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爆発寸前な男  作者: ZUNEZUNE
第十二章:受け継がれる魂と刀
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145話

突如として現れた「我田引水」の使い手であるエイムの手先「水鳥我為」、どうやら私たちを狙っており、そのパネルを奪ってそれを小笠原大樹に売り込もうとしているらしい。


「父上は下がっていてください。ここは私1人で!」


今の父上は「諸刃之剣」の影響もまだ残っているし、その剣が今敵に奪われている状態なので戦えない。ここは私が父上を守らなければならない、宝塚家当主17代目として!

向こうにとっては生憎だが、こっちには新しく手に入れた「承前啓後」がある。青白く光った「伝家宝刀」を水鳥我為に向けた。


「いいか刀真……確かに『承前啓後』は受け継がれた物に反応すると言ったが、その本質は使用者が使っていることになる。つまりそれを使っている間『紫電一閃』などの四字熟語は使えないぞ」


「……やっぱりそうでしたか」


いくら人間じゃなく物に反応すると言っても、それを使っているのは人間の身なので能力タイプの四字熟語と大差ない。なので四字熟語を2つ同時に使ってはいけないというルールは消えたわけではないのだ。

つまり、「承前啓後」で「伝家宝刀」をパワーアップさせている場合は、「紫電一閃」の斬撃や「一刀両断」などの一撃必殺も使えないということ、場合によって使い分けなければならない。


「宝塚刀真、貴方()()()()()()()()の?話によれば19枚って聞いたけど、その様子だとまだ持っているようね」


金に目がくらんで1枚2枚と数えるはずのパネルをついに値段の単位で聞いてきている。ここまでがめつい人は他に見たことが無い。今持っている四字熟語は「承前啓後」含めて27枚、その内四字熟語1つで1000万円の換算だからいまさっき奪った「諸刃之剣」の分も含めて奴は約6000万の大金を稼ぐことになる。

正直エイムの財産状況は知らないが、ただの詐欺女にそこまで金を払う程の財力を持っているのか?もしかしたらオージ製薬のような贔屓にしている会社から受け取っているのかもしれない。


「お前に数の数え方を教え込んでやる、この刀でな!!」


兎に角今は目の前のこいつを倒し「諸刃之剣」を取り返すことだけを考えよう。「伝家宝刀」を強く握り振りかざしながら走り出す。

すると奴は最初の一太刀を躱した後、足を上げて腹を蹴り上げてきた。しかしそれでも止まらず次の一刀を繰り出す。


「ぜいやぁ!!」


「ッ!!」


それももう少しのところで避けられそうになったが、こいつの回避スピードより私の刀の方が速く、致命傷にはならなかったものの脇腹を少しだけ切り裂くことができた。

その後追撃はせずに一度後退して距離を作る。まだ敵の能力も分かってない中無理に攻めるのは危険だ。ここは焦らず着実に斬っていこう。


(それにしても……そこまで強いようには感じられないな)


さっきの蹴りだってそうだったが、こちらを倒すと息を巻いていた癖にそこまでの力と脅威は感じられない、腹に当たったキックだって多少痛かったが止まらずに追撃だってできた。かといってそこまでの防御力もあるわけじゃない。

力も無いし硬いわけじゃない、つまりこいつの武器はその能力にあることが予想される。より一層警戒心を張り巡らせなければならないわけだ。


「でいやぁあ!!」


そこで私は先ほどの父上との戦いでもそうしたように、斬撃を放って遠距離から攻めることにした。

「紫電一閃」を使っているわけじゃない、だが「承前啓後」の効果があるため普通の斬撃でもそこそこの威力はあるはず。青白く光った斬撃は真っ直ぐ水鳥我為へと飛んでいった。


「ギャッ!?」


それに対し奴は避けることも防ぐこともせず斬撃を受け、その体に大きな切り傷を付けられる。普通の斬撃であそこまでの威力を出せるとは、やはり「承前啓後」の力は本物のようだ。

しかし今のが当たるとなると、能力は防御系のものじゃないことは確実。ならば攻撃に特化した能力だろうか?


「このぉ……調子に乗るなよぉ!!」


するとこちらに向かって走り出し、土色の拳で殴りかかってきた。どうやら格闘戦で戦うらしい、能力も使ってこない。攻撃特化の能力ではないのか?

繰り出される水鳥我為の打撃攻撃をどんどん躱していき、その能力に警戒していく。拳も蹴りも強くもないしそこまで速いわけじゃない。これじゃあただの一般人レベルだ。

油断しているわけじゃないがこれでは拍子抜けだ。思っていたほど強い相手じゃない。


「お前――さては戦い慣れてないな!!」


「うぎゃッ!?」


そのままカウンターとして腹を切り裂くと、その痛みに耐えられないのか奴は悶絶して地面の上を転がり始める。この様子から見て私の予想が正しいことが証明される。やはりこいつは戦い慣れていない。

今まで見てきた犯罪者の特異怪字は、牛倉一馬は強盗殺人、明石鏡一郎も殺人、万丈炎焔は放火魔など多種多様な犯罪歴を持っていたが、流石に詐欺師に戦う力は必要無いだろう。

これなら楽に倒せるな。私は走り出し苦しんでいる水鳥我為の元に向かって刀を振りかざす。このまま首を切断して倒そうという魂胆だったが……


「かかった!!」


「――ッ!?」


さっきまで悶絶を繰り返していた様子は何処へ行ったのか、一気に落ち着きを取り戻し接近した私の足首を握ってきた。

こいつ、さっきのは丸々演技だったのか!?


「生憎アタシは詐欺師、人を騙すのは得意なのよ!」


すると奴の手に描かれていた水色の血管が光り始め、本当の血管のように脈動し始める。瞬間、掴まれている足から力が一気に抜け、思わず倒れそうになった。こいつの手が何かしているのか?


「何をしたッ!!」


急いで刀で手首を斬り落とし私の足から離れさせる。そのまま素早く退避しようとするも思うように動けず、普段より遅いスピードで後退していった。

対する水鳥我為はしてやったりといった表情で優雅に立ち上がり、手首を斬られた腕を見る。さっきは体を斬られただけでも叫んでいたのに、今度は悶絶もせずに余裕そうに見えた。やはりあれは演技だったか……!


(一体何をされた!?足に全然力が入らないぞ!)


しかし一番の問題は今さっき私がやられたことだ。確かに父上との戦いの後で少しだけ疲れてはいたが、こんなに力が抜ける程ではなかった。つまりあいつが何かしたことになる。


「私の『我田引水』は手で触れることによって、その人の力……所謂生命エネルギーを吸い取るの。今さっき足に触れた時に結構吸い取らせてもらったわ」


「……足に力が入りにくいのはそれか!」


しばらく経てば少しマシにはなったが以前掴まれた右足に違和感はある。奴が悶絶していた時に油断して握られた際に、生命エネルギーとやらが相当奪われたらしい。

攻撃でも防御でもない特殊な能力の四字熟語、それは自分の田んぼにしか水を引かないという意味である「我田引水」に似合ったものであった。

しかし厄介なことになった。こうも力が入らなくなると踏み込みも浅くなり刀に力が伝わりにくくなるだろう。


(だが奴も多くの傷を負ったし、今の「伝家宝刀」は「承前啓後」で強化されている……強引に攻めれば勝てるはずだ!)


そう思った矢先、奴の体に動きが入る。全身に描かれていた血管、それが切り傷のある部分だけ血の流れが激しくなっている。恐らくあの菅に流れているのが生命エネルギーなのだろう、つまり今さっき吸収された私の分もあそこに流れているわけだ。

すると流れが激しくなった途端、私が付けたはずの切り傷が見る見るうちに治っていき、やがて何事も無かったかのように綺麗な体へと戻っていった。


「なッ!?」


「こういう風に、吸収したエネルギーから傷を癒すことも可能!」


極めつけは切断させたその手首、そこにも生命エネルギーが集中されその切断面からトカゲのしっぽのように新しい手が生えてきた。

あんな大きな傷も修復可能なのか……私のエネルギーをそのまま傷を癒すのに利用されてしまった。


「じゃあ貴方の生命エネルギーをもっといただきましょうか!!」


「くッ……!」


するとまたもや水鳥我為は跳びかかり私に襲い掛かってくる。その動きは先ほどと比べ物にならない程速く鋭い、傷に苦しむだけじゃなくあの弱さも演技のうちであったようだ。

それにしても流石に一気に強くなりすぎだ。まさか生命エネルギーを吸収した分強さも強化されるのか……!?


「貴方、随分鍛えているようね。おかげでこんなに強くなれたわ」


「このッ……がはッ!?」


すると私の腹に重い拳が撃ち込まれた。先ほどのキックと比べ物にならない程威力が上がっている、やはり吸収は自身も強化するのか!

握られた拳はそのまま開かれ、手のひらを当てるように押し付けられる。

やばい、また生命エネルギーを吸い取る気だ!急いで離れなければと思った時には遅く、僅かな時間でもまた吸収されてしまった。


「ぐッ……体から力が……ッ!!」


またもや体全身に感じる脱力感、一瞬だけ血の気が引いたように頭が真っ白になったが何とか意識を確かにする。その生命エネルギーの量をどんな基準で見るかは知らないが、僅かに触れられただけでも結構な量を取られたことは分かる。貧血にでもなったような気分だ。

やがて意識をうっすらし、覚醒した時に始めて見たのは迫りくる水鳥我為の足。


「ぐあがぁッ!?」


そして蹴りの衝撃で更に目が覚め、気付いた時には自分は吹っ飛ばされ後ろにあった木に激突していた。

更に吸収したせいかパワーも最初の時は桁外れになっていることを、鼻から流れる鼻血を拭いながら確信する。対する私もどんどん弱体化していた。


「休める時があると思わないで!!」


(スピードまで底上げされるのかッ!!)


奴はこちらが鼻血を拭い終わった時には既に跳びかかっており、一瞬で目の前まで迫ってきていた。そこから繰り出される猛打の攻撃、その速さとキレが更に進化している。

私は弱体化し向こうは強化、どんどんその差は離れていき最早「承前啓後」でもこの場を潜り抜けることが難しくなってしまった。

それだけじゃない、奴はパンチが当たる度にまた吸収を繰り返している。一瞬だから大した量は吸えないが、ジリジリと生命エネルギーが減らされていくのが分かる。

このままでは状況は更に悪化していく一方だ。それにいくら「承前啓後」の力とは言え先ほど手に入れたばかりの四字熟語、流石にすぐ自由に使いこなせるわけはない。


「糞ッ解除だ!!神出鬼没ッ!!!」


このまま長く使っても意味は無い、そう判断した私は「承前啓後」の使用を止めその後すぐに「神出鬼没」を使う。

「神出鬼没」は目に映った人間の周りにしか移動できない、この場合奴の背後を取っても今の状況はそこまで変わらないだろう。なので遠くでこの戦いを見守っていた父上の隣に移動した。


「刀真……大丈夫か!?」


「ハァ……ハァ……父上、どうやらこれはまだ私の手には余るようです」


この人に勝った時に自分が当主になれたと豪語したが、「承前啓後」を使いこなせていない以上まだまだ私も甘い。

父上の傍に移動したことでこの人も狙われることを危惧したが、恐らく大丈夫だ。話を聞くにこいつの目的は「私たちの抹殺」ではなく「私たちのパネルを奪うこと」、今父上は1枚も持っていない。金にがめつい奴のことだ、多く四字熟語を持っている私の方を狙うだろう。


「ん~その刀鬱陶しいわね――ならこれならどう?」


「『諸刃之剣』!?貴様まさか――ッ!!」


すると水鳥我為が取り出してきたのは先ほど我々から奪った「諸刃之剣」、そしてそれを何と特異怪字の姿のまま具現化してみせたではないか。

確かに「諸刃之剣」は武器タイプの四字熟語なので使用者本人に影響は無い、なので牛倉一馬の時のようにはならないだろう。

しかし私から生命エネルギーを取るだけに終わらず、父上の「諸刃之剣」を勝手に使うとは……余程人の者を奪うしか能がないと見た。

だがいくら疲労状態とはいえ素人の振る剣に負ける私ではない、寧ろそれを使ってくれた方が攻撃の動きも見極めやすいだろう。


「剣は初めてだけど……この分じゃ楽勝ね」


「私も舐められたものだなッ!!」


そうして始まる剣と刀のぶつかり合い、思った通りこいつは剣の扱いに長けていない。なので勝敗はこちらが有利になる――と思われた。

だが例え素人が使っても「諸刃之剣」の効力は変わりない、凄まじい力がその刃に込められていた。


(それだけじゃない、吸収した私のエネルギー分も加算されている!!単純なパワーだけなら父上を超えているぞ!!)


奪った「諸刃之剣」のパワー+私から奪ったエネルギー、2つの強奪物から発生される威力は凄まじいもので、その太刀筋を見極めることはできるが弾くたびに腕に痺れが走る。

ましてや今の私は吸い取られて本来の力を出せない状態、刀剣同士の対決で有利になるかと思ったが更にその差は大きくなってしまった。


(動きは読み取れるのに……避けることも受け止めることも難しい!こんな剣も握った事の無い奴に!!他人の剣を振りかざしている奴の癖に!!)


「剣なんて、適当に振っておけば大丈夫でしょ!!」


そんな心外な一言と共に、「諸刃之剣」の一太刀が繰り出される。もう腕も体も限界寸前だった私はそれに反応できず、伝家宝刀でガードはできたが大きく吹っ飛ばされてしまう。


「ぐあぁ!?」


全身に衝撃が走り地面を転がる。その際「伝家宝刀」も手放してしまい4枚のパネルに戻ってしまった。外傷はそこまで受けてないが立ち上がるの困難な状態である。


「もう1000万ゲット~♪」


そのまま水鳥我為は倒れている私に目もくれず、地面に落ちた「伝家宝刀」を拾い上げようとする。しかしその前に倒れたままの私の手がそれを握りしめた。

掠れるような息を荒げ、必死にその4枚を握って自身の方へ持っていく。しかし懐に入れる直前で奴に手ごと踏まれて阻止された。


「ぐぁああッ!!!」


「ちょっと、何横取りしようとしてんのよ。その1()0()0()0()()は私のよ」


すると奴は屈みパネルを握る手を無理やり引き剥がそうとするも、その手はすっかり強固なものへとなっておりびくともしない。

その性格ゆえか自分の思い通りにいかないことに苛つき、再び立ち上がり何度もその手を踏みつけてきた。時に踏みにじり、無理やりにでも手を開けようとするも頑固として私は握った手を放さない。


「馬鹿なッ!?とっくにエネルギーを抜かれているはずよ!何故そこまでの力が残っているの!?」


「我田引水」の強化された力で引き離そうとしているはずなのに、私が抵抗し続けられるのが解せないのか、それとも更に激情したのか、動揺して喚きだす。それに対し私は先に目で睨みつけて応えた。


「……お前は、この『伝家宝刀』を1000万と呼ぶが……この刀は、宝塚家の当主が後世に自身の想いと使命を託し続け、その魂が込められた物だ……!!」


そう、だからこそ「承前啓後」が反応する。数百年前から我らの血筋と想いは受け継がれてきたのだ。


「それは……決して安いものじゃない!!1000万なんて()()()()()()()が付くか!!!」


「ちっぽけですって……?貴方1000万がどれだけの大金か分かる!?算数ができない歳でもないでしょうに!!」


「私の祖先が紡いできた想いに比べれば……小銭のようなものだぁああ!!!!」


やがて私は最後の力を振り絞り、勢いよく立ち上がると同時に「伝家宝刀」を具現化、そして「諸刃之剣」を持っていた水鳥我為の手首をまた斬り落とした。消えかかった声で説明された私の情熱は、当然父上にも聞こえている。


「刀真……お前……!」


「このッ……まだ立ち上がれる体力があったか!!」


しかしその手首もすぐに私から奪ったエネルギーで再生させ、その手で再び「諸刃之剣」を持ち上げる。そしてもう片方の手で今にも倒れそうになっている私の首を掴んだ。


「もういいわ!限界まで生命エネルギーを吸い取って、ミイラのようにしてから首を切り取ってあげる!!」


やがてそこからどんどんエネルギーが奪われていく。元々既に倒れかけの私にとって酷い仕打ちであり、更に頭の中が真っ白になっていく。

薄れる意識の中で走馬灯のように思い出したのは、父上の「承前啓後」の説明であった。


『「承前啓後」は簡単に言えば、受け継がれた物にしか反応しない四字熟語だ』


(受け継がれた物――ハッ!!)


そこで私は、ある考えに至った。そして無意識のうちに、()()を使っていた。まるで体が勝手に動いたように、誰かに操られたように。

瞬間、私の体から青色の人魂のようなものが沢山飛び出してきた。


「キャッ!?何よ一体!?」


突然のことに対処しきれず、水鳥我為はその人魂に弾かれ私から大分遠くまで離される。驚いているのは父上もだ、見たことも無い現象に目を丸くしている。

その人魂の数は全部で1()6()()、それらが全て私の後ろに集まった時、その1つ1つの魂が()()()()()()()()()()。老若問わず沢山の顔が光の具現化として現れる。


「あれは父上に祖父に……そして儂の顔だとッ!?」


そこには父上の父、つまり私にとっての祖父と曽祖父やそして父上自身の顔もあった。その他にも厳つい顔や優しそうな顔など、十人十色であった。

そう、この顔たちは宝塚家の()()()()。初代から先代まで全て揃っていた。


「『承前啓後』は受け継がれたものにしか効果を発揮しない、しかしそれは物体だけにとどまらず、()()()()()()()()()!!」


「人間にもだと……そんなことができたのか!?」


「私に受け継がれたものは、16人分の想いと心!!そしてその魂だ!!!」


ならば条件は揃っている。「承前啓後」を見つけ最初に使ったのは2代目だと聞く。その時に初めてこの四字熟語の能力が分かったのだろう。しかしその際、それが物体や武器タイプの四字熟語にしか反応しないものだと決めつけてしまった。

しかしそれは違う。「承前啓後」は対象に何か伝承されたものがあるならば例え人にだって効果を発揮する。何故それが私に分かったのかは分からない、しかし「伝家宝刀」を強化した時の感覚が、自分にもしたように感じたのだ。

今まで遺伝子と共に受け継がれてきた誇りと魂を、今こそ1つに――!!


「承前啓後ッ!!!」


私がそう叫ぶと、後ろに控えていた16の顔が人魂の状態に戻り刀ではなく私本体にへと次々入っていく。その度に青白い発光を強くし、いつしか全ての魂が入り終わった時には、その体が青いオーラで包まれていた。

それに共鳴するようにオーラが「伝家宝刀」にまで伝わっていく。この姿は、強化された伝家宝刀」のように、歴代の魂で私の体をパワーアップさせたものだ。

発彦の「怒髪衝天」のように言うと、「承前啓後態」とも呼ぶべきか。


承前啓後……昔からのものを受け継ぎ、未来を切り開くこと。「前を承け後を啓く」と読む。


「さぁ水鳥我為、我ら宝塚家の魂を、貴様の胸に刻み込んでやる!!」

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