嵐の放課後(後編)
「う~~ん。眼福 (ハート)」
ひとしきり美形を堪能したらしい未来ちゃんが
机の下でブルブルふるえる私を見た…
「ゆきちゃん…もしかして、あの人が昨日の美形???」
ガクガクと頭がはずれそうな勢いで私が首を縦に振る。
気付いてくれた?さすが、親友の鏡!!
ここはやはり、裏門から逃げるべきですよね?
さっそく、回れ右で…
ガタッ
横っ腹をつかまれて机の下から引き出される私…
み、未来ちゃん??
ポイッって校門の方向に私を投げないで下さい!
いくら身長175センチの未来ちゃんには148センチの私はこびと族かもしれないけどあんまりですう!!!!
「いってこい!」
さわやか過ぎる笑顔に黒いもの感じます。もちろん行きませんよ!
「さんざん、私にお説教したじゃないですかぁああ!!!!変な人についてっちゃ駄目だって!!」
未来ちゃんの足にしがみついて、ここは抗議です。ゆきは負けませんよ!!
「美形だからって許されていいんですか?未来ちゃんはそんなひとじゃありません~~!!!」
「だって、ゆきちゃんが言う美形って、絶対変な人だと思ったもん。帝都星城高だよ???偏差値80以上だよ??将来社長が最も多い有望男子の学校だよ?それなのにあんなに美形なんだよ?普通じゃありえないよ!!!遊ばれたとしても、いっとけ!!」
いくら私の好みが温水〇一さんだからって一般的な美意識は持ち合わせているわい!!ひどいよ、未来ちゃん! 親友の鏡、割ってやるぅぅう!!
あ、やめて!こんな合体ロボみたいな格好のまま連れて行かないで下さい!!
うえ~~ん。
気を利かせてカバンとって行かなくっていいから!!
せめて、せめて、ご一緒に…!!
ぜったい未来ちゃんの足離してやらないんだから!!!
…校門まで連れて行かれた私は…
「あたし、部活あるから。」
…あっさり校門で未来ちゃんに下ろされてしまった。
非力すぎるぅうう。ゆきのバカ、バカ!
たっぷり美男子を間近で堪能した未来ちゃんは私にウインクして、
「困ったことがあれば相談に乗ります(ハート)」
と美形さんに携帯電話の番号を渡して行ってしまった…ちゃっかりものめ!
「ユキ…」
なんなんだろう。この人。確かに昨日「呼ぶ」って言ってたけど。学校まで来るなんて聞いてないよ。
こんな目立つことして…。
取り合えず話をして帰ってもらおっと。美形は遠くで見ているにかぎる。
「あ、の。」
「色気の無いパンツが丸見えだ。」
!!!!!!
ムキっぃいい!!!!!!
私がスカートの端を必死に下へ引き下げた隙に…
荷物のごとく彼に抱えられて私は学校を後にした…。
黄色の声援が後ろで聞こえてきて
振り返る勇気は
…もちろんなかった。
次回からいよいよ ゆきちゃんが魔界に誘拐されます。