勝者の思惑2
ゆきちゃんピンチです。
「かみさま?」
思わず口にでていたらしい私の言葉をユリウスが眉を顰めて口にした。
「…呼ぶなら私の名を呼べ。」
心の叫びも虚しくユリウスの手の動きは止まる様子が無かった。それでもなんとか抵抗しようと空を舞った両腕は頭の上でいともたやすく縫いとめられた。
リボンがほどかれた夜着の合わせ目から大きな手が差し入れられて感触を楽しむようにふくらみの形を変えていく。自分の目でも確かめられるくらい合わせ目を広げられると身体が小さいわりに不釣合いに大きな胸が外気にさらされた。ユリウスの目が舐めるようにそれを見つめる。
ぎゃ~~~
凝視するな~~!!!!
昨日までそれらしき素振りは全く無かったのに!
詐欺だぁあああ!!
この夜着何気にえっちぃし!脱がせるためみたいなつくりだし!
「や、やめっ…!」
やっと出てきた言葉は情けないことにこれだけ…
涙目の私を見下ろしながら、ユリウスが面白そうに私の胸の先端を指で弾いた。
「んんっ」
ビリビリって甘い感覚が身体を駆け抜けていった。身体が弓のようにしなる。
なに?今の!
「思ったよりも楽しめそうだな。」
ユリウスの唇から紅い舌がチロリと覗く…
ゆ、ゆきはお子ちゃまなのです!
認めますから!
お慈悲を~~~~~!!!!
ユリウスが人差し指でお腹の上で心もとなく重なり合っている生地を広げようと差し入れた時…
コンコン。
「誰だ?」
て、天の助け!?
私の瞳にありありと希望の光をみたユリウスは薄く笑うと上半身裸になっている私を抱き起こし、私の顔を肩に乗せるように抱きしめた。
「心石をお持ちしました。」
あの声は!銀髪クン!!!
「入れ。」
ええ!
入れちゃう!?なぜに!!!
やめてくれぇ~~~っ!!
少しでも銀髪クンに見られたくない私はユリウスの背中に腕をまわすしかなく…
自分から抱きつく形に…。入ってきた銀髪クンが私に気付くとあからさまに嫌な顔をした。
めちゃめちゃ痛い視線を私に送りながら銀髪クンがユリウスの背を伺う。
「そこに置いて行け。」
「賊の件はどうされますか?」
「クレオに任せる。」
銀髪クンはジロジロ私に嫌~な視線を送りながらサイドテーブルにそれを置いた。
イモムーの壷に気付くともう一度嫌そうに眉を顰めて小さくため息をつく。
いいです、何意地悪言われても!
助けて!
すがるように銀髪クンを見つめたが効果も無く…
バタン
こともあろうか出て行ってしまった!
お先真っ暗…
絶望の岸壁に追いやられた私にユリウスが耳を甘噛みしながら言った。
「…止めてほしいか?」
はえ?
な、なんていった??
ユリウスの顔を仰ぎ見て縦に狂ったように首をふる。
そのさきには苦笑したユリウスがいる。
「私以外の男になつくなよ…ユキ。お前は私のものだろう?」
承諾した覚えは全く無いのだが、とにかくコクコクと頷くことにした。
ユリウスは私の胸の谷間を人差し指でさした。
「私を裏切らないなら人間界に帰してやる。
そこにある石を呑むか、ここで私に犯されるか選べ。」
そ、そりゃ、もちろん!
「石を!」
ユリウスは銀髪クンが置いた箱を開けるとさっきまで私を困らせていた指で中に入っていた深緑の石をつまみあげた。3ミリ位の小さな石だった。
…そのまま私の唇に運んできて口の中に押し込む。
ゴクリ…
私は水もなしに迷い無く飲み込んだ。
どのみち私の命も純潔も
目の前の男の気分ひとつでどうにでもなるものでしかないんだと思い知らされたからだ。
ユリウスは私が石を飲み込んだのを確認するといつものように頭をなでてきた。
私の夜着を器用に元に戻すと何にも無かったかのように優しく抱きしめる。
私は…
触れられた胸がジンジンして…
わけもなく頭をかきむしりたくなって…
混乱のまま朝まで眠ることが出来なかった。