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クレオの娘



唇の感触は艶かしく…

私の体の奥に得体の知れない熱が生まれたような気がした…





「また、後でな。ユキ…。」



放心する私から離れると女子高に堂々と入ってきてしまったユリウスは(ばれたら退学ものだというのに)これまた悠々と正門から出て行ってしまった。きっとバレても魔法でどうにかしてしまうに違いない…。




その後、帰ってくるのが遅いと探しに来てくれた未来ちゃんは過激な(ワカメ)ダイエットで愁子ちゃんが倒れたと思い込み、愁子ちゃんを保健室までおぶって行ってくれた。



「言ってくれたら良かったのに…。心配して購買部でパン買おうとしたんだね。ゆきちゃんたら…。」



良いように勘違いしてくれて有難う未来ちゃん。恩を仇で返す様だけど、さっきから文芸部の皆さんが未来王子が愁子姫をおんぶしているところガン見してます。多分腐女子の皆さんのユリ漫画は来週あたりにゆきも交えて3角関係に発展することでしょう。ハア。




…しかし、鳥人間の乱入に、ユリウスの出現。


私のファーストキッス…は




今は考えないとしよう…。


どうも人間界に帰って来ました!ヤッター!で済んでないような…。てっきり愁子ちゃんは私の見張りなんだと思っていたけど、言葉のまま護衛だとしたら?…カナリ現実逃避してきたけど、ややこしいことに完全に巻き込まれているような…。


取り合えず良子ちゃんにまで被害が及んではいけないので状況を把握しとこう。




…やたら唇の感触を気にしてしまってる私は午後の授業はまるっきり頭に入ってこなかった。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






真っ直ぐ帰った私は魔界の王の間にいた。



「…説明して欲しいんです。私はもしや危ない立場なのでは?」



そう切り出すとそこにいたクレオさんがユリウスを見た。銀髪クンはしばらく起き上がれないそうだ。クレオさんの眼差しにユリウスが無言で頷くとクレオさんが話し出した。


「その質問の答えはイエスです。ユキ様。少し長くなりますが…。」


「構いません。」


きっぱり言うとユリウスが席を立った。


「私は執務がある。クレオ、頼む」


「畏まりました。陛下。」


ユリウスは私に流し目して部屋を出て行ってしまった。ああ、ドキドキする。心臓に悪い…。色男め!


あの、唇が…


あぅ~。それどころじゃないのにぃ!




…話は部屋を移動してお茶しながら聞くことになった。

クレオさんの部屋はいかにも軍人さんといった風情で簡素。これっぽっちも乙女要素はない。


「ユリウス様が人間界に転生されたのは知っておられますね?」


「あ、はい。石のおかげで帰ってこれたって。その石が私に入っちゃてるんですよね?」


「そうです。私たち魔界の者も元は人間界に住んでいたといわれます。その能力や異形の姿などで迫害を受け、果ては見つけ出されて殺害されたものも少なくありません。先人たちは時の狭間に逃げ込み、その能力が生かせるこの地で生きることを選んだのです。」


「魔女裁判とか…?」


軽く目を細めた後クレオさんが頷いた。


「人は超越した能力に畏怖を抱くものなのです。


 魔族は大きく分けて3つの種族に分かれます。


ユリウス様を頂点とする魔法族。

人間と獣の間に生まれたとされる獣族。

ユキ様が先程会ったフォルスが属する有翼族。


魔法族と獣族は人間界に行くことを好みません。魔界で住むうちに私たちは人間界ではその能力が使えなくなり、魔界なれば魔力の限り続く命も若さも失われるからです。しかし、有翼族は人の精を糧に生き、人間界でもその能力を保つことが出来ます。」


「それって純潔がどうのって言うのに関係あるの?」


「有翼族は狡猾な個人主義です。人の心の隙間につけこみ、望みの対価を求めます。大抵は性行為によって精を得るようですが、女性の純潔が一番能力を発揮できるといわれています。」


…ヘンタイの処女好きかと思ってた。あながち間違っちゃいないけど。


「魔界は魔法族が取り仕切っているといって過言ではありません。能力はあっても有翼族はごく少数で群れるのが嫌いです。また、獣族は単純で本能で生きているものがほとんどなのです。


さて、こうなると魔界での勢力争いは魔法族の間で起こります。ユリウス陛下がお生まれになった時その魔力にその場にいたものがひれ伏したといいます。それほどの絶対的魔力をユリウス様は持っておられたのです。当然力の強いものが治める魔界ではユリウス様が次期魔王であることを指し示していました。そこで面白くないのは陛下の腹違いの兄ジリル殿下です。彼はユリウス様さえいなければ魔王になれたのですから。」


「じゃあ、ジリルって人がユリウスを人間界に飛ばしたの?」


「…ユリウス陛下を人間界に飛ばしたのは私の娘テレ二アなのです。」


「へっ??」


「テレニアはユリウス様と結ばれたかったのです。あなたのお立場になりたかったのですよ。ユキ様。」


そこにはまるで私を娘のようにみる眼差しがあった。

どうして娘の恋敵をそんなに優しい目でみるのだろう…。



「テレ二アは幼少の頃から城に出入りしていたんです。まあ、私にくっついて、ですが。目的はユリウス様で。まあ、そうとうお熱を上げていました。お恥ずかしながら歳をとってからの子どもだったので少々…いや、かなり甘やかしすぎましてね。ユリウス様に対する恋心も雲の上の人だと何度いい聞かせても募る一方だったのです。」


「そんなに好きなら…。」


言って私は黙った…人の恋路に関わると馬に蹴られて死んでしまう。


「どんなに好きでも、后にはなれないのです。魔力の強いもの同士では子ができません。テレ二アは自分の気持ちが受け入れられないのはそれが原因だと思ったのでしょう。子が出来ずとも寄り添うものも少なくないというのに。」


「 え…。」


じゃあ、私は?


「ユリウス様くらいになりますと魔力が無い人間としか無理でしょうな。」


あ~あ~あ~あ~

耳をふさいで言ってみた。キコエナイ。キコエナイ。聞いちゃいけなかった…。

取り合えず話を戻そう。


「それでどうしてユリウスを人間界に?」


「人間界に転生すれば夫婦になれると思ったのでしょう。」


…なんだか無理心中みたいだ。


「他の者のことなど何も考えていない、浅はかな娘です。」


クレオさんの声が少し震えた。娘のことが愛しい父親の顔をしている。



…少しテレ二アさんが羨ましくなった。



表向きはテレ二アさんの恋心の暴走。状況はジリルって人の思惑通りってことかな。

私が狙われるとしたらジリルって人にだよねえ。


ああ、はやくユリウスの魔力が戻んないかな…


いつのまにか漏れてしまった私の声を聞いて





「ユリウス様とたくさん愛を交わせば早く戻りますよ。」





と笑顔でクレオさんに言われた。






未成年に暖かく推奨しないでください!!!















知らぬ間にお気に入り増えてました!感激!

有難うございます。

最近寒くて体調があんまり…。

でも、がんばりますよ~~。

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