表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の見習い  作者: なす
2/2

島の魔女様2

魔女様の家は、島民の家と同じくらいに質素だった。

木でできた平屋で、寝室と居間が一つずつあるだけ。

居間は、本で埋め尽くされていた。


寝室の一つしかない簡素なベッドに、私は丁寧に寝かされる。

物腰もなにもかも島の人間とは違う。


「魔女様は、なんで親切にしてくださるんですか?」

「自分の家の近くで子どもが動けなくなってたら、誰だってこうするわよ」

「でも、魔女様は偉い人です。父も村長も、魔女様のことを尊敬しています」


このときの私にとって、偉い人間とは横暴な人間だった。

だから、偉い魔女様が私に優しくするのは、理屈にあわないことだった。

魔女様は私に毛布をかけなおす。


「今はそんなことを気にしないでゆっくりしなさい。足が治るまでここに居ていいから」

「でも」

「大丈夫。ご家族には話をつけておくわ。あなた、どこの村からきたの?」

「南の村です」

「そう。よく登ってきたわね。あの村なら飛ばせる鳩がいるわ。安心してお休み」


私が一番心配していたことを、心を読むように言い当てる。

夜の森で冷えた体が弛緩し、魔女様が見守る中、私はまどろむ暇もなく眠りについた。

ベッドの中から魔女様を見上げながら、自分がこの人を好きになってしまっていることを悟っていた。




起きると朝になっていて、冷え込みが激しかった。

魔女様の家は島で最も標高が高い付近にあり、

海と山の中間に位置する私の村よりもだいぶ気温が低い。


魔女様の姿はない。

私は痛む足を引きずりながら、ベッドから降りた。


おそるおそる外にでると、正面が急な斜面になっていて、島の南側全体を見下ろすことができた。

私の村も豆粒みたいに見える。あんなに小さい村で、私たちは暮らしているのだ。


「あら、起きたの。足は大丈夫?」

「魔女様。足、まだ痛いです」

「そう。無理しないでね。あなた、足をくじいてからも無理して登ってきたでしょ。松葉杖を作っておいたから、それ使ってね。ほら、そこ」


みると、家の入口に松葉杖がおいてあった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ