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勝者の思惑3


なんだ!?あれは!!!


先程主人の部屋に心石を届けたシュウ=レイシアスは足早にサモンが待つ研究室へと急いだ。


今見たのは何だ?あれが珍獣ユキか?

匂い立ちそうな肌を惜しげもなくさらし、瞳を潤ませて…

あんな姿をいったいどうやって想像できるというのだ!?


ちんくしゃのくせに!


トラブルメーカーのくせに!


変態のくせに!




陛下は今宵ユキを抱くのだろうか…。


睫毛を濡らし、男の腕に抱かれながら見上げていた…女…。


ふと、考えそうになって頭をふった…。

私には関係ない。関係ない。むしろ、陛下の魔力が早く戻るのだから気にするんじゃない!


あれに関わるといつだって悪いことが起きるんだ!


私に災いを運んでくるんだ!


その考えを振り切るようにもう一度頭を振ると、重い翡翠色のドアを開けた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





「レイシアス様か…?」


薄明かりの中にいた老人はこちらに目を向けて問うた。


「サモン、首尾はどうだ?」


「結界石は明日の朝には戻せましょう。」


「人間界への通路はどうなった?」


「そちらは陛下の仰せのままに。心石はもう飲ませたのか?」


「陛下のことだ、抜かりないだろう。」


陛下は明日、ユキを連れて人間界に行く。ユキを片時も離さない…のには無理があるので「心石」を身体に沈め、陛下の一部とする。あんな珍獣さっさと「呼び寄せの石」を取り出して殺してしまいたいが人間いれものが変わるだけでは意味も無い。


目的は陛下が人間界に転生することになった原因を作ったテレニアの処分。魔界の魔王となるものにキバを剥くと言うことはどういうことかテレ二アはその身をもって知ることとなるだろう。魔王を愛し、愛おしさゆえに転生し、結ばれようとした哀れな娘。

 テレニアが使ったとされる「かえらずの石」は本来厳重に管理されていて魔界にひとつしかない。今ここにあるのだ。では、テレニアが使ったものはなにか。頭の悪いジリル殿下が指図したには出来すぎている。裏で手を引くものがいるはずだ。


…ここにきて

厄介なのはユキの部屋に侵入したという孤高の一族トノモス。中立、事なかれ主義のやつら有翼族が動くのはなぜか…。




「ふふっ」



…とにかく、あのトラブルメーカーが魔界から居なくなることが喜ばしいではないか。

思わず顔がにやけてしまう。




「レイシアス様、そろそろ人間界へ行く準備をはじめなくては…」


「 …。」


「16歳の女に化けるには少々時間がかかりますぞ?」


「はぁ?」


「準備はしておりますゆえ。」


「な、何の話だ?サモン…。」


「はて?陛下から人間界でユキ様をお守りするようレイシアス様に術をかけるようにと…。」


「ちょっと待て。私は魔界ここに残らなくてはならんだろう?」


「心配されますな。人間界への道をこちらからつければ行き来は城内と同じです。それに、陛下以外に向こうで強力な魔力を使えるものはレイシアス様くらいでしょう。」


テーブルの上にはユキが人間界から来た時に着ていた服がある。

その横には少し大きめの同じデザインの服。(注:やたらスカートは短い)


青ざめるシュウ=レイシアスに救いの手を差し伸べるものは…



もちろん



いない…
















少しずつ読んでくださってる方が増えているようで…。うれしいです。

ありがとうございます。

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