢理のイメージだ。しかも、ユリウスは魔王様。歴代魔王は魔力の強さにより魔力の少ない人か人間界からパートナーを連れて来て子孫を残す。それ故に魔界ここの人にとって「人間」は有翼族の餌か魔王の子を産む道具でしかない(銀髪クン談)らしい。じゃあ、ユリウスにとって私は?


「そ、そういうことは獣王様に…。」


「アルダさんに相談したら練習させられちゃいます!」


うう、獣族さんたちは「別にいいじゃん」くらいのノリなのです。わ、私はユリウスとじゃなきゃ嫌です。


「……ではリラに…。」


「リラさんに言ったらユリウスにバレます。」


内緒で動いてくれてるんです。いっつも。もともとユリウスの乳母さんだったらしいですし。しかし年齢不詳です、リラさん。銀髪クンに相談するくらいなら死んだほうがマシだし、最近は「娘」としてかわいがってくれているクレオパパになんか相談出来るかって感じだし。


私、恋愛って両思いになってハッピーエンドでそれで幸せ~ってなるんだと思ってたんですよ!でも、実際はお付き合いしてる方がこんなに胸が苦しいなんて切ないなんて思ってなくて。


はぁあああ。


しみじみ思うんだもん。

ユリウスって文句つけようないんだもん。かっこいいしさ。

最近はとろけるように微笑んでくる事だってあるし。

いちいちドキドキしちゃう。

なにもかも投げ出して傍に居たいって思ってしまうよ…。


でも。


何もかも投げ出しちゃったらどうなるの?魔界で人間は私一人ぼっちで。よしこちゃんを置いてくるまでして納得いくように生活できるの?その上あんなに素敵で魔王様のユリウスがいつまでも私にかまってくれる?愛される自信ある?


不安に押しつぶされそう。  



バン!



「サモン、こないだ頼んだ薬だが…。」


ああ、ビックリした!心臓が破れた音かと思ったよ!もっと静かに入ってこれないかな!銀髪クンは!


「なんだチビバカ。こんなところで何しているんだ?陛下に膝召喚されるぞ!」


「ち、チビにバカ付けるなんてヒドイ!私は研究職員なんだからここに居てもいいんですよ!」


「バカにバカって言って何が悪い!それになんだ!こないだの変な衣装は!笑われるなら一人でやれ!私を巻き込むな!大体いつまで人間界に居るつもりなんだ?人の迷惑も考えろ!」


う~。ユリウスの心臓を守るための護衛ですからね。銀髪クンの協力なくては人間界の生活もままならないのも事実。


「そんなこと言って!知っているんですよ?未来ちゃんとお茶したりお買い物したりしてるの!随分楽しんでるんじゃないですか!」


私の親友なんですよ!未来ちゃんは!ズルイ!


「ちっ…1回だけだろう…情報収集してやってんだ!有り難く思え!」


う~~。ああ言ったらこう言う星人め!


「レイシアス様。ユキ様を刺激しないで下さい。貴方のほうが随分年上なんですから。」


「そうだ!そうだ!116歳のくせに!」


や~い!じいさんめ!


「そういうお前だってな、魔界と人間界を行き来しているうちに確実に未来たちより歳を取っているのだぞ?魔界じゃ116歳なんて若者なんだよ!ほんと、バカだよな。」


「あ、またバカって言った!」


ムキ~~!!


「おい、来月の結婚式後は人間界には行かせないからな。そろそろ心の準備しておけよ。まったく陛下も甘すぎるんだ!サモン!薬を寄越してくれ。」


え…


今、結婚式って言った?人間界に行かせないって言った?


鬱陶しそうに銀髪クンがこちらを一瞥しながらフンッと鼻を鳴らして研究室から出て行った…。


銀髪クンの言葉が私の頭の中でぐるんぐるんと回りまわって…


なかなか心に浸透してきてくれなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ