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爆発寸前な男  作者: ZUNEZUNE
第一章:爆発寸前な男
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3話

今日の授業は全て終わり、下校時間になる。

今日も部活があるため私は更衣室へと向かった。


「あ、触渡君。さようなら」


「うん、さようなら」


その途中触渡君と出会ったので別れの挨拶をした。

今日転校してきて会ったばかりだけれど、中々好感を持てる生徒だ。

疾東から庇ってくれたから少し嬉しい。良い交友関係が作れそうで安心した。


(そういえば何処に住んでいるんだろ?)


帰って行く彼の背中を見ていると、ふと興味が湧いてきた。

まぁ無駄な詮索はしないけど……










(良かった……皆いい人そうだ)


帰り道の途中にある坂を下がりながらそう思う。

自分が少々頼りない人間と言うことは十分承知だ。前の学校では虐められたりはしなかったけど「ヘナチョコ」とからかわれてた。

だけど風成さんに言った通り俺は怒るのが嫌いだった。何故かっていう理由はあまり思い出したくない。

そうこう歩いている内に自分の家へと着いた。

長い階段を上り、赤い鳥居を潜る。

そう、「触渡 発彦」の家は神社であった。

参道を進んでいると、道端を掃除している若い神主が居た。


「天空さんただいま」


「ああ、帰って来たんだね」


白い髪のこの人は「海代 天空(うみしろ てんくう)」、俺の親代わりになってくれてる人だ。


「お風呂が沸いているから入って良いよ」


「ありがとうございます」


こうして俺は、神社の中に入った。










「それで?新しい学校はどうだった?」


「上手くいけそうです」


食事中、ちゃぶ台の向こう側から天空さんが聞いてきた。

それに対し俺は問題なさそうに答えた。

花瓶の水を掛けられたなんて答えたら面倒くさくなるからだ。

こう見えて嘘は得意の方だ——


「……嘘、何かあっただろう」


前言撤回、下手くそだ。

仕方が無いので学校で起こったことをありのまま答えた。


「水を掛けられたねぇ……発彦、その女子生徒の名前を教えてくれ、私がお灸を据えてやる……」


そう静かに立ち上がったので慌てて止めた。

天空さんは俺に対して過保護だ。だからたまに暴走する時もある。


「いいですいいです!心配しなくてもいいですってば!」


「お前のことだから怒りもしなかったのだろう……?」


それに対しギクッとする。そんな俺を見て天空さんは呆れて溜息を吐いていた。


「発彦、お前が怒りを嫌っているのも、その理由も分かる。だけどな?だからといって怒らないなんて駄目なんだ。自分の感情は伝えないと意味が無い」


「はい……」


軽い説教を食らってしまい、弱々しく返事する。

かといって怒るのは本当に嫌なのだ。できることならこのまま一生怒りたくない。


「おい……発彦!」


「はい聞いてます!」


「そうじゃなくて()()()()()!」


「!!」


その言葉を聞いてハッとし、懐の中を手探りする。

そこには、青白く光っている()()()()()()

1枚一文字で、「一」「葉」「知」「秋」という四字熟語ができていた。

その意味は、僅かな現象から大きな出来事を察知すること。


「天空さん!ちょっと行ってきます!」


「ああ、気をつけていくんだ!」


俺は外に出て急いで()()()へと向かって走って行った。

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