作戦会議
ジリルという人の城の鍵を開けるというのは結界を解く方法のようで、禁猟区(私がウーゴさんとぶつかったところ)の奥にある門を開錠すればいいのだそうだ。
思ったよりも簡単そうで良かった。
ジリルさんって確かユリウスのお兄さんだったかな…。
…考えない、考えない!
とりあえず私はウーゴさんと昼食を取りながら作戦会議となった。
クワタンはふてくされてテーブルの角でそっぽ向いている。
「クワタン、することないんだったらイモムーとって来て下さい!」
「…っなんで俺が…!」
「ご飯、あげませんよ?」
嫌々ながらも飛んでいくところを見ると一応私が主人のようです。
取り合えずは獣族の人に人間とばれないように猫の姿はそのままに手としゃべり方だけは戻させた。
「俺の傑作が…」とかなんとか言ってたけど、ウーゴさんに簡単なジャケットも貰ったしこれで我慢しよう。
「ウーゴさん、さっきアルダさんが言ってた「不吉の子」ってなんですか?」
クワタンの姿が見えなくなってからちょっと聞いてみる。なんだかクワタンには聞きにくそうだったから。
「ああ、有翼・族は魔法族と獣・族の間に出来る突・然変異で、その子供はすごい魔・力を持って生まれるんだが母親の精をす・べて吸ってしまうんだ。だから、当然母・親が死ぬ。」
…それで不吉の子なんだ。
「そうして生ま・れた子は有翼族が引き取って育・てるらしい。魔界でもめったにな・い話だが…女王が嫌う・のは一人娘がそ・の為に死んだからだ。」
…有翼族は生まれたときから孤独なんだ。
クワタンのせいじゃないのに。
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「俺は行かね~からな!」
鍵を開けた後、ウーゴさんたちがすぐに城に入り、私の身柄を獣族でも腕が立つ戦士が確保してくれるらしい…が、いじけ虫クワタンは来てくれないらしい。
「ふん、俺は姫さんが生きてさえいたら腕が取れてようが、足が無かろうがかまわないんだよ!」
「…薄情ですねえ。ご主人様が危険だというのに。」
「俺はそういう生き物なんだよ!」
「迎えに来てくれたら、ちょっとだけ人型に戻してあげてもいいですよ?相手の同意があればデートも許します。…つぶらな瞳のもち肌巨乳ですよ?人質さんは。」
「え…。」
知っていますよ?クワタンは無類の乳好きなはずです。
私は自分の手で大きく巨乳を空に描いた。
「ばくにゅう…。」
「 …ま、いいだろう。」
なんだかクワタンの扱いに慣れてきたかもです。
決行は数日後。用意が出来次第。それまでウーゴさんに用意してもらった部屋で寝泊りすることに。
ふ~っ。
今日も盛りだくさんの一日でした…
野宿覚悟だった私はベットにダイブ。
今までの姫ベットほどじゃないけれどいいベットだ、うん。
でも
夜は嫌い…
どうしたって思い出してしまう。
私が逃げてユリウスは怒っているのかな。それともせいせいしたって?
いっそ、憎まれてる方が私のこと想ってくれるのかな。
どっちみち普通に恋愛できるような相手じゃない。
子供を生むだけの存在だったかもしれない。
私は殺されるわけにはいかない。
良子ちゃんを残して死ねない。
ああ、私はどうしちゃったっていうんだろう。
ユリウスのことばかり考えて…
「泣かないで」
え…
柔らかな指が頬に伝っていた涙を優しくぬぐってくれる…
目の前には光り輝く美しい銀色の長い髪…その美しい顔。
私は息をするのを忘れるくらい驚いた。
だって、
だって!
目の前には銀髪クンが!!!!