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第3話 馬鹿な男子

貴也の空いた扉を方を見ると長身で耳に掛かるくらいの黒髪の男性が眉を寄せて立っていた。


(鈴木先生? 学年主任がなんのようだ)


鈴木は男子たちそばに行くと、彼らをじっと見た。彼らは居心地が悪そうに目をキョロキョロと動かした。


「君たちの声が廊下まで聞こえます。江本君を馬鹿にしているようですが、傍から見たら自分たちが“馬鹿”だと言っているようなものですよ」

「どーせ、馬鹿ですよ」


和也が反抗的な態度をとると、周りの男子はニヤリと笑い、和也に続きギャーギャーと騒いだ。


「もし、江本君から被害を受けていると話がきた場合、私は君たちの保護者をお呼びしてお話をします。必要なら警察もですよ」

「警察? なんでだよ」

「馬鹿じゃねぇの? こんなんで来るかよ」


ゲラゲラと笑う男子に、鈴木はため息をついた。

貴也の周りにいる女子たちがチラチラと鈴木の方を見て楽しそうにしている。


「やっぱり鈴木先生カッコイイよね」

「うん、うん、頼りになるぅ」


女子は掃除の手を動かしながら、キャーキャーと騒いでいる。貴也はその話を微笑みながら聞いていた。


「名誉毀損」

「はぁ?」


穏やか口で話す鈴木に対して、和也たちは馬鹿にした態度をとった。鈴木はそれに心を揺すられるとこなく淡々と話している。


「それが、今の君たちの行いの罪です。未成年ですから、投獄されることはないでしょうが警察沙汰になったとなれば将来は暗いですね」


男子の一人がこっそり、和也に「投獄」の意味を聞いた。彼は和也からソレの意味を知ると青くなった。


「なんだよ? じゃ、江本に謝れってことかよ」

かない君は謝罪の意味を理解していますか?」


和也は眉を寄せて「はぁ?」と鈴木をにらみつけた。そんな和也を周りの男子は心配そうに見えていた。


「謝罪とは、相手に許しを講う行いです。叶君は江本君に自分がやった行いを許してほしいのですか?」

「そんなわけないだろ」

「ならば、謝罪は必要ありません」


鈴木に言葉では言い返せなくなり、和也は腹がってきた。


「何しに来たんだよ」


和也はイライラして、声を大きくした。


「最初に伝えましたが、ストレートに言わないとわかりませんか?」


穏やかに笑う鈴木に和也は舌打ちをした。


「静にすればいんだろ」


和也は立ち上がると、ほうきを持った。それに習い周りの男子たちも掃除を始めた。それを見て鈴木は満足そうな顔をして教室から出た。

それから少しして男子に和也は鈴木も目的がなんでわかったか聞かれた。


「はぁ? “君たちの声が廊下まで聞こえています”って言われだろ」

「それがなんで“静にしろ”って意味になんだよ。聞こえているから。なんなんだ?」


首を傾げる彼に和也は説明するのが面倒くさくなり、話題を変えた。


「あー、それよりサッカーしてから帰ろうぜ」

「あぁ」


男子は鈴木に言われてことなど忘れてすぐにサッカーの話になった。


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