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第9話 大切なものは目に見えない 愛も正義もガスも?! Bパート

『差別と言う方が差別だー!そういうつもりで言ってないなら差別じゃないー!』


 エモバグをやっつけるため、児玉工業団地にやって来たわたし達。

 ピンクのエモバグが工場を殴りつけ、人々が逃げ惑っている。


「キャハハハ!暴れろ、エモバグ!」

「会社なんかぶっこわしちゃえー!」

 セゾン姉妹もいた。


 せめて人のいない閉鎖された工場で暴れればいいのにー!


「キュレーティン!」


 両腕をクロスさせて、スマートフォンは前に向ける。画面は見ずに変身アプリを起動する。

 近くのEPM用のプロジェクターから光が照射され、わたし達の制服が変化していく。

 わたし達三人はプリジェクションキュレーターに変身した。


「じゃあ行くよ!」

 ペアーはやる気満々だ。

 いよいよはじけなければ。


 エモバグとセゾン姉妹の前に躍り出るわたし達。


「咲き誇るキュレーター、プリジェクションサクラ!」

「実りのキュレーター、プリジェクションペアー!」

「は、はじける?キュレーター、プリジェクションソーダ!」


「ソーダ!やるならちゃんとやる!」

 うう…怒られた。

 アイドルグループのサクラは、やるとなったら厳しかった。


「埼北プリジェクションキュレーター!」

 今度はわたしも声を張り上げる。

 ちなみにポーズはいろちゃんが考えて、イラストがメールに添付されてきてた。


 絶句するセゾン姉妹。

 とっても恥ずかしいと思ってたら、


「かっこいい!」

「リュウジンジャーみたい!」


 よかった。いろちゃんとセンス近いみたい。


「でも、はじけるはダッサ!」

「バカっぽいし!」


 それでもやっぱりはじけるはダサかった。


「やっちゃえ!エモバグ」


『日本人は差別に疎いけど、酷い差別をしない民族でもあるー!』


 工場の建物を攻撃し続けるエモバグ。


「もうやめなよー!工業団地に何の恨みがあるの!」

 とにかくエモバグを止めようと向かって行くわたしだが、


「恨みはあるし。ぞっとするし」

「こんなものがあるからあたし達は……、ぞっとしないし」


 思いがけず二人がかりの猛攻を受けてしまう。

 今回は感情がこもっていて、鋭いパンチとキックだった。

 恨みがあるの?工業団地に?


「そいつらの事は任せたわ、あおい」


 サクラはすっとわたし達の横を抜け、エモバグの方へ。

「待てーこのピンク色っ!」

「エモバグに近づくなー!」


 セゾン姉妹はサクラを追おうとするが、

「そっちこそサクラちゃんには近付けないよ!」

 ペアーが二人の前に立ちはだかる。

 わたしも合流して、セゾン姉妹をブロック。


『差別と言う方が差別だー!そういうつもりで言ってないなら差別じゃないー!』


 工場の屋根めがけて拳の一撃を振り下ろすエモバグ。


「無意識な差別を指摘された時に真摯に向き合わない社会は、本当の差別をする事になるのよ!」


間一髪のところで工場とエモバグの間に飛び込んだサクラ。


「だから同じ様な出来事が何度も起こるんでしょーっ!」


 飛び蹴りをエモバグの胸板に炸裂させ、吹っ飛ばした。


「キレッキレぷー!」

 はにぷーが歓声を上げる。


 起き上がるエモバグだが、サクラはすでに間近に迫っていた。


『日本人は差別に疎いけど、差別をしない民族でもあるー!』


 雄叫びを上げ、突進するエモバグ。


「グローバル化が進むほど、差別をするようになってきてるじゃない!」


大ジャンプでエモバグをかわすサクラだが、これは回避行動ではなかった。

 右手を振り上げるサクラ。


「自分たちを特別だと思ってる集団は、必ず過ちを犯すものなんだからーっ!」


 そのまま、上空からの脳天唐竹割り。

 エモバグは地面に叩き付けられた。


 ここでサクラのブローチが光輝く。


「必殺技いけるぷー!」

「分かってるわ」


 サクラはまだちょっと不機嫌そう。


「サクラブリザード!」


 サクラの周囲に巻き起こるエモーショナルな桜吹雪。

 そして、それは竜巻となってエモバグに向かって行く。

 美しい桜の花びらが消え去ると、エモバグも消えてなくなり、跡にはピンクのサイスフィアが残された。


「もうやられちゃった!ぞっとするし」

「また負けた!ぞっとしないし」


 セゾン姉妹は逃げて行った。

 やっぱりサクラの攻撃はキレッキレだった。


「サイスフィアゲットぷー」

 はにぷーがさいたまをサイストレージにしまう。

 サクラは無言だった。まだ気まずいのかなあ。


 工業団地の帰りのバス。

 ももは席に着くなり、ずっとスマホをいじってる。

 なんとなくピリピリ感。


 と思ったら、ももが不意に声を発した。


「今、オーナーからメールが来たの」

 ライブハウス「レッドサイン」のオーナーからだったみたい。


「メンバーに、わたしがライブの中抜けをするのは、市の研究に関する止むを得ない事情だって説明するって。

 アイドルもキュレーターも頑張れだって」

 帰りのバスでももが言った。


「前は他のメンバーに示しが付かないって言われてたのに」


 そして、はにぷーに近づくもも。


「はにぷー、あんたなんでしょ?」

 バスの床にいるはにぷーにももは微笑みかけた。


「いろいろありがとうね」

「子バートンの命令ぷー。これも仕事ぷー」

「これからもよろしく頼むわ」


「オーナーはおな中の先輩だから、顔が利くんだぷー」

 すました顔のはにぷー。


「ガールズバーで接待したんだよね?」

 わたしは何気なく言った、ところが。


「オーナーはガールズバーの接待で心を動かされるような人じゃないぷー」

 あれ?フォローしたつもりだったのに。

 はにぷーは心外そうだ。


「引き受けたのは子バートンの話に納得したからだぷー。飲み屋をはしごする予定はあったけど、ガールズバーに行く事を決めたのはミムベェだぷー」


「あれ、そうなの?」

「その日の夕方、ミムベェにガールズバーに誘われて、オーナーと会うと言ったら、一緒に行こうって言われたぷー」


 なるほどなるほど。

 どこでもよかったものを、ミムベェがガールズバーに決定した、という事ね。


 わたしの前の座席にはやはりミムベェがいた。

「ミ~ムベェ」

 わたしは身を乗り出してミムベェを見つめた。

「な、何だベェ、あおい?」


「このっ!」

「ぎゃー」


 わたしはミムベェにデコピンした。

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