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君よ君のままで3

ジリルは血相を変えてやってきたクレオさんが部下に指示を出して運ばれていった。

…後から聞けば火葬されたらしい。

黒魔術とジリルの知識により生成されていた結界石も燃やされ、丁寧に埋葬された。今では「かえらずの石」も「呼び寄せの石」も無い中央の城を5つ目の結界石が以前のように守っている。


アルダさんにお礼を言われて中央のユリウスの城に戻り、私はユリウスが回復するまでの1ヶ月ほどユリウスのそばを離れなかった。歩き回れるようになってお役ご免とおもいきや、ユリウスの強制膝召喚がまたはじまり、暇を見つけては私の部屋を訪れる。


当然のように今日も…


「あの時は自分からしたではないか。」


「あれは…非常事態だって銀髪クンが…。って、狸寝入りしてたの!?」


にやりと笑うユリウス。


「ユキ…。私の名を呼べ」


ああ、もう。その瞳、吸い込まれそうです。


「ユリウス…。」


あれからというもの名前を呼ぶと、大人のキスがやってくるようになってしまった。

ほんとにこの行為がまだ必要かは眉唾ものだけど今更断る理由もないし…。



トン、トン。


ぷはっ


「だ、誰か来ましたよ!?」


「放っておけ。」


「ん、ん~っ!!!ダメです!ちょっと、まって!ね?ね?」


続行しそうなユリウスを退けると名残惜しそうに見つめられる。うう。ダメったらダメ!

最近なんだか表情豊かになってますよ!最初に会ったときは能面みたいだったのに!


ユリウスに捕まらないようドアを開けると銀髪クンが立っていた。


「あ、陛下。…お邪魔でしたか。」


「邪魔だな…。」


「ちょっとだけユキに話が…。」


銀髪クンが頬染めて何用ですか?ユリウスの視線を気にしながら小声で話す銀髪クン…


「あの、あのな…。」


そういえば森からの帰りも呼び止めてたっけ。


「イモムーさんって友達なんだよな?…しょ、紹介してくれないか?」


「……は?」


イモムーさんて、あのイモムーだよね…。


「紹介も何も知ってるじゃないですか?」


「あの時は出口まで案内してもらっただけだし!まあ、その、お礼も兼ねてだな!食事でも誘おうかと!」


「……。」


まさか…

思わず後ろを振り返ってユリウスを見てしまった。話を聞いていただろうユリウスもあきれ顔だ。


「彼女は夫を(頭から食べて)亡くしたところなんです。それに子供も…。だからそっとしておいてあげて下さい。」


「……そうか。ならば贈り物でも…。」


「えっと…花なら大好きですよ!(好物ですからね!)」


「では、早速。じゃあな、ユキ。」



バタン…


なんか、スキップして行っちゃいましたけど。



「なんですかね?アレは…。」


「シュウは真性のナルシストだからな。」


だから今まで彼女の一人もいなかったのか…。


はあ、いっそのことイモムーに頭から食われてしまえ!


あの後、クレオさんに話を聞きつけたサモンさんがイモムーを是非研究されてくれと頼み込んできて時々研究室に行ってる。銀髪クンは知らないのかな?いや、きっとみんなで楽しんでるに違いない…。


「ユキ…。そろそろ心石を返してくれないか?」


後ろから抱きしめられて耳元でささやかれる。

……。心石をユリウスに返すにはユリウスと一つにならないといけないそうです。


まあ、要するに…。


そんなもの飲ませないでくれ!


命を狙われるときに魔王だけが使う秘伝らしいですけど心石は…。


「その、ユリウスは心石を返して欲しいだけでしょ?」


「…そう思うのか?」


思いたくないから渋ってるんですよ!

ああ、でた!ユリウスの余裕の微笑み!


「返さなくてもいいぞ。ただし、お前の心が手に入れば、だ。」


「……。ずっと言えなかったんですけど。」


「なんだ?」


「大好きですよ!」


「ははははは!」


「何で笑うんですか!告白したのにぃ!」


「何、どうして自分がこんなに嬉しいのか考えたら笑うしかないだろう?」


「……。」


「ユキ、お前は私のものだろう?」


「ユリウスも私のものなの?」


「その答えが私の心臓だ。ユキ…名前を呼んでくれ。」


「ユリウス。」


途端にに目の前が暗くなる。


ずるいんだから!


…いつかあなたに「好き」って言わせてみたいな。



それまでは

         

   勝手に召しませ!




    ~FIN~



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