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St.ベイべー7


ふおおおおおお!


ユリウスのバカバカバカ~~!!!


いくら、ゆきの絵が下手だからって!この際認めますけど!どうしてわざわざカッパの資料をリラさんに!!!しかもこのスパンコールの皿めっちゃ手が込んでるし!!


目の前には感想を聞きたがっているリラさんの期待満面な顔…。


さ、悟られては…悟られては~~~~!!!!!


「と…」


「と?」


「とってもかわいい…です。」


私、笑顔が引き攣ってないかな?幸い黄色のくちばしで表情があまり出ていないと思うけど。


ぱあっとうれしそうに喜ぶリラさん。


「そうなんです!頭の部分を特に頑張ったんですよ!良かった~~気に入ってもらえて!」


…。ここまでさせてこれ着なきゃ女が廃るってものです。


湖山ゆき。腹くくらせていただきます!




*****




「ゆきちゃん、愁子ちゃん…。」


「未来ちゃん。人には触れてはならない事があるよね?ちなみにこれはカメです。誰がなんと言おうとカメなんです。」


小さな声で愁子ちゃんが「おい、明らかに二人だけ違う生き物だぞ!」と言ってきたけど無視です。確かに緑色の集団の中でもスパンコールの皿は見事に目立っております。しかし、これは、天使の輪がついたカメなのです!!輪の周りに緑の三角なんてついてても関係ないのです!!!ハアハア。


もしもしカメよ~

カメさんよ~…


こ芝居…ウサギとカメ…


なぜか「カメハメハ大王」の合唱で締めくくり…



出し物はつつがなく終わった…


リハーサルで担任の緒方先生に愁子ちゃんと呼ばれたけど、「カメです…。」と私が頑なに言うので先生も顔を引き攣らせながら最後は(根負けしたのか)納得してくれた。級友たちはある意味私が起こす騒動に慣れているのか腹を抱えて笑っていたものの特に何も言わなかった。


ナゴヤカホーム(老人ホームの名前)の皆さんからもちらほら「カッパがおる…」と言う声が聞こえていたけど、なかなか目立った分受けたようで終わったあとなぜか「ご利益…」と握手を求められて写真まで撮った…。おじいちゃん、おばあちゃん。お願いです、それ、あんまり人に見せないでください…。


はあ、いろんな意味で大きな一歩を踏み出してしまったような一日でした…。ふひぃ~。


打ち上げと称して級友たちとやっぱりここは「カラオケ」。委員長の恵ちゃんが取り仕切る中、愁子ちゃんが途中マイクを独占してブーイングが飛び、ここでもまたカッパの衣装を私だけ着させられて写メ…。だから、それ、他で見せちゃだめですよ!


「ああ、かわゆい…。カッパで可愛いなんてゆきちゃんくらいだよ…。」


ギャハハと笑いながら級友たちが頭の皿を撫で回す…。


もう、なんとでも言ってください!ゆきの神経は屋久島の縄文杉のごとく太くなっているのです!


「ね、ゆきちゃん。「湖山美咲」って知ってる?」


恵ちゃんが帰り際に私に聞いてきた。なんだか最近よく聞いてしまう名前です。


「うん。一応…従妹…かな?」


曖昧に答える私に恵ちゃんは首をかしげた。眼鏡が似合うクールビューティー。


「一応?」


「…、まあ、その。あんまり私はむこうの家族には歓迎されていないので…。」


公言はしていないけど、なんとなく一年の時に家の事情は知れているのだと思う。


「ふうん。じゃあ、敵ってことで。」


「??」


そういうと恵ちゃんはにっこり手を振った。


「じゃあ、また明日ね!カッパちゃん1号!」


級友と駅で別れる。みんなで手が取れそうなぐらい手を振り合った。

私の弾む歩幅で鞄にとまっている金色のクワガタがゆれる。


今日はとっても楽しかったです…。


心がホカホカしたまま家路についた私は



この時…



水面下で行われていることがあったなんて全く気づかなかった。



ちょっとの間更新空きます。詳しくは活動報告にて

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