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beat down  作者: mochi
第2章 no chance of surviving
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第47話 カモン

「邪魔だ!」


 振り下ろしたガンブレードはあっさりとレックスに止められ、それどころか鍔迫り合いにもならずに弾き飛ばされてしまった。


「スノウ…! でも、ありがとう」


 フラムの揺らめく黒髪はほのかに焔を散らし、闘志が見えるその瞳は大きく炎を宿していた。

 フラムが戦闘時の構えをとり始めた。手指を水のように流し、脚は地面を力強く踏みしめる。想像に容易いこの構えは、フラムが初めて格闘を披露した、第9話『グレン』に出てきたアレだった。


「『紅蓮(ぐれん)の構え』」


 緋色に輝く拳と熱気を放つ脚、黒い長髪は燃え盛り、レックスを見つめる蒼眼に残光が走る。


 ただならぬフラムの闘気を感じ取ったのか、レックスは立派な顎を歪ませて笑う。先程までの余裕のある笑みとは違い、楽しそうな物を見つけた子供のような笑みに変わった。


「フラムゥ! 楽しませてくれよ!」


 レックスは一方的な戦いではなく、敵対している相手と自らの拳を打ち合うような戦いを好む戦闘狂だった。その証拠に、私の攻撃を弾いた後すぐにフラムに目が行き、隙だらけだった私よりもフラムを見つめている。


「狂ってるぜ全く」


 フラムは真っ直ぐレックスへ突き進み右の拳を握る。握った拳は橙色の炎を纏い、レックスの腹へ吸い込まれるように進んでいく。


「一」


 フラムの拳はレックスのみぞおちへ直撃した。ヒットと同時に炎が散り、レーヴァテインがわずかに橙色に光る。


「二」


 続け様にフラムは、レックスの頭目掛けて左フックを放った。軌跡には炎が乗り、フラムの鋭い眼光もレックスを貫いていた。


「三」


 レーヴァテインを光らせたフラムは、左フックの勢いで180度回転しレックスから背を向け、前傾をするのと同時に右足でレックスの顎を蹴り上げた。


「四…!」


 フラムは蹴り上げたレックスに、地面スレスレから勢いをつけたアッパーカットをお見舞した。顎に拳が直撃したレックスは歯を食いしばり、拳の鈍痛と炎の火傷で2重にダメージを喰らっている。この時フラムのレーヴァテインは、金属の隙間からだんだんと赤い炎が顔を見せていた。


「吹き飛べ。『五燐五常(ごりんごじょう)』!」


 僅かに体の浮いたレックスの胸目掛けて、フラムは回し蹴りをぶち当てた。レックスの胸に着弾したレーヴァテインは赤く発火し、爆発を起こして彼を吹き飛ばした。


「ぐおおぉぉぁぁ!!」


 フラムの凄まじい技の威力に、レックスはたちまち声を上げて地面に転がった。彼の紫色の服は前面が焼け焦げ、素肌と金属が半々になっているのが丸見えとなった。


「いい、良いぞフラム・カグツチ! それでいい!」


 グルルラアァアアアァァァ!!!―――


 レックスはその場で残った服を破り捨て、口を大きく開けて獣の咆哮を上げた。すると空気が振動し、私の足と鼓膜はブルブルと震えていた。


「さぁこいフラム! 俺が受け止めてやる!」


 上裸になったレックスは手斧をクルクルと振り回し、胸を叩きながらフラムを見る。


「来いよ、神!!」

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