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ユリウス陛下の憂鬱

小話です。

**15禁ですので注意してください。

例の事件の後

特級療法士でもあるサモンにこんな事を言われた。


「3ヶ月はなりませんぞ。我慢してくださいよ。体が万全で無い上に心石はユキ様に有るのです。魔力が放出しすぎてユキ様を壊しかねませんよ?」


魔界では医療はすべて療法士が行う。飲み薬などと平行する場合がほとんどだが西洋医学のような手術はしない。もちろん魔力が強くなければ療法士にもなれないが。


そのときはベットからでられそうもなく、心配したユキがべったりと私に張り付いていたので「何を心配しているんだ」と鼻で笑っていたのだ。


…ベットから起き上がれるようになったときにユキが私にこんな事をいった。


「ユリウスはもう大丈夫だよね?そろそろ私、良子ちゃんのところへ帰りたいんだけど…」


「……。」


ユキが母親の事を大事に思っているのは知っているので顔を見せるくらいはもちろんさせてやりたい。しかし、この1ヶ月の間のぬくもりを手放すのは惜しい。


「ユキは帰りたいのか?」


私を残して。とはもちろん言わないが。


「え~っと。前みたいに人間界と往復してもいいかな?その、ユリウスと一緒に居たいし…。」


真っ赤な顔したユキが下を向いてモジモジという。その仕草は反則だ。


「なら、いい。」


そうは言ったものの、その日からユキは夜しか私のところへ来なくなった。

仕方ないので時間が空くとユキのところに行くことにした。いや、時間がないときは膝に召喚した。

そうでもしないとユキが捕まらないのだ。


「イモムーにエサあげなきゃ」


「アルダさんに呼ばれてて」


「サモンさんと虫の研究をね?」


「リラさんに服の寸法取るって言われて」


「クレオさんとお茶するの」


「銀髪くんが礼儀作法覚えろって」


「クワタンがお城の女の子ナンパして…」



etc、etc…。



「ユキ」は私のものだろう!と、もちろん叫べない。が、面白くないのだ。

だいたい獣王のところへ行けばウーゴもいるだろう!獣族あいつらは何度でも嫁に欲しいと思ったら決闘を申し込んでくるんだ。…ユキが本当の意味で私のものになってないのが臭いでわかっているのだろう。サモンも虫の研究と称してユキを離さないし、テレニアの面影を重ねているクレオに同情してお茶くらいはと許せばこうも頻繁に誘うとは…。しかもあのクワガタもなんとかユキの気を引こうとしている節がある。だいたい有翼族がこんなに長い間、使い魔になるなんて思っていなかったのだ。「誇り高い自由人は自らの死をもって他人に従うことはない」…はずではなかったのか?今じゃユキにべったりだ。始末するとユキが泣くだろうから目障りでもコップに閉じこめるしかしていないのだ。


ふとユキに初めてプレゼントされたピンクの棒を見る。

ユキはこれが猫じゃらしだと思っている。獣族は性に奔放なのだ。ユキがおもちゃ屋だと思っている露天は正確には「大人」のおもちゃ屋なのだ。私(正確には黒豹に、だったが)が貰った相手ではなかったら即ベットで使用されていただろう……。




いや、貰ったものは使わなくては…。




さっそく、ユキの部屋を訪れ、アルダのところへ変身して行こうと誘う。もちろんクワガタは脅してある。何も知らないユキは嬉々としてクワガタに自分の血を与えた。


「クワタン!しゃべりからと服装はらめっていってるにゃ!」


…。獣族の間でラッキーアイテムとしてこの姿がブロマイドで高額取引されていたのもうなずける。もちろんもう回収したが。


「姫さん、許せ!」


手はず通りにイモムーの壺をもってクワガタが退散した。…。これで邪魔者もいない。


「ユ、ユリウス。なんら、目が据わってますにゃ…。」


ユキの前にピンクの棒を差し出す。


「ユキ…。これの使い方を教えてやろう。」


「わらしは猫らないにゃ…。ん…」


口づけしながら剥き出しになっているしっぽを付け根から扱いてやる。


「え!? いや、あ、きゃう!」


…あのクワガタ、いい仕事をする。途端に腰砕けとなったユキをベットに放り込み、上から組み敷いた。潤んだ目に欲望の色がちらちら見え隠れしている。


ユキの口内を侵しながら短いシャツをたくし上げるともうツンと尖った胸の頂きが現われる。


そうだ。もっと私を欲しがれ、ユキ…。


やわやわと胸の形を変えてやりながら掠めるように時折その先端にふれる。


「ん、んんっ。ユリウス…、ど、どうしらの?」


まだ余裕があるようだな…。

肌が上気し、物欲しそうに誘っている桜色のそれを口に含む。舌でころがし、強めにすってやる。


「ああん!ちょ、あっ、あっ…」


背中にまわしているユキの手に力が入る。コントロールできないのか無意識に爪を立てている。


「ん、ん~っ」


恥ずかしいのかユキが声を抑えようと必死だ。


「もっとかわいい声を出せ。」


耳元でそう言ってやりながら息を吹きかけてやる。猫耳も感度が良好のようだ…クワガタめ!


「はあん!」


息を吸い込むようにユキの体が跳ねる。短いホットパンツに手を差し入れて下着をずらそうとしたとき…



……我慢ですぞ…陛下……



頭の中でサモンの声が響いた…






私が性的興奮すると発動するように術をかけたな……。


ああ、


ちくしょう!



その後

理性を総動員しなくてはならなかった私を「どこか痛くなったにゃ?無理しちゃらめ!」とユキが叱った。


あと、2ヶ月…。


長寿の魔族にとってたいした時間で無いはずなのに


今の私には遙か遠い彼方に感じられた。







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