クワタン大活躍
牢獄の檻の外に出たクワタンに血を与えて鳥の姿にした。
「クワタン、クレオさんにちゃんと状況伝えてね。例のものも用意するようにって。」
「わかったよ。姫さん、命だいじにしてくれよ?」
「わかってますよ。クワタンの命も預かってるんですから大切にします。」
拳で胸を叩いてクワタンにアピールです。エッヘン。
「……だから、ここがクワタンの帰る場所ですからね?」
「姫さん。それは殺し文句って言うんだぜ。まったくかなわねぇな…。」
そういうとクワタンは飛んでいった。
頼むよ、クワタン!
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「あいつ帰ってくるのか?有翼族だぞ?人を騙すために生きてる奴を信用できるのか?」
眉を顰めた愁子ちゃんが言う。
…不安になるようなこと言わないでください。
「大丈夫ですよ…。」
多分。メイビー…。
いやいや、きっと…。
「そ、それより私は見つかったらアウトですよね?何か隠れる方法は…。あ、そうだ!魔法で私をねずみに変えてくれませんか?」
「…変身魔法は有翼族しかできん。有翼族にしたって性別変えたりはできんしな。この姿でさえサモンに頼んでやっとだぞ。陛下が万全でも黒豹姿でめいっぱいだろう。」
…クワタンってなにげにスゴかったんだ。じゃあ愁子ちゃんは愁男くんの女装だったのか。
「う~ん。じゃあ、誰か来たら忍者みたいに隠れ身の術つかって壁でも作ってくれます?」
「…ニンジャ?まあ、壁はつくれるな。」
クワタンが帰ってくるまで時間稼ぎしなきゃ。せめてユリウスが動けるまで回復できたらいいんだけど。
「おい、お前、口づけしろ!」
はあ?
「イヤです!」
悪いけどクワタンと交尾するくらいイヤですよ!
「即答したな!このバカ!私にではない!陛下に、だ!」
またバカって言った!…に、しては傷ついた顔してますがね。フンッ!
「え、ここで?愁子ちゃんいるのに?」
「非常事態だ。少しでも陛下が回復されねばならん。」
「……あっち向いててくださいよ。」
出歯亀は良子ちゃんだけでお腹いっぱいです!背中をむけた愁子ちゃんを確認して膝に頭を乗せているユリウスを見下ろす。
…ゴクッ
自分からするのって緊張するな…。
ええい!ままよ!
ユリウスの冷たいその唇に自分のを重ねる。
え、と…このまま?
いったん離した方がいいのかと思ったら後頭部を押さえられてしまった。
ユ、ユリウス?起きたの?
見ると漆黒の瞳と視線がぶつかった。ユリウスが微かに笑う。
口づけは深くなりユリウスの舌が私の歯列をなぞる。
「ふあっ…」
空気欲しさに開いた唇からさらに口内へと侵入したそれは答えを求めるように私の舌に絡められる。
ん、んん~!いくらなんでも息ができません!!
ゼイゼイと空気を肺に送り込んだかと思えば容赦なくまた貪るように口内が侵されていく。
後頭部を掴んだままいつの間にやら壁に押さえつけられての猛烈な応酬に若葉マークの私が抗える訳がない。肩でやっと息をしながら頬から耳まで上気していくのが自分でもわかった。
舌が熱い…。
…キスって…気持ちいいんだ…。
促されるように舌の先をちょんちょんと触れられる。おずおずと私が舌で答えると私の舌を追いかけるように這わせてくる。時折舌を吸われ、どちらのものとも言えない混ざり合った唾液をユリウスが嚥下する。
ピチャピチャと水音が部屋に響き始め、私はユリウスとのキスに夢中になっていた…
…
…
え、と。
虚ろな目でユリウスの肩越しに見えたのは呆けた顔でこちらをガン見している愁子ちゃんで…。
〇%$#&#&$%$#〇%&#~~!!!!
み、見ないって言ったのにぃ!!
私の様子に気付いたユリウスがゆっくりと離れていった。私の唇とつながる銀色の糸が艶かしく光る。
なんか、すっごくいやらしいです…。ハアハア。
当たり前のようにユリウスがその指で私の唇をなぞる。
「ユデダコだな。」
ええ、タコですとも!
そう言ったユリウスの顔をやっと安心して見れた。
え~。スイマセン。キスさせたかったんです(笑)




