1話 バカップルのデートをご覧ください
桜が舞い散る高校の屋上で、俺は高校No.1美少女である桜ノ宮 清香さんと対峙していた。
なぜかって?
それは俺が聞きたい位だ。
呼び出されて此処まで来てしまったが、理由が全く分からん。
一瞬、「告白」という可能性も頭をよぎらないでも無かったが、別にイケてる訳でもない俺が、こんな完璧美少女にコクられる訳がない。
俺は勘違い野郎にはなりたくないからな。
まぁ告白である確率は0.03%って所だろう。
俺は気まずい空間から早く逃げ出したい一心で口を開く。
「えっと……大事なことって何?」
すると、彼女はその艶やかな金髪を耳に掛け、俺をじっと見つめる。
やべ、可愛いな……オイッ
「佐藤 奏太君、ずっと好きでした、私と付き合ってくださいっ」
え?
俺は、0.03%の確率を信じられずに聞き間違えを疑った。
「えーと、ちょっと良く聞こえなかったみたい、もっかい言ってくれない?」
「えっ…………その、好きです………………」
オーマイガッーーーーー!!!
こっこれは、ヤバい、ヤバいぞ。
桜ノ宮さんを見ると、顔を赤らめてチラチラ俺を見ている。
上目遣いの眼差しがもう尊い。
きっと、今まで彼女も出来なかった童貞高校2年生の俺に、神様がくださったプレゼントなのだろう。
俺には、この告白を断る理由が思い付かなかった。
成績優秀、運動神経抜群、美少女、を兼ね備えた女子に、告白されて断る男子が居るはずがない。
だから俺は即答した。
「はい、俺も好きでした。よろしくお願いします」
こうして、俺達は付き合う事になった。
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俺と清香は学校帰りにファミレスに寄っていた。
「ねぇ、奏太くん、あーんしてっ」
「はぁ~、いつからそんな甘えん坊になったんだよ……前までは恥ずかしがってた癖に……」
俺はスプーンでアイスをすくって、清香の口に押し込む。
「あぁ~ん、激しいー」
清香がエロい声を出した瞬間、今まで俺達に向けられてた視線が殺気に変わったのを感じた。
やべ、バカップルだと思われてんな。
俺は、殺られる前に清香を叱る。
「おい、止めろって、あの店員さんが殺気放ってるだろ!!」
そう俺が強めに清香を怒ると、清香は俯いてしまった。
「ごめんって、その……清香が悪いとかじゃなくて……あっそうそう、学校の皆に見られたら不味いだろ?」
俺が必死になって清香をなだめるが、清香のご機嫌は治らない。
クソッ、やるしかないか……
「なぁ、清香ー、俺もアイスを食べたいなー、あーんしてくれないか?」
すると、清香はプイッと顔を上げてニコニコ頬笑む。
「え~しょうがないなー、奏太くんは甘えん坊なんだからっ……はいっ、あーん」
「あーん、うわっ美味い!清香が食べさせてくれると、百倍は美味しいな~」
「本当~?じゃあはいっもう一回、あーん」
「えっ……あの、俺もう……」
「えっ!百倍美味いんでしょ?じゃあもっと食べれるよね、はい、あーんして?」
「……あーん、おっ美味しいなー」
「はい、もう一回あーん」
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「うわー凄いっ、あんな大きなパフェ、ぜーんぶ食べれたね?」
「うぐっ、あっ当たり前だろ!清香があーんしてくれたんだから!」
「うふふ、本当に~?」
「あっ当たり前だろ!」
俺は、清香のご機嫌を治す為に期間限定、「10人前巨大チョコパフェ」を食いきった。
店員さん曰く、初めての完食者らしい。
お陰で、腹がパンパンだ。
時々、清香に対してイライラしてしまう時もあるが、可愛い過ぎてイライラと言う感情は直ぐに消失してしまう。
たった今も、無理やりパフェを食わされたが、「あーん」の度に清香を見たら、イライラなんかしなかった。
「俺も終わってんな……」
「ん?どうしたの?」
「いや、何でもないよ清香~」
コクられた当時には、思ってもない付き合い方だが、まぁこれはこれで……
「ねぇ、奏太くん次は何食べる?」
「えっ………………」
良くはないな、うん。
えっとー、「デブスだった俺、三ヶ月間の修行で最強の高校デビューを果す~憧れの伊藤さんと付き合いたい!~」も連載してるんで、よろしくお願いします。