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第22話 キュレーター達南へ レッツゴー下久保ダム!(後編) Aパート

『下久保ダムは目撃例多発のマジヤバい心霊スポットー!!』


 ダム放流の直前に水門の上に現れた青いエモバグ。


「キュレーティン!」


 わたし達は物陰で変身した。


 制服の色がももはピンク、いろちゃんは黄色、わたしは青に変わる。

 胸元のリボンやスカーフの位置には大きな宝石型のブローチが。

 服の袖と、スカートの裾には白いフリルが付く。

 髪の毛、まつ毛、眉毛、唇もそれぞれの色にチェンジ。

 髪の毛もなんとなくフワッとチェンジ。

 ただし、もものポニーテールは腰に届くくらい長くなった。

 三人ともお揃いの羽飾りのようなカチューシャが装着される。


「咲き誇るキュレーター、プリジェクションサクラ!」

「実りのキュレーター、プリジェクションペアー!」

「はじけるキュレーター、プリジェクションソーダ!」


『神流湖の入口には大きな忠霊塔が建っている!』


 まずはエモバグのいるダムの上に上がらなければ!

 まあ、変身後のジャンプ力なら自力で斜面を上がれちゃうけどね。


『ダムの底に300世帯以上の家が沈められてしまった!』


 それにしてもエモバグがうるさい。

 わたしはお化けとか信じてない。

 心霊番組も動画も見ないし、怖くもない。

 死んだ人が現れるなら会いに来て欲しいくらいだし。


『みんなが見たいから再生が伸びるー!心霊スポットは需要があるー!』


 どうにか三人してダムの上に上がる。

「全くこんなとこまで!しんどいっての」

「結構大変ー!」

「でも登るのちょっと楽しかったよ!」


 かくしてエモバグと対峙するわたし達。

 どうやら付近にキュレーショナーはいない。


「わたし達を警戒してるのかも」

 前回、バトルを続けようとするディスコードをエキセントリックが止めた。

 口ぶりからして、サイスフィア(さいたま)・リベレーション・ストリームの性質に気付いてたっぽい。


「とにかくエモバグをやっつけるよ!」

 

 一歩前に出るわたし。青バグ退治はわたしの仕事だ。


 狭いダムの上ではエモバグも特に壊すものもないらしく、わたし達に気付くとまっすぐ向かって来た。


『下久保ダムは目撃例多発のマジヤバい心霊スポットー!!』


 掴みかかって来るエモバグ。


「近年は心霊スポット動画を取る人もいるけど、地域の人達に迷惑をかけたりちゃダメでしょ!」


 わたしは突進して、ふところにもぐり込み、ひじ打ち。


「訪れた本人がトラブルに巻き込まれたりもしているわ!」


 そして、アッパーカット!


 エモバグは吹っ飛ばされる。

 でも、すぐに欄干をつかみ、起き上がる。


「そう言えばエモバグって水に落としたらどうなるんだろう?」

 ふとわたしは疑問に思った。


「EPMが届かなくなったら消えるのかなあ」

 と、いろちゃん。


「見失って後で現れても困るし、落とさないでちゃんとやっつけた方がいいんじゃない?」

 そして、ももの見解はこうだった。


 それに現実にものを壊したりできるエモバグが水に入ってどうなるのか予想はつかない。

 しっかりやっつけた方がいい。


『神流湖の入口には大きな忠霊塔が建っている!』


 エモバグも落ちたくないようで、欄干を掴んで進捗に近づいてくる。そして、踏みつけてきたが、


「それは殉職者の慰霊碑でしょ。建設に関わった人達に感謝しなさーい!」


 わたしはサマーソルトキックでエモバグを弾き返した。


『ダムの底に300世帯以上の家が沈められてしまった!』


 今度は勢いをつけた右ストレート!


 わたしは両腕をクロスして受け止める。


「ソーダちゃん!大丈夫?」

 ペアーは思わず心配の声をあげたが、実は受け止めたのはわざと。


 ふっ飛ばした拍子にエモバグを落とさないように受け止めたのだ。

 あと、今回のエモバグが巨大エモバグではないから、受け止められると見込んだのが半分。


「水没集落の住民とは長い年月をかけて交渉したんだよ!住民もろとも水没させたみたいな言い方をしないで!」


 そのままエモバグの腕に乗っかり、体重をかける。


『みんなが見たいから再生が伸びるー!心霊スポット動画は需要があるー!』


 エモバグが前のめりになったところで、


「心霊スポットに行くのは個人の自由だよ。でも良識を持った行動をしなきゃダメでしょ!」


 ジャンプからのサイドキック!


「立ち入り禁止の場所に入ったりしたら絶対にダメなんだからー!」


 さらに、かかと落とし!


「キレッキレだベェ!」


 いつの間にやら、欄干に現れていたミムベェの叫ぶ声がする。


 わたしの胸のブローチが光輝く。

 キレキレ攻撃によってエモーショナルパワーが貯まったのだ。


 わたしは両腕を前に突き出す。


「ソーダスプラッシュ!」


 わたしの両手から勢いよく放たれたエモーショナルな炭酸がエモバグに命中!

 エモバグはかき消える。


「サイスフィア、ゲットだベェ」

 エモバグが消えた後は、いつも通りサイスフィアが残される。


 ミムベェはそれをいつも通りサイストレージにしまう。


「すごい貯まってきたベェ」


 見てみるとサイストレージの中はピンク、黄色、青のサイスフィアでいっぱいだ。


「あと二個でいっぱいだベェ」


 エモバグを今まで何体倒して来ただろう。

 わたしがプリジェクションキュレーターになる前に、サクラやペアーはバトルしてた訳だからかなりの数になるはず。


 かくして、心霊スポットへの好奇心をむやみに煽るエモバグは退治されたのであった。


 ダムの下では人々が歓声をあげていた。

 ダムセーヴァーもガッツポーズで祝福してくれている。


「悪い気はしないね」

 なんだかわたし達が主役みたいって喜んでいたが……、


 ダム湖である神流湖の向こう岸に小柄な黒い仮面とドレスの少女が。

 キュレーショナー、ディスコードだ。


「きい!!」


 ペアーの反応は早かった。叫ぶなり、真っ先にディスコードを追いかける。

 ダムセーヴァーで盛り上がったり、綺羅星子さんのかっこよさで盛り上がったりしていたようで、その実きいちゃんの事をすごく気にしていたんだろう。


 逃げるディスコード。わたし達も後を追う。


 そして、山中の洞窟に逃げ込むディスコードを目撃する。

 そこが敵のアジトだろうか。


 ついにマジョリティとの最後の決戦の時が迫っていた。


<つづく>

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