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魔王が家にやってきた

灰上愁子はいがみしゅうこではどうでしょうか。」

魔王様は銀髪クンの人間界での命名権を私に委ねた。


なんか、ちょっと前の歌のお姉さんみたいな名前だな…。自分でつけといてなんだけど。


「いいな、シュウ。そう、ふてくされるな。その姿でもお前は美しい。」


その言葉に銀髪クンもとい愁子ちゃんが顔を赤らめた。

その姿、見た目はかなり萌え萌えなんだけどね。


愁子ちゃんは明日私のクラスに転校してくる手はずだ。

魔力で適当に人の記憶を操作したりして魔界の人が人間界に馴染むのってお手のものなんだなぁ。なんだかスパイ映画みたい。いや、実際はファンタジーなんだけどもさ。


「ユキの部屋にも(魔界への)扉をつける。いくぞ。」


はあ。さいですか。



え、うちに!?


こんな超美形たちを連れて帰ったら良子ちゃんの顎が外れないかな!


「シュウはこなくていい。」


「え、愁子ちゃんこないの!?」




「…しゅうこちゃんってイウナ…。」




コワッ。銀髪クン壊れ気味…。


魔王様ひとり連れて家に帰るとますます良子ちゃんに有らぬ誤解を生みそうな…。


「ああ、ユキには教えてなかったな。「俺」の名前は藤代悠里ふじしろゆうりという。藤代本家の 末っ子で産まれている。」


「藤代」…。まさかあの自動車メーカー世界のFUJISIROですか!?

…さすが帝都星城高校。育ち良さそうだもんね。魔王様だけに。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





「よ・し・こ ちゃ~ん。ゆきが帰りましたよ!」



翻訳作家の良子ちゃんは大抵家にいる。生活費のためにエロから古典文学まで幅広く仕事しまくり。




「おやつの用意しないとお仕置きしちゃうぞ?」




両指でハートマークを作ったドテラにスウェット姿、頭ボサボサの良子ちゃんが出てきた。

どうやら海外オタクさんたちのための漫画翻訳の仕事が煮詰まっているらしい。






暫し沈黙。


やっと我に返ったように良子ちゃんは超分厚いレンズ越しに見ていたらしい私の後ろの魔王様を指差した。いつも思うけどあの眼鏡かけると良子ちゃんの大きな目がちっちゃくなる。



「ゆきちゃん…。だれ?」


「あ、このひとは…」


魔界の魔王様です。とはいえないし…


「初めまして、ゆきさんとお付き合いさせていただいてます、藤代悠里です。」


ユリウスが私の言葉をさえぎるように言う。

確かにお付き合いだけどもさ?これって彼氏ってことになるんじゃないのか?

私が首をひねって考えていると



「10分待たれい」



そういって良子ちゃんが部屋に戻っていった。



バタン、ガラガラ。ボフッ、ガシャン…



な、何がおこなわれているのだ!?


10分立たずに再度出てきた良子ちゃんは出版社パーティに着ていく一張羅のスーツを着ていた。

ばっちり化粧してコンタクト。髪もセットしている。


…クリーニングのタグ付いてるけどね。


「ゆきの母です。よろしく!うちの娘、ポイ捨て禁止だからね!ヤルときはちゃんと避妊して!」


いいたいこと言って良子ちゃんはユリウスもとい悠里クンと握手。

なんか、怖いことさらっと言ってませんでした?


良子ちゃん、握手がながいよ!両手で挟みこんでるし!

完全目がいっちゃってる…


はあ。先が思いやられる。


「良子ちゃん、悠里君を部屋に連れてくよ?」


私の声にうっとり美形を拝んでいた良子ちゃんが我に返ったらしい。


「部屋って、ゆきの?」


「うん」


「…明日にしたら?」


なんで!?


「変なことしないよ!」


「そうじゃなくって…むしろそれはしてくれてもいいし、録音して…じゃなくて。その…。」


良子ちゃんがチラッと悠里クンをみる。


「ほら!掃除機かけてないから埃っぽいかも!?」


失礼ですね!これでもゆきはキレイ好きですよ!


うろたえる良子ちゃんを背に私の部屋へと向かう。祖母が残した当時は珍しかっただろう輸入建築2階建ての家は階段がギシギシいう。古いけどいい味出してて私は気に入ってる。


「まあ、狭いでしょうがどうぞ。」


「すぐ広くなる」


訳のわからないこと言って悠里クンは部屋を見渡す。


「これは…」


あれ、魔王様は興味おありか?

ずらっとならぶ40ほどの瓶と飼育ボックス。私の部屋の一角を占領する宝物たち。


「王者ギラファの幼虫です。ふふ。そっちはオオクワガタ。ニジイロ君もいますよ?」


私のザ、菌糸ビンシリーズ(クワガタムシの幼虫を入れて育てている瓶)に魔王様の目が

釘付けだ。未来ちゃんなんかは見るのも嫌そうにするからなんだかうれしい。


「こっちは2年目になるコクワガタのビリー(名前)おじいちゃんです。」


ふんふんと頷きながら魔王様は私が育てている幼虫の瓶を下から覗いたりしている。

おお、意外に気が合うではないですか!


はっとして瓶を棚に戻すとドアの方を見る魔王様。



まさか…。


いきなりドア開けるとコップ片手にかがんでいる良子ちゃん…


「あ~。お茶入れてこようか?」


盗聴しないでください!


も~~~~!!!




…あの調子では明日にでも部屋の中に盗聴器をつけられても不思議がないので

部屋から音が漏れない魔法を悠里クンにかけてもらった。ベット脇に魔鏡をおくとそこから魔界のユリウスの部屋につながるという。



あのう。


やっぱり一緒にねるんでしょうか?



はぁ。







最近ユリウスの出番が少なかったような…。

ゆきちゃんが言ってるのは「はいだしょうこ」お姉さんです。

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