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St.ベイベー3

愁子ちゃん人間界に馴染んでいます。


…朝から陛下の機嫌が悪い。


執務室で黙々と作業を続ける陛下…。

2人で作業することは珍しくない。しかも本来いつもこんな雰囲気でやっていたのだ。

私がここ最近の陛下の上機嫌さに慣れてしまっていたようだ。


ユキが魔界に来てから陛下の雰囲気が柔らかくなった。(それはもう)不本意ながら認める。表情が豊かになり、その微笑みは廊下ですれ違った召使いが鼻血を出して倒れるくらいだ。


今朝から以前の陛下に…と、いうことはご機嫌を損ねたのは「ユキ」しかいない。

昨晩、母親のところで眠ったと言うのだからそれが理由なんだろう。

喧嘩でもしたんだろうか?

まさか。


…昨日行った「カラオケ」は正直楽しかった。

事前にユキからデータを貰った「歌うならこれ全集」(byユキ)と歌詞カード。わざわざ私のために用意してくれたという。まあ、あの珍獣にもいいところがある。昭和はいい。昭和は。


しかし途中、陛下が退出してガキがユキにちょっかい出しそうになったときは焦った。魔界でも人間界でも独占欲丸出しの陛下はユキに近づく男に容赦ないのだ。まったく、城じゃ私とクレオとサモン以外にユキと話どころか目をあわす者すらいないというのに。


「合コン」は陛下とユキが突然帰ってしまったので自然とその後解散になった。私も帰ろうかと思ったが、ミライが陛下の歌った曲を買いに行くというのでついて行った。


「なんか、悠里クンが歌ってるの聞いたら欲しくなっちゃったよ~。愁子ちゃんはなに買ったの?」


「「昭和わたしのベスト」。」


「…渋いね。」


ちょっと休憩しようと誘うミライとマク〇ナルドへ。シェイクはけっこういける。


「ゆきちゃんの彼氏ってちょ~カッコイイねぇ。おかげで普通にカッコイイあとの2人が霞んで見えちゃった!ファンになりそうだよ。」


うっとりしてミライが言う。あたりまえだ。魔王様なんだぞ。その辺のガキが敵うはずもない。


「愁子ちゃん従妹なんだよね。さすが藤代関係者は浮世離れしてるよ。はあ~。藤代かぁ~。大丈夫かなぁ~ゆきちゃん。」


「どうして?理想の王子様でしょ?お金持ちで顔も良くて大事にされてて。」


「まあ、ゆきちゃんが幸せそうだからいいけど。実は前にもお金持ちのお坊ちゃんに目をつけられたことがあるのよ。悠里クンとは違って超おバカだったけど!ゆきちゃんって性格はちょっとずれてるけど見た目美少女でしょ?ちょっとストーカー近かったな。ゆきちゃんがキッパリ断ったら手のひら返してゆきちゃんに酷いこと言っちゃって!思い出すだけでも腹が立つよ!」


「酷いこと?」


「…愁子ちゃんには言っておくね。ゆきちゃんち母子家庭なんだけど、お父さんがスッゴイ借金お母さんに押し付けて蒸発しちゃって、その後別の女の人に刺されて死んじゃってるの。ゆきちゃんのことやっかむ人は大抵そのこと持ち出してきて。…ああ、悠里クンは知ってるのかな…。やっぱりそういうの知っちゃうと駄目かな?…ああ、心配になってきちゃった!」


「悠里はそんなこと気にする人じゃないし。大丈夫だよ。ユキってけっこう苦労してるんだね。」


「苦労って言うか…。頑張ってるよ、うん。昔から。うちの学校だって奨学金で学年トップだし。普段は「カラオケ」とかお金使うこともほとんどしないもん。私が強引に誘わないと遊ばないよ?」


「ふうん」


「ゆきちゃんはお母さんを守ることが一番大事なんだ。だからチャラチャラして見えないようにスカート丈気にしたり、成績落としたりしない。髪染めてない子も珍しいでしょ?前は髪だって三つ編みだったんだよ!良子ちゃんと私で説得したって!私たち高校生じゃん。もうちょっと遊んでいいと思うんだけどな。だから、愁子ちゃんも時々ゆきちゃん連れ出すの付き合ってよ。ま、今は悠里クンがいるけどね。」


「うん。」


…正直あのお気楽能天気娘がそんな事考えてたなんていままで思いもしなかった。


母親か…。


やっかいだな。人間界に執着しすぎて魔界に来なくなったら陛下は…。


お、恐ろしい…。


陛下が人間界と二重生活されているのにはきっと訳がある。

魔界が落ち着いた今、ただ欲しいものを手に入れるために行動しているとしか思えん。

ずっと今まで自分を殺して生きてこられた陛下が自分のために。


ユキ、お前は知ることになるだろう。あの冷たい顔の下に潜んでいた情熱を。


逃してくれはしないぞ。


覚悟しておくんだな。



St.ベイベー(番外編)は普通に恋愛ものになります。相手がユリウスなだけで。なんだか長くなりそうですがよろしくお願いします。

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