獣たちの森2
北の森は獣族が住まう森
あちこちで鳥のような、サルのような何かの鳴き声がする。
あんまり食欲はなかったが、食べ物を探した方がいいとクワタンが言うので洞窟の外に出ることにした。
「いいか、姫さん、ユリウスの名前を口に出すなよ?こないだみたいに一発でバレるからな!それと、ここで人間だとバレ無いように術をかけるから少し、血をくれ。」
クワタンに血を与えると私の身体は光に包まれた。
フワフワして…
なんだかホワホワする
ピョコン
ん?
あれれ?
ぷにぷに…
手、手が…にゃンコの手になった!!肉球ついてるし!
ちょっと待て…耳が…頭の上に!!おしりに揺れているのは…しっぽ…。
こ、これは…
「喜べ!子猫ちゃん、萌え萌えバージョン!俺の傑作だ!」
手足はひじや膝のところから猫の手になっていてばっちり肉球がついている。
黒い毛皮のチビTシャツは胸の谷間が見えるハートのくりぬきがあり、丈も短い。
こ、こんな胸を強調するような!へそ出てるし!毛皮のホットパンツはギャルスカートより際どいわ!
「こんにょう!エロクワガタ!!!」
!?
「しゃ、しゃべり方がへんにゃのら!」
「オプションでしゃべり方も萌えにしといたぞ!」
あ、あほか~~!!!!!
「う、わっわ、やめろ!猫ぱんち、すな!」
…傍から見れば猫娘がムシをとっているところに見えただろう。
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獣族の市場があるというのでクワタンの案内で獣道を歩く。
「この格好、ホントに変らないんでしょうにぇ?」
自分でしゃべってて…ああ、頭痛い…
「任せときなって!姫さんすんげえ似合ってるぜ!俺、自分でやっといてなんだけどマジでいい。いっぱつお願いしたいくらい!なあ、ちょっとで良いから胸んとこで俺を挟んでくんない?
あ、うそ、うそだって、猫パンチ、あたるって!」
クワタンがエロ担当だったとは知りませんでしたよ!
バカクワガタ!!
そうこうしてる内に人の気配となにやら良い匂いがしてきた。
お、お祭りみたい!
背高い草がなくなったかと思うと平坦な広場のようなところに出て、簡単なテント作りのお店がずらりと並んでいた。もくもくと良い匂いの煙のでている店もあれば、装飾品を売っている店、オモチャの店もある。匂いに誘われて私のお腹の虫も騒ぎ出した。
失恋して殺されかけててもお腹って減るんだなあ。ぼんやり考えてしまう。
「クワタン、私お金持ってにゃいよ?」
「俺の住処売れば当面困らないぜ。」
成金壷も役に立つもんだな。
クワタンに教えられたとおりに壷を売ると沢山のコインになった。
「ありがとうごらいますにゃ。」
店の人は赤面するとお饅頭を2個おまけしてくれて、もたもた(猫の手がうまく使えない)しているのを見かねてお金をこれまたサービスだといって皮袋に入れてくれた。
親切なひとだ。この人は鱗があるからイグアナ?やもり?
獣族という名に相応しくここにいる人々は何かしら動物が混じっているような風貌だった。
…しかし服装は庶民って感じで、こんなに露出高いの私ぐらい。逃げてるのに目立つよ!ムゥ~!
露店の影でお饅頭をほうばる。猫手はとっても不便でお饅頭を両手で挟むのがやっとだ。
モグモグ。おいしいな、これ。
「…これ食べないか?」
座り込んでた私の頭上から野太い声が聞こえた。
見上げると野性味溢れるっていうか、そのものっていうか半身が狼っぽい人がピンクの果物を差し出していた。
「おい、その果物受け取ったら駄目だぞ!獣族にとっちゃ求愛行動だからな!」
小声でクワタンが言う。きゅ、求愛!?
「受け取ったら最後、孕むまで離してもらえないぜ。」
は…恐ろしいこと言うな!!!っていうか、なぜか私の前にはピンクの果物持った人たちの行列が出来てるのですが…。
「さすが、俺!姫さんモテモテだな!」
お、お前のせいか!
ばか、ばか、ばか~~~~!!!!!
目の前の人に一礼してから、とにかく逃げる!逃げるしかないだろう!
わけもわからず走った。
猫手は使いにくいが、足の身体能力の上がりっぷりはクワタンを褒めてあげてもいいくらい。
ひとやま超えてもいいくらいの爽快感!走るの気持ちい~~!!
「おい、そっちは駄目だ!」
クワタンの声で急に後ろに気をとられた私は目の前にあったものに勢いよくぶつかった。
ボスッ
後ろに飛ばされた形になったはずなのに重心を意識するだけで立っている状態に戻れた。
おっ、転ばないぞ!す、すごい!!!!
猫姿万歳!!
と、思った途端に腕を摑まれた。
「え…。」
筋肉隆々の浅黒い大男。
赤茶に近い金髪の髪は…
ターザン?????
明日から少し忙しいので次の更新は少し空きます。
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